便秘予防に良いといわれる食物繊維。
しかし、その効果は便秘の予防だけではありません。
食物繊維は「ヒトの消化酵素で分解されない食物中の総体」と定義され、水に溶ける水溶性食物繊維と、溶けない不溶性食物繊維とに大別されます。
水溶性食物繊維は水に溶け、ゼリー状になります。
小腸での栄養素の吸収を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑えます。
また、コレステロールを吸着して体外に排出し、血中のコレステロール値も低下させます。
さらに、ナトリウムを排出して、高血圧を予防する効果もあります。
食物繊維は低カロリーで肥満の予防にもなるので、糖尿病、脂質異常症、高血圧、動脈硬化など、生活習慣病の予防に効果があります。
水に溶けにくい不溶性食物繊維は、水分を吸収し便の容積を増やします。
便が増えると、大腸が刺激され、排便がスムーズになります。
また、有害物質を吸着させて、便と一緒に体外に排出し、腸をきれいにして大腸がんリスクを減らします。
水溶性・不溶性食物繊維ともに、腸内細菌により発酵・分解され、ビフィズス菌などの善玉腸内細菌の餌になるため、善玉菌が増え、腸内環境を改善します。
食物繊維は、野菜類、穀類、豆類、きのこ類、いも及びでん粉類に多く含まれています。
食品の中には、水溶性と不溶性両方の食物繊維を含む食品もあり、特に納豆は水溶性と不溶性の食物繊維がバランスよく含まれている食品といえます。
これらの食物繊維を摂取する量によって、死亡率に差があるのかを、国立がん研究センターで調査しました。9万人、18年間の調査です。
American Journal of Clinical Nutrition 2020年1月ウェブ
食物繊維摂取量と死亡リスクの関連 | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
男性はがん、循環器ともに、食物繊維摂取量が多いと、死亡率は低下します。結果、総死亡率も低下します。
女性では、がんで傾向が見られなかったものの、循環器・総死亡率ともに食物繊維摂取量が多い方が死亡率が低くなる傾向にあるといえそうです。
全体的には食物繊維が死亡率を下げると言えそうですね。
食物繊維を多くとるように心がけるだけでも、リハビリが必要な病気になることが防げそうですね。
記事担当:部長さかもと