群馬リハビリテーション病院 リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。通常のリハビリに加え、早朝リハビリも施行。さらにHAL、歩行アシスト、足首アシスト、IVES、REOGO-J、Walkaideなどを中心とするロボットリハも駆使し、多くのリハスタッフで患者さんを担当させていただいております。外来・通所も午前に実施中。

歩けるようになればいい?

 以前、1日8000歩、歩くと長生きできるという記事を紹介したと思います。ここでは、長生きという点について紹介したので、長生きしたい人以外はあまり関心が無かったように思います。

 

 今回も同じ記事を引用しますが、少し変わった視点で考えていきたいと思います。

 

 1日の歩数が4000歩の人を参照群(100)とすると、2000歩の方の総死亡リスクは高く1.5倍、6000歩から死亡リスクは低くなり、8000歩では半減します。

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 心血管疾患でもグラフはほぼ同じ傾向を示し、1万歩を超えるとほぼ頭打ちになります。
 
 同じく、がんでは以下のグラフのようになりました。
 

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 がんでは2000歩ごとに約2割ずつリスクが減っていきます。心臓病や脳卒中ほどの予防効果はありませんが、それでも運動量が高い方が死亡率が下がるという傾向はかわりません。
 
 4000歩は廃用症候群が起こらない最低限の運動量であるとお話ししたことがあります。リハビリによって歩く事ができるようになった方でも、毎日4000~8000歩の活動を維持していくことは大変です。まして、やっと歩けるようになった方の場合、4000歩を維持することがやっとでしょう。
 
 このグラフをみると6000歩以上毎日継続ができると死亡率が下がっていきます。従ってこれだけ高い運動機能を維持し続けないと、再発予防には繋がらないということが言えそうです。入院している間にできるだけ高い歩行能力を身につけておくことが、退院後の再発予防を図る秘訣でしょう。
 
 また、4000歩歩くのが難しい方もいらっしゃると思いますが、その場合は別の方法で運動量を確保していくことが大切です。例えばスクワット。4000歩の歩行と筋活動量を比較すると160回前後の運動が必要です。でもこの回数のスクワットは大変ですし、疲れます。立ち上がりでも300回といわれます。従って歩く方がラクにできますので、歩行が練習として使われやすいのです。
 
 歩行の意義について違った視点から提示しました。リハビリというと歩けるようになるための活動というイメージが強いと思いますが、それだけでなく運動継続の習慣を身につけることで、疾患の再発予防や、新たな疾患に罹患しにくくする効果があります。
 病院のリハビリではADLの自立に主眼が置かれることが多いですが、再発予防の視点も持ってリハビリに取り組まれることも大切なのでは無いでしょうか。
 
                        記事担当:部長さかもと