昨月、夕礼でリハスタッフに向け話したことを文章にしました。
海外の文献でも、リハ時間中の座位時間が長く、意外に活動性が低いという指摘があり、当院でも改善する必要があると考え、セラピストの皆さんにお話しをしました。リハビリの時間は週15時間ですが、リハ時間中理学療法でも7割は座位だったという報告です。
当院のリハビリでも、プラットフォーム上で背臥位の時間もとっていますので、立位での練習時間は意外に少ないのかもしれません。
厚生労働省の推奨する1日の歩数は8000歩と言われます。これは健康増進の為の活動量ですが、この8000歩を120歩/分でキビキビ歩いたとしても、70分弱の歩行時間が必要であり、リハ時間以外で積極的に活動できていないと、健康増進を図る事ができないでしょう。最低限、廃用症候群を予防するために必要な1日あたりの歩数は4000歩といわれていますので、先ほど示した時間の半分程度であり、100歩/分であれば、最低40分間の歩行練習が必要であると考えられます。
中之条発の健康法もありました
こういう点から個別リハビリを振り返ってみると、リハ開始時、まず背臥位から始めることが多かったように思います。昔は神経発達学的アプローチみたいなことを言って、背臥位から立位、歩行に至る練習をしていたかもしれませんが、個別リハ時間が増えて、自主トレーニングの時間は減少していますので、活動する時間を増やすことを意識した方がよいと思います。1日の活動量を増やすという点からも、背臥位や腹臥位の練習から構築するのではなく、座位、立位で筋トレをするにはどうすべきなのか沢山のバリエーションを以て対応するべきです。こうすることで、立位での活動時間を増やすことができるのではないでしょうか。また、自主的な活動の拡大は当然、重視されるべきです。この点にも注意しながら活動性を挙げていきたいものです。
数年前、背臥位リハビリからの脱却を考えて、プラットフォーム2割以上削減を実施しました。ただ、これだけでは不十分だったようで、病室のベッド等、それこそいろいろなところを探して背臥位でリハビリを行っていました。
最近、病床稼働率が高まり、結果的に患者1人あたりの個別リハ時間が減少し、実績指数が下がるという事態が発生しました。そこで、上の話も含め、つかまり、もたれ、よりかかりなどを利用しながら、立位時間を増やしていこうという話をしました。すると,リハスタッフはかなりの短時間で結果を出してくれました。
私が話をしただけで、これが結果に繋がったのかについては、もちろん疑問ですが、目指すべき方向性としては間違ってはいないと考えています。
これは話をしていない内容ですが、PT、OTだけでなくSTの個別リハビリ時間についても、立ち話や歩きながらの会話は積極的に行っていただきたいと思います。
“Stops Walking When Talking”といわれる現象がありますが、歩行中に話しかけて止まってしまう、二重課題の能力が低い人は、転倒リスクが高く危険といわれています。歩行が自立、もしくは見守りで歩ける位になっているのであれば、歩きながら話しかけ、二重課題を経験する機会を増やしていただきたいと思います。
ただ立っている時間を増やすというのは語弊がありますが、立位をとっている時間が極端に少ないのは当然問題なので、注意喚起をしました。廃用症候群が進んでいく基準の4000歩については、独居老人が1日3000歩程度しか歩いていないことが根拠となっているところがありますので、病気の有無にかかわらず参考にすべき数値だとお考えください。如何にして立つべきかについては、今後折りを見てお話ししたいと思います。
記事担当:部長さかもと