The Lancet Public Healthで昨年10月に報告されたものです。
イギリスの「UKバイオバンク」のデータを解析に用い、普段運動をしない成人2万五千人あまりに、平均7.9年追跡調査を行いました。
身体活動量はウェアラブルデバイスにより把握しました。過去の研究で、10分以内の活動が病気の罹患リスクや死亡率に影響を及ぼしていることから、これを4つの群に分け、調査を実施しています。
最長身体活動持続時間が早期死亡リスクに与える影響を、中強度の活動時間が1分以内の人と比較すると、
最長身体活動持続時間と主要心血管イベントリスクでも、
二つのグラフは論文から坂本作成
早期死亡リスクと似たような結果を示しました。
5分から10分の活動を連続で行う習慣を持つと、いずれのリスクも4割から5割軽減する事ができるという結果です。
今回、短時間活動のメリットがわかりましたが、同じ短時間ではあっても身体活動時間が長いとその分、健康上のメリットがより大きくなることや、活動中の運動強度が中等度以上であることが大切であると説明されています。
ちなみに、中等度以上の運動というのは、階段の上り下りであったり、自転者に乗ったりというくらいの運動のことを言います。
著者のAhmadi氏によると、この結果は、日常生活の中で行われる短時間の身体活動が、心血管系に対して保護する方向に働く可能性を示していると考えられる。これらの身体活動は、血圧や血糖値のコントロール、心肺機能の強化、酸化ストレスの抑制などを介して、健康上のメリットを発揮するのではないかと考えられると話しています。
運動が必要というと、~分走らなくてはならないとか、自転者漕いでみようかなとか、近所の散歩を日課にしなくては、とか考えがちですが、普段の日常生活の中でどの位の運動強度で活動しているのかを確認できると良いでしょう。
年齢にもよりますが、まずは一分間の心拍が100を超えるくらいの運動を意識すると良いでしょう。
記事担当:部長さかもと