先日、オンラインで開催された「実践失語症講習会」という研修に出張で参加させて頂きました。
脳の病気によって、言葉を理解したり話したりすることが難しくなってしまった「失語症」の方々をどう支援するか、ということを学ぶ研修会でした。
ZOOMで開催される講習会に参加するのは始めてでしたが、チャットを利用した質問に先生がリアルタイムで答えて下さったり、グループに分かれてディスカッションをしたりするなど、双方向の講習会で楽しく受講することができました。
参加者は、秋田県から鹿児島県まで、経験年数も2年目~20年以上と幅広い全国各地のST(言語聴覚士)が参加していました。それぞれ地域性や、職場の特性も違いましたが、臨床で抱えている悩みなどを話し合うことができ、たいへん貴重な機会でした。
講義の中で、印象に残ったお話があります。失語症の方だけでなく、障害のある方の社会参加についてです。ICFでいう「参加」とは、「外に出ること」復職・復学、地域や趣味活動への参加ととらえられがちです。
ですが、その定義だと重度の障害の方は参加ができないことになってしまいます。そうではなく、たとえ障害を負っても「ありのままの自分を受容し、大切な存在として前向きに生きていくこと」「その人らしく社会や家庭に存在すること」で、その人の役割を果たしていることになるというお話でした。
例えば、重度の障害を持つお子さんが、ニコッと笑ったことで両親や周囲の方が癒やされる、老人ホームに入居している方が介護者に「ありがとう」と感謝を送る…ということが、その方にとっての社会での役割で、「参加」になるのです。
この考え方は、障害のある方だけでなく、全ての人に当てはまるのではないかと思いました。私も、失敗したり、誰かの役に立てないと、自分を責めてしまうことが多いです。患者さんも、病気になって今までできていた役割ができなくなり、家族に申し訳ないと自分を責めてしまう方がたくさんいらっしゃいます。
ですが、たとえできないことのある自分であっても、ありのままの自分を認め、その中で精一杯周りの人たちに感謝を送って生きていくことができたら、素敵な人生になるのではないかと思いました。
今後は、このような考え方を持って、自分と患者さんを励ましていけるセラピストになりたいと思いました。
記事担当:ST登丸