群馬リハビリテーション病院リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。伝統的なリハビリに加え、早朝リハビリも施行。さらにHAL、歩行アシスト、足首アシスト、IVES、REOGO-J、Walkaideなどを中心とするロボットリハも駆使して、患者さんが良くなるために奮闘中。

失語症について

 『失語症』という言葉を知っている人は以前と比べて増えたのではないかと思いますが、身近に失語症を患っている方がいなければどんな症状のことを言っているのか分かりにくいと思います。


 今回は、『失語症』についてお話しします。

 

 『失語症』とは、脳の言語中枢(言葉の働きに関係する部分)が何らかの損傷を受けることによって、言語を操る能力に障害が残った状態をいいます。

 

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 失語症になると、「聞く・話す・読む・書く・計算」といった言葉に関わる全ての作業に問題が生じる可能性があります。それぞれ、どのような症状が見られる可能性があるのかは図をご参照ください。

 

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脳の中には「イヌ」「リンゴ」といった言葉そのものを貯蔵する「言葉の貯蔵庫」と、「イヌ」「リンゴ」がどのようなものを意味しているのかを貯蔵する「意味の貯蔵庫」があります。

それぞれに引き出しがたくさんあって相互につながっているため、言葉の引き出しから意味の引き出しへとたどり着き、「リンゴ」という言葉を見たり聞いたりしたときに「赤くて甘くて酸味のある果物」ということが分かります。

しかし、失語症になるとこの働きが障害され、言葉の貯蔵庫と意味の貯蔵庫の結びつきが混乱してしまいます。

そのため、素早く言葉を選び出すことができなくなったり、言葉を聞いても意味を理解できなくなったりします。

 

失語症の患者さんご本人やご家族から「言葉を忘れちゃって出てこない」という話をよく聞くことがありますが、言葉を忘れてしまうわけではありません。

視力・聴力・記憶力・考える力などに問題がなくても言葉に関わる作業が難しくなってしまうのが失語症です。

(脳の他の部位の損傷で、失語症とは別の症状が同時に現れることもありますが・・・)

 

また、失語症を患った患者さんの気持ちとして、「言葉の分からない国に1人で行ったような状態」という表現を聞くことがあります。

その国の人の声は聞こえても理解ができない、何を言っているのか分からない、看板などの絵や身振り手振りは分かってもそれに伴う言葉が分からない、もちろん文字を書くこともできない・・・そんな状態が『失語症』です。

想像してみると、孤独ですね・・・失語症の症状が強く出ている患者さんは不安そうな表情をしていることが多いです。

私たち言語聴覚士は、そんな不安な気持ちでいる患者さんが少しでも周りの方とコミュニケーションを取りやすくなるようにお手伝いをする仕事です。

患者さんご自身の言葉の働きを改善することはもちろんですが、ご家族に症状を説明し、「こんな話しかけや関わり方をするとコミュニケーションが取りやすいですよ」と伝えて患者さんの理解者を増やすことも重要な仕事だと思っています。

リハビリでは日常生活活動が重視されますが、コミュニケーションも日常生活活動の一部と考えて、退院後の生活にできる限り支障がないようにしておきたいものです。
記事担当:ST茂木