群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。ロボットリハ稼働中。100名超のリハスタッフで365日リハビリ邁進中。一緒にリハビリがんばりましょう。

リハ部の取り組み⑫

CI療法(Constraint Induced Movement Therapy)

 

 脳卒中による麻痺が生じると、患肢を使おうとしても動かないので、逆に患肢の使用を自ら抑制してしまうことがあります。

 一方で健肢の使用により、ADLは問題なく生活でき、患肢が動かないという刺激から遠ざかるため、健肢を使用することが正に強化されます。

 この二つの反応が続くことにより、患肢の動作を学ばなくなりますが、これを学習性不使用と呼びます。

 そこで、この悪循環を断ち切るためにCI療法を用います。

 CI療法では「患肢が使えないのは、運動を抑制するように条件付けられた学習現象(学習性不使用)である」という考えから、健肢使用の制限と患肢使用の段階的訓練を柱とします。

 健側の拘束によって強制的に患肢を使用するようにし、日常生活動作に使用します。これが患肢を使う正の強化となります。患肢を使うことで学習性不使用から脱却して機能が向上し、さらにモチベーションを上げる効果もあります。

 患肢を中心に使い、動き易いように学習していくので、全く上肢手指の動きが無い方はこの療法を直接用いることはできません。

 

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 動く方の手をミトンで固定して、動きにくい方の手を強制的に使うようにします。

 

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 立って行う事もあります。

 

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 良く手が動く方は、食事の練習をすることもあります。

 強制的?(できる限り多く)麻痺手を使って、機能的・能力的改善を目指します。

 

                          記事:部長さかもと

毎日の修復作業

 以前、睡眠不足により心血管疾患や脳卒中の発症率が上昇するというお話しをさせていただきました。

 つまり、睡眠には疲れた体を修復する役割があるということでしょう。

 今日は、これに関連してあまり研究されてこなかった、睡眠と風邪についてのお話しをしようと思います。

 これまでの話しの流れからおわかりのように、睡眠時間と風邪の罹患率には関係があります。これはみなさん何となく感覚で理解されているように思います。

 では、どの程度なのか?。結果をお見せしたいと思います。

 

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 風邪をひいたら”ビタミンCと睡眠もとってくださいね”と病院では定番のセリフですが、毎日7~8時間の睡眠をとることは、風邪の予防にもつながります。

 睡眠時間を削って毎日頑張っても、風邪をひいて寝込んだ結果、生産性が落ちたとすれば、本末転倒ではないでしょうか。

 

 「睡眠はおろそかにされることがあります。少なくとも、食事や運動のようなほかの健康習慣と比べると」と、研究をまとめたカリフォルニア大学、アリック・プレイサーは強調します。

 「反対に、この実験は、夜に5〜6時間以下しか眠らない人が払わなければならない生物的代償が存在するという明白な証拠を提供していると思います」とのこと。

 リハビリでは活動と栄養と休養が大切。

 リハビリで運動や知的活動など頑張ることも大事ですが、これと同じくらい栄養摂取と休養も必要です。

 一日一度、体の修復作業である睡眠を、まずは時間の面から見直してみてはいかがでしょうか?。

 

                        記事担当:部長さかもと

こころとからだをほぐす

 疲れたり、ストレスが溜まってくると、心だけでなく体も凝り固まってきます。ストレッチを行うと気分や不安が良い方に変化します。

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 気分が良くなったり、不安が少なくなったりという心の変化は、ストレッチだけでなく、軽い運動も効果が高いと言われています。

 従って今日は、少し動きを伴う肩こりの解消ストレッチをご紹介させていただきます。

 

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 ①ではできるだけ肘を後ろに引くようにすると、その分、肩甲骨の動きが大きくなり効果が高いでしょう。

 

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 普段運動不足の方が、痛みを伴って行うと、背中や肩が攣ることにもなりかねません。

 

 ゆっくり、少し痛気持ちいい?くらいで行うと良いでしょう。

 

                          記事担当:さかもと

リハ部の取り組み⑪

反復促通療法

 

 促通反復療法(Repetitive  Facilitative  Exercise;  RFE)は元鹿児島大学の川平氏が提唱する運動療法で,促通手技と患者が動かそうとする意図とのコンビネーションによって随意運動を実現し,それを集中的に反復する事によって必要な神経回路,特に運動性下行路を再建,強化することを目標としています。

 患者さんの動かそうとする特定の部位に対して、徒手的な刺激や操作を選択的に加え、伸張反射や皮膚筋反射を誘発する。

 また、患者の動かそうとする意志や意図、さらに患肢に対する注視や治療者による口頭指示(聴覚的刺激)によってひきおこされる上位中枢からの随意運動指令や、コンビネーションによって患者の意図した運動を努力性の共同運動パターンとして強化させることなく、より容易に実現させ、1つの運動パターンにつき数分間で100回程度、集中的に反復します。

 運動学習と神経生理学を融合させた療法で、当院でも研修会に数回参加し、伝達講習会をかなりの回数にわたって開催し、PTOTへの手技定着を図りました。

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                          記事:部長さかもと
 

12日、面会はご遠慮ください

 みなさんご存じの通り、関東地方を最大クラスの台風が通過します。

 

 気象庁によれば、大雨特別警報を出す可能性もあるとしており、公共交通機関も麻痺が想定されます。

 

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 当院へのアクセスは車でのみとなりますが、風雨が強くなっていく中、倒木や通行止めなども考えられるため、当院への来院及び、患者さんとの面会はお勧めできません。

 

 明日12日は面会をご遠慮くださいますよう、お願い申し上げます。

 

                            記事:さかもと

フレイルを知っておこう

  年齢と共に体力や気力が低下し、筋力が弱っていきます。かなり衰弱しても何とか自立した生活を送ることができます。

 それでも要介護状態に陥らずに自立した生活を維持できている状態を「フレイル」と呼びます。

 

 このフレイルは健康寿命が終盤に近いことを指していますが、適切な心がけや活動を行う事で、自立した状態を維持することができます。

 

 まずはフレイルの定義について

 5つほど。

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 非常に大雑把に書いてありますが、この項目に3つ以上該当すると「フレイル」、この項目に1~2項目該当でプレフレイル、該当する項目がないときは健常と判断します。

 で、これが何なのかということについて、少しお話しさせていただきます。

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フレイルと生存曲線

 これはフレイル、プレフレイルと判断された方の生存曲線を表しています。4年後の生存率は8割、7年後は6割にまで落ち込んでいます。

 このように該当項目が多いほど年々生存率は低くなる傾向にあると言えるでしょう。

 

 フレイルは日本語で”虚弱”を表します。

 ということは虚弱の程度が高いほど、生存率は年々下がっていく可能性があります。

 また、ここには病気の有無は考慮されていません。従って、持病を抱えていたとしても、上の該当項目が少なければより生存率が高まると言えそうです。

 さらに、例えば歩く速度が遅くなったにしても、歩けなくなったこととは大きな差があります。歩けなくならないように普段から継続してトレーニングを積んでおくことも生存曲線を高く保つことにつながりそうです。

 

 このようにフレイルを知っておくことは、病気の有無にかかわらず、生存できる可能性を増やすことにもなりますし、健康障害の発生頻度を低くすることにもつながるとも言われています。

 

 従って、上記の5項目に該当しないよう注意して生活や運動をすることが、健康増進につながっていく可能性があると言えます。

 

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                        記事担当:部長さかもと

リハ部の取り組み⑩

足首アシスト歩行装置(Ankle Assist Device:AAD)  安川電機

 

 この機器は、両足の足裏センサーの情報を元に、足首の底背屈動作をモーターで操作し、足関節のアシストを行います。

 

 踵から接地させ、接地中には重心の前方移動を促し、足が地面から離れる時には蹴り出しの力となり足首を制御することで、歩行をアシストします。

 

 振出し時には、背屈アシストにより腓腹筋を伸張させ、反射的に筋収縮が起きることで膝・股関節の動きを連動させ、スムーズな振り出しができます。

 

 比較的、装置構成が簡易であり、装着・設定・調整に多くの時間を要しません。

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 また、比較的小型で患者の動きを妨げることなく歩行リハビリができます。足首部を軽量化して患者負担を小さくするために、足首駆動部分とコントローラを分離して、小型扁平モーターで直接足首を駆動しています。

 

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 2016年の有効性評価で安川電機から本機の無償提供を受け、その後導入しました。主には脳血管障害の方へ用いますが、患者さんがafter effect(後効果)を感じやすいのも、本機の特徴です。

 

 これは健常者におこなった場合に主に言われるようですが、足がスムースに前に出るようになった、軽くなったなどの反応が多いようです。

 

 walkaideと対象患者さんが似ているところもありますが、こちらは機械的に実際に動作を起こすことと、足を蹴り出す方向にもアシストがあることが決定的に違うところです。

 

 今月下旬の関東甲信越ブロック理学療法学会でも発表予定がありますので、理学療法士の方は、そちらをチェックいただけると幸いです。

 

                          記事担当:さかもと

実習生のみなさまへ(臨床実習)

 病院HPの実習生への案内がわかりにくいようで、ご迷惑をお掛けしております。

 本ブログをみていただいている学生さんも多いようですので、実習案内を更新します。

 一昨年夏より、中之条町のアパートも追加しました。アパートですと車で15分程度の通勤が必要になりますが、ウイークリーマンションのような使い方もできそうですのでご検討ください。

 当院は実習生も多く、例年リハ部で40名を超える実習生を受け入れています。

 実習寮として利用していた施設が老朽化し、継続使用が困難となったことから、実習生には宿舎費用などの金銭面での負担をしていただくことになります。ご理解とご協力をお願い致します。

 変更した宿舎案内です。

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 宿舎を一週間前までには申し込み、スーパーバイザーとの連絡は開始一週間の昼12:15~13:00または夕方17:20~17:40頃にお願いします。事前学習事項、車両の使用等の確認を行ってください。

 また、連絡先は病院代表電話から、それぞれ実習予定の部署にお願い致します。

                            更新R2-03-19

名も寂し暮坂峠

10月だというのに真夏のような暑さが続いていますが、さすがに朝晩は気温が下がってきました。何とも季節感がつかみづらく体調を整えるにも一苦労しますが、いかがお過ごしでしょうか。

 

先日の台風18号が去って久しぶりに天気のいい休日となったため、暮坂峠まで足を運んでみました。

 

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沢渡温泉入口を右へ入ると当院、暮坂峠は左方面

 暮坂峠は当院のある中之条町沢渡地区から県道55号線を草津方面に上り、中之条町とかつての六合村(現在は当該町村同士が合併)との町村境に位置します。

 

 峠を抜けて六合地区から草津温泉にも抜けることができ、かつては草津温泉沢渡温泉をつなぐ重要なルートだったようです。

 

ところで、当院には温泉棟があり、入浴動作が自立されている患者さん(医師から温泉の入浴許可が得られた患者さん)がリハビリの日々の疲れを沢渡の湯で癒しています。

 

沢渡温泉は、古くから草津温泉と結ばれ,かつては草津の湯ただれの直し湯 (仕上げ湯) として栄えたそうです。

 

そんなちょっとした歴史など、自分の知る範囲でリハビリをしながら患者さんにお話しさせてもらうことがよくあります。

 

暮坂峠は、沢渡温泉を語る?上で必ず登場する場所です。

 

そして、暮坂峠といえば、歌人若山牧水です。

 

峠の頂上には、若山牧水の詩碑とマントを羽織った旅姿の牧水の像が草津白根方面を向いて立っています。

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暮坂峠の標高は1088m

 

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草津白根方面を見つめる若山牧水

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牧水が見つめる先の風景

 若山牧水と暮坂峠の関係については沢渡温泉組合のHPで詳しく説明されています。

 沢渡温泉組合HP:(https://nakanojo-kanko.jp/sawatari/spots/暮坂峠・牧水歌碑/

 

上野(かみつけ)の草津の湯より

 澤渡(さわたり)の湯に越ゆる路

  名も寂し暮坂峠

 

 暮坂峠の詩碑に刻まれた「枯野の旅」という詩の最後の一節です。

 

 いいですね~・・・(笑)

 

 現在は、草津へのルートとしてはマイナーなルートになるとは思いますが、風情が感じられて県内の数ある峠の中でも、個人的にとても好きな峠の一つです。

 

 これから紅葉の時期は特におすすめです。

 

 当院は山間部にあるがゆえに自然と季節の変化を感じやすいのは当然なのですが、自然には風情が感じられます。

 

 そんなことを患者さんに伝えながらリハビリに当たるのも楽しいと感じたりします。

 

 もちろん、リハビリの手は止めないように気を付けたいとは思いますが・・・

 

                           理学療法士 山本




 

中之条ビエンナーレ

 

 私達の病院がある中之条町は、

2年毎に、町全体が現代アートに包まれます。

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 今年は「第7回中之条ビエンナーレ2019」と題して、8月24日から9月23日まで中之条町全域で開催されました。

 仕事の休日、病院近隣、中之条町沢渡地区のアート作品を観に行ったので、ご紹介します。

 最近は首都圏の美術館でも増えていますが。写真撮影が許可されていました。

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廃校になった校舎、近くの清流も、アートに生まれ変わりました。

 

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秋らしい風景となり、まさに「芸術の秋」です。

皆さんは今年、どんな秋をお過ごしですか?。

 

                          記事担当:ST 吉田