静的ストレッチングがパフォーマンスの低下を招くとは、昨日お話しさせていただきましたが、閾値を考えるならば、30秒という時間があります。
静的ストレッチングの時間が30秒以下の研究ではほとんどパフォーマンスの低下が認められなかったものの、90秒以上(例えば30秒×3セット)の研究では、平均6%パフォーマンスが低下することが示されています。
即ち30秒未満のストレッチングではパフォーマンスの低下は起こりにくいものの、30秒以上ではパフォーマンスを低下させることが示唆されています。
しかし、静的ストレッチングによるパフォーマンスの低下は、筋収縮速度が遅い運動パターンでは低下が少なかったとされている報告もあり、ストレッチング後に行う運動の種類によって影響は異なるようです。
他方、動的ストレッチングはパワーや瞬発的なパフォーマンスを向上させることが明らかとなっており、パフォーマンスを低下させることを明らかにした研究はほとんどありません。
また、低速なダイナミックストレッチングよりも高速な方がパフォーマンスに対し有効であるという知見もあり、90秒以上の実施でパフォーマンスが約7%向上したという報告があり、瞬発的なパフォーマンスの発揮が必要とされる運動前のウォームアップとしての動的ストレッチングの実施は有効であるといえます。
このことは、静的ストレッチングは短時間で行い、動的ストレッチングは反対に長めに行うことがその後の筋パワー系のパフォーマンスに好影響を与えることにつながることを示しています。
また、ストレッチングの強さとの関係では不快感を覚えるポイントより軽いストレッチングでは、パフォーマンスの低下が少ないとされていて、静的ストレッチングの至適強度の参考になると思われます。
