群馬リハビリテーション病院リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。伝統的なリハビリに加え、早朝リハビリも施行。さらにHAL、歩行アシスト、足首アシスト、IVES、REOGO-J、Walkaideなどを中心とするロボットリハも駆使して、患者さんが良くなるために奮闘中。

免荷式歩行器(装置)

近年、歩行障害を有する患者に対する体重免荷装置を用いたトレッドミルによる歩行トレーニングが開発され、その有効性について報告されています。このトレーニングの特徴は歩行時の床反力を減少させるだけでなく、エネルギー消費量を少なくすることができることにあります。


 必要なエネルギー消費が少ないということは、患者さんが歩く際に使うエネルギーを少なくできるということです。また、この機器を用いることで歩行訓練の際、介助量も減らすことができ、小柄な女性セラピストであっても体格の大きい患者さんの歩行訓練を行うことができます。また脳卒中や急性疾患の比較的早期に、患者さんが自力歩行できない状態にあっても立位、歩行訓練を発症早期から行うことができます。

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これは免荷式歩行器ですが・・・

 歩行は患者さんの廃用症候群を予防していくためにも大切な運動の一つです。一日あたり最低限の歩行や運動量を確保しなければ、疾病を原因とする麻痺や体力低下以外にも廃用症候群が進み、必要以上に基本動作や日常生活活動に影響を及ぼすことになります。


 また、体重を除いて歩くことの効果は介助量の軽減だけではありません。実際に行って気がついた事ではありますが、変形性膝関節症などで体重を載せた状態で歩くと膝に痛みを訴える患者さんで使用すると、膝に掛かる負荷が減り、痛みが少ない状態で歩け、歩行量も増やすことができたという事例を経験しました。高齢者に限りませんが痛みが強い状態では当然歩行や体重を載せたりすることを患者さんは嫌がりますし、痛みに耐えながら歩くことは望ましいことではありません。だからといって、全く歩行をしないのでは廃用症候群を助長することにもなり、何とか下肢を使う方法はないかと理学療法士は模索していました。今までは荷重をしない方法での筋力強化などを中心にリハビリを組み立てるしかありませんでしたが、免荷式歩行は、実際に筋力強化した下肢をどう使うのかという学習をすることが早い段階から行えるという利点があります。
 
 また、この歩行装置の使用法は、体重免荷するだけではなく、ハーネスを付け免荷量をゼロにして利用する方法もあります。これは歩行時に見守りが必要な方や、時々急に転倒しそうになってしまう方など、安全性に配慮した歩行訓練を行う際に利用します。転倒は医療において当然のことながら防ぐことが大切と言われます。バランスを崩してその状態からどのように立ち直るのかということが運動学習には大切と言われますが、なかなか転倒を疑似体験するという訳にもいきません。そこでこの免荷量を0にした方法を用います。


この場合、患者さん自身が転びそうになったということが解りますし、そこからどう立ち直るのかという学習も可能です。理学療法士による歩行訓練では、転倒しそうになったら当然支えてしまいます。しかし、人間の反応時間は約1/3秒とあまり速くないので、実際にバランスを損ない始めてから反応したのでは転倒は防げず、そのため前もって対応することになります。この予見的介助は患者さんが立ち直りを体験する機会を奪い、また結果の知識を持つことを損なわせます。つまり転倒しそうになるという状況になることができないので、そこからどのように立て直すのかということを考える機会を持つことができないということです。このような点でも免荷0でのこの歩行装置の利用は有効とされています。


活用範囲はまだまだ拡げられそうです。