群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。ロボットリハ稼働中。100名超のリハスタッフで365日リハビリ邁進中。一緒にリハビリがんばりましょう。

変形性股関節症による人工股関節全置換術施行後のリハビリ実施

 タイトル長いです(^_^;)。

 人工股関節の手術を行った後、当院でリハビリを行った方々の5年間の推移です。

 入院期間などのデータを中心に今回はお話しします。

 

 以前に比べると、術後に回復期でリハビリを行う方が減ってきているように感じますが、腸腰筋を中心とする筋力の弱化や関節の硬さは、歩行を含む活動全般に影響を及ぼしているので、それを改善する事が回復期の存在意義だと考えています。

 術後すぐに自宅復帰で大変な思いをするよりも、歩き方、体の動かし方を学んでからの方が、楽に立ち回れると思います。

 

 歩行アシストで10日程度リハビリを行った症例の動画を見返してみると、使用前後の歩幅、股関節の動きが格段に違っていることが見て取れます。

 

 様々な点で、これから検証してみようと思い、医事課からデータをいただきましたので、少しご紹介していきます。

 

 まずは男女比。

圧倒的に女性が多い!

急激に関節が悪くなって手術にいたる方と、何年も痛みとともに生活して手術をされる方とこれは病態でかなり差があります。

でも、女性が多いです(二度目!)

 

次に年度毎の平均在院日数の変化です。

昨年度は、とうとう40日を切ってきました。

平均で1ヶ月という水準にまで近づいて行くのかもしれません。

短期間ですが、歩き方を改善し、階段や屋外歩行ができるようにして、温泉に一人で入れるようになり、さらには家事動作も含む日常生活関連動作などもできるようになって、さらに自動車運転再開の準備ができると良いですね。

 

次は年齢別在院日数です。

それほど症例数がないので、過去5年間で示します。

驚くべきは、90歳代が2名いらっしゃいました。

80歳代のリハビリは今では普通に行い、平均在院日数も60日を切っています。

年齢とともに平均在院日数は減っていき、40歳台平均が少し上がっています(両側例が多かったり、人数が少ないことが原因と考えます)。

 

若年者では早期退院できる可能性が高くなると言えるでしょう。

 

年々加速する短期間で集中して行うことになるリハビリですが、短期間での効率的なリハビリができるようにご協力をお願い致します。

 

                            記事担当:部長さかもと

直撃!新人レポート2022

           皆様こんにちは!OTの水上です。
 新年度が始まってもう2ヶ月が立ちました。今年は既に真夏日猛暑日など寒暖差の激しい天候で体調管理も大変な季節ですね。そんな中、当院にも4月に新しいリハビリスタッフ(PT:6名、OT:2名)が多く入職してくれました。毎年、私は新人さんについての記事を書くことが多く、今年も同じく、新人さんをご紹介したいと思います。

               

 写真右

【名前】まるやま

【出身校】:太田医療技術専門学校

【趣味】:食べること

【抱負】基本業務をしっかりこなし、心に余裕を持った関わりや注意などリスク管理はもちろん細かな気配りが出来る様になりたいです

 写真左

【名前】:せきぐち

【出身校】:前橋医療福祉専門学校

【趣味】:カメラ、ドライブ

【抱負】患者さんの一番の理解者になれるように積極的にコミュニケーションと取り関係性を築いていきたいと思います。

 

 実はこの2人は昨年、実習生として当院に来ていました。昨年の実習がきっかけで当院に入職してくれたことはとても嬉しいことですね。実習から関わる重要性を改めて認識致しました。

 しかし、社会人としては1年目。フレッシュマンです。先輩の良いところを見習って、仕事に励んでもらいたいと思います。昨年の新人4名と同様に来年、一人前のセラピストとして活躍出来るにようにOT全体でもしっかりとフォローしていきたいと思います。

 

                以上、「直撃!新人レポート2022」のお時間でした。

                               記事担当:OT水上

リハビリは買い物で

 スーパーで買い物をしながら体の機能の回復・維持に繋げる「ショッピングリハビリ」についての新聞記事がありました。

 

 ショッピングリハビリは、デイサービス利用者で介護保険の要支援1・2の方が対象。デイサービスでレクリエーション後にスーパーに移動し、夕食の材料などの買い物をしてもらう。

 

メリット

・スーパー内を歩くことで足腰の訓練になる

・何を食べようかなど考えることで認知機能への効果も期待できる

・店員などの様々な人との会話も刺激になり、社会から孤立しているのではなく参加しているという充実感も得られる

・買い物が困難な人への支援、地域経済への貢献

・前日の献立を書き出す、買い物後に購入金額を書き出すことで書字の継続、また周囲が栄養を取れているか確認できる

 

 大学と実施した調査でも運動能力や認知機能の向上効果が認められた、とのことでした。

                                   

最後にこのアイデアを事業化した方の説明に

「リハビリは社会生活を続けてもらうためにある。それなら病院や施設でなく、日常生活の中で行うことで、意味のあるものになるのでは」

とありました。これは病院でリハビリに関わる人間として忘れてはならないことだと思いました。回復期は最長でも6ヶ月、しかし退院後自宅での生活は年単位にも及ぶこともあります。病院でリハビリし改善が見られ自宅に帰れることはとても喜ばしいことですが、その先を見据えた関わりも大切だと感じました。

 

                              記事担当:ST日野

 

   

 

「園芸マスター」

 担当患者さんが『さわたり園芸マスター』の称号を獲得しました!!

 

 3Fリハビリ室に隣接するバルコニーでお花を育てています。

 

 写真にあるカードが「ボランティアカード」と「さわたり園芸マスター証明書」で、草取り・水やり・花柄摘みなどの園芸作業にご参加いただくと1回につきワンランクアップしていきます。

 

 活動性向上や中腰姿勢での耐久性向上などを目的に行うことが多いですが、それ以上に天気の良い日に土いじりや花に親しむことは、気持ちが晴れやかになりリフレッシュされます。患者さんからもご好評いただいています。

 

 「さわたり園芸マスター」おめでとうございます!!

 

 

                            記事担当:OT小川

 

年齢でリハビリの効果は変わるか

 この疑問については、以前から使っている脳卒中患者のデータで見ていきたいと思います。

 

 ここで使われているFIMは、日常生活活動の13項目を13点~91点で評価したもので、すべての活動が杖、装具、自助具などを使わず自立していれば、91点満点になります。

 

 まずは、後期高齢者の入院時と退院時のFIM運動項目の平均です。

 

 

 FIMMの利得は22~3程度出ており、改善を認めています。

 

 次に、前期高齢者ではどうでしょうか。

 

 

 入院時のFIM点数は後期高齢者とほぼ同じですが、退院時には大きく伸びている事がわかります。

 

 最後に、前期高齢者未満の若年者はどうでしょうか。

 

 

 入院時から高齢者よりも多くのことができるようですが、退院時の伸びもあります。

 

 しかし、得点の伸びは前期高齢者とほとんど変わりませんでした。

 

 年齢に関係なく、リハビリをすれば効果があるようですが、75歳未満の方は多くの改善を認めているようです。

 

 後期高齢者であっても、改善を認めますが、年齢は75歳未満の方が、より大きな改善がありそうです。

 

 年齢にかかわらず、リハビリがんばりましょう。

 

                            記事担当:部長さかもと

緑茶で予防

 大阪大学公衆衛生学教室の寺本氏らは、既に脳卒中心筋梗塞を経験した日本人の死亡リスクに、緑茶とコーヒーの摂取がどのように関係しているのかを調べました。

 

 分析に用いたのは、1988~1990年に全国で開始された大規模研究「Japan Collaborative Cohort Study」に参加した人たちのデータです。参加時点で40歳から79歳だった人の中から、4万6213人を分析対象にしました(脳卒中経験者478人、心筋梗塞経験者1214人、どちらも未経験の4万4521人)。

 

 緑茶の摂取頻度については、「1日に7杯以上」「1日に5~6杯」「1日に3~4杯」「1日に1~2杯」「1週間に1~6杯」「ときどき飲む、または飲まない」の6段階に分類しました。

            

 対象となった人々の緑茶の摂取頻度と死亡の関係を、年齢、性別、高血圧の有無、糖尿病の有無、BMI(体格指数)、喫煙習慣、飲酒習慣、運動習慣、精神的なストレスの有無、学歴、雇用状態、食習慣(野菜、魚、果物、大豆の摂取)などの要因を考慮して分析したところ、脳卒中経験者と心筋梗塞経験者では、緑茶の摂取量が多くなるほど死亡リスクが低くなる傾向がありました。

 

   

 

 1日7杯以上緑茶を摂取した場合、脳卒中経験者では死亡リスクが62%減少、心筋梗塞経験者では死亡リスクが53%減少していました。

 死亡リスクの低下は主に、心血管疾患による死亡の減少によるものでした。

 一方で、脳卒中または心筋梗塞の経験のない人たちでは、緑茶の摂取と死亡リスクの間に統計学的に有意な関係は見られなかったそうです。

 

 脳卒中に罹ってしまうと再発リスクを減らすにはどうすれば良いか考えなくてはなりません。

 リハビリの際には習慣的に行う運動を指導されていることと思いますが、水分を補うという意味からも、緑茶をもっと積極的に摂っても良い結果といえるでしょう。

 

 

                            記事担当:部長さかもと

 

糖質は不要なのか?   前編

今日もご飯が美味しいのは元気な証拠!と思い、私はご飯を毎日食べています。また、「ご飯が美味しい・足りない」と聞けば、患者さんも元気なんだなと感じます。

 

しかし、糖質は不要というイメージはありませんか??糖質制限ダイエットなどよく耳にするようになりました。しかし、糖質についてよく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

 

糖質とは、炭水化物の一種です。

 

 

炭水化物は、糖質と食物繊維で構成されています。

糖質は、糖類(単糖類のブドウ糖、二糖類の麦芽糖)、多糖類(でんぷん、オリゴ糖)、糖アルコール(キシリトール)、その他と分類されます。

 

糖類の多くは食後血糖値が上がりやすいのが特徴です。

ここでの説明は省きますが、血糖値の上昇が太りやすいに繋がります。

 

 

ここで、単純に考えると糖質を抜けば太らないのでは?と思いませんか?

 

しかし、糖質不足となると色々と影響が出てきます。

エネルギーとして使えるのは、タンパク質、炭水化物、脂質となりますが、特にすぐに使えるのがブドウ糖です。

 

不足することで、頭痛や眩暈、疲れやすいなどが生じやすくなります。

また、脳はブドウ糖をエネルギーとしているため、判断不足や注意力の低下を招くことも。

 

さらに、糖質が不足することで、タンパク質がエネルギー源として使われ筋肉量の減少につながる可能性があります。

 

糖質は、身体を動かしたり脳を働かせたりするのに使われるだけでなく、身体づくりや身体の修復にも使われます。

 

当院では栄養科とリハビリスタッフが連携し、(個別に)患者さんの活動量にあったエネルギー量やメニューが組まれています。

 

                                後編へ続きます

 

                               記事担当:PT樋口

 

マスク老け顔

 新型コロナウイルスが蔓延して、外出の際にはマスクが手放せなくなっています。1日の殆どがマスクをつけている方もいらっしゃるかもしれません。今回は、マスクをつけた状態での表情筋の影響と筋トレについて紹介させて頂きます。

 

 マスクをつけた状態で他者と話す際は、顔の大部分が隠れているので、あまり表情を表に出さずに会話をしがちです。同じように話をしても、マスクをしていないときに比べて顔の筋肉、表情筋の活動量は、半分から1/4にまで落ち込むという実験結果があるそうです。この表情筋は使わないとどんどん衰えてしまい、それが顔のたるみや老化につながる可能性があると思われます。

 

 口をすぼめたり、閉じたりする口輪筋の筋トレについてご紹介したいと思います。

 

<口輪筋の筋トレ>

①人差し指を頬に当て、唇をすぼめて前に突き出し5秒キープします。(イラストⒶ)

②手を外してさらに5秒キープします。

③唇をすぼめたまま口を時計回りに1回転、反時計回りに1回転、を交互に3セット行います。(イラストⒷ)

           

 他にも色々ありますので、自分にあった筋トレを見つけてみて下さい。

 口の筋トレは、家でもどこでもできる筋トレですので、空いた時間でやってみてはいかがでしょうか。マスクを外した時に、周りから「老けたね~」と言われない様に今から是非筋トレをしましょう。

 

                            記事担当:ST 西澤

新人サポート奮闘中

はじめまして、今年度担当する小塚と申します。

 

拙い文章だと思いますが1年間精一杯頑張ります。温かい目で読んで頂けたら嬉しいです。

 

新年度になり新人さんも入職してきました。

去年に引き続き今年度も新人さんのサポート係になりました!

 

当院ではプリセプター、Teaching Assistant (TA)という新人指導を行う役割があります。

新人さん1人につきプリセプター1名、TA1~2名が1年間新人指導を行っていく仕組みがあります。

プリセプターは新人指導において基本的に全責任を負う立場であり、TAはプリセプターの補助を行い新人指導が円滑に進むようにすることが中心になっています。そのためTAは新人さんの悩みや考えを上手く聞き出せることが重要です!

 

TAをやっていく上でどんなことを意識すれば悩みや考えを引き出して行けるかと思い、調べたところコーチング・ストロークが重要だということがわかりました。

 

コーチングは一方的に教えるのではなく、相手の考えを上手く引き出しながらコミュニケーションを取ることが重要だそうです。

 

ストロークとは相手に対する態度や声かけのことで、特にポジティブストロークが大切です!ポジティブストロークの中でも種類がありました。

・アクティブリスニング

 相手に対する関心をしっかり表現した聴く態度

・ポジティブフィードバック

 相手へのプラスメッセージをはっきりと表現

 

新人さんも新しい環境で慣れないことはいっぱいだと思います。新人のころにしてもらって嬉しかったことを今年の新人さんに出来るように、そしてコーチングとポジティブストロークを意識しながらサポートしていきたいと思います!

 

             

                              記事担当:PT小塚

患者さんのニーズにピッタリな・・・

先日のリハビリで患者さんとこんなものを作成しました。

スマートフォンなどに使用出来るタッチペンに、紙粘土で握り部分を作成したものです。

くぼみに合わせて握る事で指先の細かい操作が難しい方でもペンを操作出来ます。

古典的な手法ではありますが、患者さんの手にピッタリはまるように作ってみました。

こちらは私が作った分ですが、患者さんにも実際に紙粘土を握ってもらいながら形を整えました。

患者さんのニーズに合わせて、患者さんが使いやすい形や環境を提供することも作業療法士としての役目だと常々考えます。

話は変わりますが、巷では3Dプリンターを活用した自助具・リハビリ治療用具の作成がどうやら盛んとのことです。

 

竹林先生と言えば作業療法界隈では非常に有名な方ではありますが、Twitterでしばしばこのような自助具の紹介をされています。

これは先生のご友人の方が3Dプリンターで作成されたとの事ですが、ペットボトルを片手で開ける自助具になります。

脳卒中により片麻痺を呈した方のニーズとして「片手で出来る事を広げる」というものがありますが、これはまさしくそれを解決出来る一品。

3Dプリンターが患者さんのニーズを満たせた1つの例かと思い、引用させて頂きました。

また、3Dプリンターは世界的にも注目されており、近年のリハビリテーション分野においては臨床研究も盛んなようです。

引用元:Bhattacharjya, S., Stafford, M.C., Cavuoto, L.A. et al. Harnessing smartphone technology and three dimensional printing to create a mobile rehabilitation system, mRehab: assessment of usability and consistency in measurement. J NeuroEngineering Rehabil 16, 127 (2019).

 

こちらは2019年にacceptされた論文から引用した画像です。内容は「スマートフォン3dプリンターテクノロジーを組み合わせた携帯型リハビリテーション装置の開発」について。

対象者さんの手に合わせてプリントした物品による自主訓練を、自作のスマホアプリにて運動回数などの情報を管理するという非常に画期的な内容の研究になっています。

こちらも同様に、患者さんが必要な動作をピッタリ合わせた道具・環境で効率良く訓練出来るという良い例かと思いました。

 

 

患者さんのニーズにピッタリとはまる形を実現出来る3Dプリンター

今のところ当院にはありませんが、先進的な技術によって作られた夢のような機械たちがリハビリの現場でごく自然に使われる日もそう遠くないのかもしれません。

 

                               記事担当:OT大塚