群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。ロボットリハ稼働中。100名超のリハスタッフで365日リハビリ邁進中。一緒にリハビリがんばりましょう。

浴槽への入浴頻度と脳卒中

 3万人あまりの方々を約20年間追跡した調査にもとづいて、浴槽入浴頻度と脳卒中発症リスクとの関連を調べた、国立がん研究センターの報告です。

 

 浴槽への入浴頻度が高まるほど、脳卒中の発症リスクは26%低く、病型別にみると脳出血で46%、脳梗塞で23%の低下がみられましたが、くも膜下出血では関連はなかったとのこと。

 

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 浴槽入浴は、お湯につかることで、体温の上昇、心臓の収縮力や循環血液量の増加などを引き起こすことが報告されており、運動をするのと同じような作用で循環器疾患の発症リスク低下と関連した可能性が考えられます。

 

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 毎日浴槽に浸かるという日本人特有の活動は、脳卒中発症リスクを下げる効果も持っているようです。

 

                            記事担当:部長さかもと

 

非アルコール性脂肪性肝疾患

 コロナワクチンの2回目接種をして、やはり37.6℃の発熱があったさかもとです。

 年寄りは大丈夫と医師に言われましたが、医師の想定より若かった?ようです。

 

 さて、今日は脂肪肝のお話しです。

 「脂肪肝」は多くの方に知られていますが、脂肪肝は原因によって分類されます。

ひとつは飲酒による脂肪肝で、アルコール性脂肪肝

 もう一つは、お酒を飲まないのに発症する脂肪肝を非アルコール性脂肪肝(NAFL)。

アメリカの肝臓学会ガイドラインではこのように定義されます。

  1. 肝臓に脂肪がたまっている 
  2. お酒の目立った習慣がない 
  3. 脂肪肝をきたすほかの要因がない 
  4. B・C型肝炎ではない

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 この非アルコール性脂肪肝、指摘された方の1/10くらいがNASHに移行します(割合は正確には不明)。

 

 NASHとは、非アルコール性脂肪肝炎の略ですが、肝臓に炎症が起こる病気で、脂肪肝になった人の一部が発症します。

 脂肪肝では、動脈硬化心筋梗塞脳卒中などの危険性が高くなりますが、NASHになると、それと併せて肝硬変や肝がんになるリスクも高まります。

 

 NASHの原因はよくわかっていませんが、糖尿病、脂質異常症、高血圧がある場合は、注意が必要と言われます。

 脂肪肝の原因は、食べすぎや運動不足などによる肥満。また、短期間での無理なダイエットも原因です。

 急激なダイエットは、蛋白質不足を起こしやすく、肝臓に中性脂肪がたまりやすくなります。

 NASHを発症しやすいのは、男性、50歳以上の女性、BMIが23以上、生活習慣病がある、血液検査でALPやASTの値が高い、血小板の値が低いなどの人です。

 

つくば大学の報告では、食事制限による減量よりも強さをコントロールした運動の方が、肝臓周りの脂肪減少量が多いとの指摘がありました。

 

検診などで脂肪肝と言われたら、NASHに移行しないようにするためにも、食事制限よりも、まずは運動を始めましょう。

 

運動強度は3~5メッツ。

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こんな感じです。

 

                              記事担当:さかもと

コロナワクチン 二報

 当院の職員にもコロナワクチン2回目接種が進んできました。

 

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 今はまだ1バイアル5接種なので、15人という比較的少人数で行っていますが、来週末から1バイアル6接種が始まり、30人に倍増する予定です。

 

 ここからは、病院以外の医療者や消防などにも接種を拡大する予定のようです。

 

 先週から2回目の接種が開始され、副反応が高率で起きていることがわかってきました。リハ部の職員が若いこともありますが、約3割で発熱等の症状が出ています。

 

 医師によれば、部長くらい年取っていれば副反応も出ないだろうとのこと。

 

 50ちょっとで年寄りと言われるのは心外ですが、今日の夜から明日にかけて結果は出るでしょう。

 

 しかし、副反応が意外に高率なので、以下の対策をリハ部に呼びかけました。

 

 皆さんも参考にどうぞ。

 

 ①2回目接種の翌日は休暇にしておくこと

 

 ②発熱して寝込むことを想定し、巣ごもりができるよう準備しておくこと

 

 ③アセトアミノフェンを準備しておくこと

 

 365日体制の当院では、急に休みが出ることが頻発しては困ります。稀に2日発熱が続く場合もありますが、これでかなりのリスクを抑えることができると思います。

 

 いろいろな準備や副反応で大変な思いはありますが、接種しておいて損は無いように思います。

 先日プレスリリースされたファイザー製ワクチンは、2回目のワクチン接種から6ヵ月後までの有効性は91.3%であり、南アフリカにおいて流行が確認されている変異株B.1.351系統のCOVID-19症例の予防に対しても有効性を示したとのこと。

 高い有効性も出ていますので、みんなで頑張って接種に望んでいきたいと思います。

 

                            記事担当:部長さかもと

転倒予防のための生活環境の整備 ~廊下編~

今回は、屋内で転倒しやすい場所 第5位の廊下について、見ていきましょう。

 

環境の整備は、生活の自立度に応じて、介護保険を利用し補助金の対象となるものもありますので、自治体の窓口で相談してみるとよいでしょう。

 

転倒しやすい屋内場所ランキング

1.居間・茶の間・リビング   2.玄関・ホール・ポーチ   3.階段 

4.寝室   5.廊下   6.浴室

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<その他の安全な廊下のポイント>

○廊下に物を置かない

○滑り止め付きの靴下なら、足を滑らせ転倒する可能性も低くなります

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握力のない方にも使いやすい、肘で「支える」手すり。

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上面が平らになった手すりは、肘や手のひらで体を支えることができるので、リウマチの方などにおすすめです。しっかり握ることもできます。

 

置き型の手すり

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たちあっぷ:長さや型が多様にあり、廊下に手すり代わりに設置できます。

 

                                 文責:OT千嶋

『ゴクン』の時間は0.5秒!?

 食事や水分を飲み込むときに喉が『ゴクン』と動きますが、その時間は約0.5秒と言われています。

 

 わずか0.5秒の間にどんなことが起きているのでしょうか?

 

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『ナースフル疾患別シリーズ 第1章解剖と生理』より

 上の図は以前にもブログに載せましたが、左が息を吸っているときの口から喉にかけての動き、右が何かを飲み込むときの動きです。この右側の動きが『ゴクン』のわずか0.5秒間に起きているのです。

 

 皆さんが1回で飲み込む大きさの食物が、この一瞬にきれいに食道に流れ込んでいきます。タイミングが少しでもずれれば、食事や水分が気管に入ってムセてしまったり、喉に食物が残って異物感を感じたりします。

 

 こんな大事な動きが意識せずに正しく行われているのです。人間の体ってすごいですね。

 

                                                          記事担当:ST茂木

画面越しに見る自分の姿

みなさんはじめまして!

 

 新年度の理学療法室ブログ隊のリーダーを務めさせていただくことになりました、下山と申します。

 隊員も新たなメンバー6名で編成されました。

 さまざまな視点から、みなさんに興味を持っていただけるお話を伝えていきたいと思います。

 どうぞよろしくお願いします!

 

 

 振り返れば、2020年度は新型コロナ一色の一年でした。

 春を迎えた今も、その猛威は衰えるどころか変異株の感染も各地で見られ、まだまだ油断できない日々が続いています。

 以前ブログでもご紹介させていただきましたが、当院では感染に関連する面会制限の対応策として、タブレット端末を利用し、リハビリの進捗状況を動画で説明する機会を設けています。

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 私自身、家族説明向けにリハビリの様子を撮影する機会が多くあるのですが、本来の目的とは異なるメリットを感じています。

 それは患者さん自身にその場で動画を見てもらえるという点です。

 

 普段のリハビリでは鏡を使って正面から姿勢を確認したりすることはありますが、まるでリハビリを見学しているような視点で、横から・後ろから見る画面越しの自分の姿はすごく新鮮な感覚があるようです。

「これくらい歩ければ安心だね!」

「ずいぶん背中が曲がってるねぇ(笑)」

「もっと大またで歩いたほうがいいかな?」

など、そのリアクションは様々です。

 自分の姿を見ることに、なんとなく気恥ずかしさを覚える方もいるかと思いますが、大半の方は関心を持って見てくださいます。

 

 リハビリを進めていく上で“自分を知る”ことは、目標を立てることや向上心を持って取り組む上で非常に大切なことだと思います。

 また、患者さんと一緒に振り返ることは私達セラピストにとっても良い刺激となりますし、リハビリの成果を共有できるひとときは、喜ばしい瞬間でもあります。

 

 

 今のところ家族へ向けた撮影がメインとなっていますが、撮ってすぐその場で見ることのできるタブレットの活用の幅をもっと広げていければと思います。

 

                               記事担当:PT下山

 ※当院のマニュアルに基づき、動画は目的とした使用の後、削除しています。

 

 

どちらからお見えになりましたか?

 新人教育で、昨年度のデータをまとめている部長のさかもとです。

 

 コロナ禍で、県外からは患者さんをお受けすることが難しくなり、一昨年よりも入院患者さんは減少しているものの、昨年を黒字で終えることができました。

 

 これにはリハスタッフの人海戦術と努力が貢献していると思います。

 ありがとうございます。

 

 昨年も出しているデータですが、2020年度(2020.4.1~2021.3.31)に退院された患者さんの住所地を一覧にしました。

 

 数字は割合%です。

 

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 コロナ禍で県外からは入院を制限していたように思いますが、合計3%は県外でした。

 また、やはり吾妻の比率は高くなっていますが、前橋・高崎・渋川で全体の1/3を超えます。

 

 大きな声では言えませんが、比較的感染のない地域ですので、安心して入院することができるのかもしれません。

 ただ、面会はできませんので、スマホでやりとりしてくださいね。

 

                              記事担当:さかもと

『気になる記事を紹介いたします』

 滋賀県健康医療福祉部 健康寿命推進課健康しが企画室より、「医療・介護分野における農業との連携による地域実践事業で作成した実践事例集」が発行されました。

 

 医療・福祉施設内で農作業が行われており、社会との繋がりや人との交流といった参加・役割の部分に視点が置かれているなど、農作業が生活の1部として取り込まれています。

 当院では、入院期間の兼ね合いや日常生活機能訓練にも重きを置いているため、園芸活動として提供しても趣味レベルに留まってしまう傾向があります。きちんと参加や役割として視点が置かれていることは、ぜひ参考にさせて頂きたいと思います。

 

 そして農作業に関しての効果検証が少なく、当院では入院の中で非日常的な活動ができるという認識が強かったかと思いますが、今回の事例集では目に見えるデータとして掲載されています。

 

 当院の園芸リーダーとしてほとんど活動が出来ていなかったので、これを機にベランダでの園芸改革に努めてまいりたいと思います。

 

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                             記事担当:OTやまぐち

理学療法学科向けにオンライン講義をしました

 本日、拙い講義を聴いていただいた某大学一年生の皆さん、お疲れさまでした。

 例年見学という形で来ていただいていますが、昨年、今年とコロナ禍で実施ができず、ZOOMでの開催となりました。

 ZOOMでは相手の反応がわかりにくく、先生方がご苦労されていることの一部を実感させていただけたように思います。

 

 今年は某大学医学部のリハビリ見学も中止となりましたが、院長が医学部で講義をすることになっています。

 

 昨日から、臨床実習も再開し、日常を取り戻しつつあるように思いますが、PT室は急に5名の実習生と、3名の新人を受け入れることになり、バタバタしています。

 

 それでは、今日の講義内容について、少しだけ振り返りたいと思います。

 

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 mission=使命は上の3つ。

 膝より上の損傷または手術、または脳卒中という入院できる疾患の制限は多いですが、嵌まれば効果が高いと言えます。急性期病院から早く受け入れ、多くのリハビリを毎日行い、早く自宅に帰す、これが大まかな流れです。

 

 では、最大3時間できるはずのリハビリがどの程度提供されているかというと、先月の実績はこうなりました。

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 回復期は3棟、合計156床ありますが、リハビリ提供時間は休日の方が高くなっています。これは勤務者数を曜日に関わらずフラットに保つように努力しているということと、日曜・祝日は会議などがほとんど開催されていないことが、休日のリハ提供時間を押し上げる結果につながっています。5月以降は新人も稼働しますので、さらに提供時間が伸ばせるでしょう。

 

 最後は、高齢者が地域でいきいきと暮らすにはです。

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 その昔、ある医師が提示してくださったスライドを速攻でメモして(死語?)、絵にしました。間違っているところもあるかもしれませんが、こんなことをイメージしながらさまざまな援助をして自宅復帰できればQOLの高い生活が送れる可能性が高くなると考えています。

 

 オンラインでの講義内容を簡単にお話しました。くれぐれも学生さんにはこのページをコピー&ペーストして使わず、参考資料としてご覧ください。

 教授から単位認定されなくても責任はとれませんよ?。

 

                            記事担当:部長さかもと

脳卒中地域連携パス

 3月中旬の記事で、脳卒中地域連携パスの急性期病院からの受け入れ件数が、過去10年間で1300件を超えたとお伝えしました。

 

 当院にとっては、これは急性期病院で言うところの手術件数のようなのもので、脳卒中のリハビリを実施した件数が県内でも「かなり多い」ということを表しています。

 

 今日はこのパスの仕組みについて少しお伝えします。

 

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 現在の脳卒中医療では、上記のように時期に応じて転院し、自宅復帰に至る流れが推奨されています。

 

 それぞれの時期に専門的な医療機関が介入し、自宅復帰に至るわけです。

 

 地域連携パスは、このパスの流れという矢印の部分で、医療を行う上で必要な情報が流れを促進しています。

 

 脳卒中地域連携パスを使うと、患者さんの情報は決まった書式で次の医療機関に流され、回復期や維持期の病院からは、急性期病院に情報が流されます。

 

 これを行う前は、急性期病院が患者さんの最終的な転帰を(どうなったか?)知ることは難しかったし、回復期リハ病院などへ転院のために要する時間も長くなる傾向にありました。

 

 このパスによって、情報の流れや転院までの期間が短くなり、急性期、回復期、維持期(生活期)という転院、自宅復帰の流れがスムースになったといえます。

 

 さらにデータを一括管理することになり、時々ご紹介するものは、ここから解析を行っているからできることです。

 

 この制度の施行から10年以上が経過し、回復期も回復期リハ病棟と、地域包括ケア病棟ができ、さらに回復期リハ病棟への入院開始が、発症二ヶ月を超えても可能になりました。

 

 制度は少しずつ変化していきますが、回復期リハ病棟の存在意義はますます大きくなっていく勢いです。

 

 コロナ禍で面会制限があり、病院で実施しているリハビリの見学も難しくなっていますが、家族カンファレンスなどの際に動画で見ていただいたり、住宅改修の実地指導の際に、実際に自宅で患者さんに動作を行っていただいたりすることで9割前後の在宅復帰率を維持させていただいています。

 

 本来であれば、お伝えしたいことも山ほどありますが、こういった世の中の状況は暫くつづくと思います。ご容赦くださいませ。

 

                            記事担当:部長さかもと