群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。ロボットリハ稼働中。100名超のリハスタッフで365日リハビリ邁進中。一緒にリハビリがんばりましょう。

自分の行為への気付きが、運動能力を向上させる

 自己身体の気づきである「身体所有感」と「運動主体感」のうち、「運動主体感」だけが運動能力の改善に寄与することを、東北大学大学院情報科学研究科松宮教授らが明らかにしました。

 

見ている身体を自分の身体であると気づくとき、人間は以下の二つを経験し、これら二つの経験が運動能力の向上に関わっていると仮定されていました。

 

1.見ている身体を自分の身体の一部だと感じる(身体所有感)。

2.自分が身体を動かしていると感じる(運動主体感)。

 

 自己身体の気づきにおける、これら二つの経験のうち運動主体感だけが、運動能力の向上に関わっていることが判明しました。

 

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 患者さん自らが、動きにくい手や足を動かしたという経験をすることで、運動主体感を高めることができ、それが運動能力を向上するのに役立ちます。

 

 従って、動きを伴う動作を電気刺激による筋活動アシストや、ロボットなどによる動作アシスト、またはVRなどを患者さん自身の動きに合わせ、活動を増幅させることによって、運動主体感を高め、これが運動能力改善に寄与すると考えています。

           VRvirtual reality:仮想現実)

 

 この研究は、情報科学の観点から人間の身体認知のメカニズムを解明して、運動機能障害や心理的発達障害などの治療に役立てることを目標としているそうです。

 

 運動機能障害を有する患者さんは、心の中で感じている自分の手や足にも異常が生じており、この「心の中の身体」の回復が運動機能障害を克服する鍵を握っています。

 

 現在のリハビリテーションでは、この「心の中の身体」の回復を考慮できないため、リハビリテーションの効果が治療的介入では持続しないと考えられています。たとえ障害を患った身体部位が治療的介入で動くようになっても、「心の中の身体」が回復していないと、しばらくすると再びその身体部位は動かなくなっています。

 

 患者さんが自分で手足をコントロールできたという経験を、電気刺激やモーターなどで補助し、その経験を積み重ねることにより、心の中の体を回復させることができるでしょう。

 

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当院のラインナップ

 以前ご紹介をした当院の取り組み、一部だけ披露します。心の中の体を改善するために、これらの活動が後押ししてくれそうです。

 

                        記事担当:部長さかもと

『作業療法士が作ったチェアシート』

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チェアシート P!nto(ピント)

 

 『P!nto』の開発者は、作業療法士歴35年以上の野村寿子(のむら・ひさこ)さん。もともと、障害がある人向けのオーダーチェアシートづくりを、年間300件も手掛けてきました。

 

 年間300件ものオーダーチェアシートを手掛ける作業療法士、野村寿子さんの採型技術と、5000人の体型分析データからつくられたチェアシート。

 

 一人ひとりの体を触りながら、病気やケガだけではなく、習慣・クセ、運動不足による筋力低下から、多くの人が姿勢を崩していることを痛感し、骨と筋肉に正しい位置情報をつたえるチェアシートをつくって、誰もが心地よく座りながら、疲れにくい体づくりができないか?とその答えを追求し実現したのが『P!nto』です。

 

 最近重力に負け気味な私としては、1度使用してみたい代物です。

 コロナ禍でテレワークも増えつつあり、外出の自粛やステイホームを余儀なくされている今、自分の姿勢もそうですがリハビリ職として働く姿勢も見直していきたいと思います。

 

                        作業療法士 山口 一幸

ありがとうございます

以前もいただいていましたが、お礼を紹介し忘れていました。

 

医療従事者の皆様に…

ということで、

 

群馬ヤクルト販売様から”ヤクルト”をたくさんいただきました。

 

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            持ちきれないので一部です

 

ありがとうございます。

 

ヤクルト飲んで頑張ります。

 

                       リハビリテーション部一同

 

自己練習

今日は骨盤おこしのご紹介をします。

 

早速ですが方法です。

 

 

椅子に浅めに腰かける

 

腰に手をあてる(絵では太腿に手を置いていますが、腰の方が骨盤の動きがわかりやすくなると思います)

 

1.おなかをへこませるように背中を丸める

 

2.へそを前に突き出すように背筋を伸ばす

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姿勢が普段から乱れている方は、屈曲弛緩現象によって、腹筋・背筋の力が弱くなっていることがあります。

 

姿勢を良くするにはまずは骨盤起こしから。

 

脳卒中後などでは、体幹にも力が入りにくく、座ることができる方でも骨盤を起こすことまでは難しい方も多いです。

 

1~2を繰り返し、一日10回から20回。ご自身の体力に合わせて前に転ばないよう行いましょう。

 

                          記事担当:さかもと

 

 

リハビリと関係ないわけではないクスリの話

 リハビリ担当なので、専門外の話ですが、クスリはキチンと飲みましょうというお話しです。

 

 長期的にクスリを飲んでいる方は、医師や薬剤師にご確認ください。

 

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 いくつかの文献からの引用です。

 

 退院後3ヶ月以内に、医師の診察を受け、治療薬について医師または薬剤師から説明を受けてください。

 

 医師の診察を定期的に受けない患者の服薬遵守率は低いそうです。予約してスケジュールを守りましょう。

 

 一年程度で3人に1人は1種類以上の薬をやめてしまう。継続は力なり。

 

 日常生活動作が要介助の患者さんほど服薬遵守率が低いとのこと。やはり自己管理をするのが難しくなるということもあるでしょうか。

 

 特にDOACや高血圧の薬は自己判断で止めてしまわないようお願い致します。

 

 降圧剤の服薬順守率40%未満だと、再発や死亡するリスクは高順守率患者の1.80倍になるそうです。

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こんな感じ

 こんな怖い話ではなくても、体調が悪くなる可能性も高くなってしまうとお考えください。

 

 自己判断でクスリを見限らないで、医師にご相談を。

 

直接経口抗凝固薬(Direct Oral AntiCoagulants:DOAC)とはこんなクスリたちです。

ダビガトラン(商品名:プラザキサ)

リバロキサバン(商品名:イグザレルト)

アピキサバン(商品名:エリキュース)

エドキサバン(商品名:リクシアナ)

 

使っている方はすぐにわかりますね。

 

                            記事:さかもと

最強寒波到来 そのとき群リハは・・・

 2021年 1月7日から8日にかけて、最強寒波なるものが関東山沿いから甲信越にかけて上陸しました。各地で暴風雪が発生し、大雪に見舞われた地域もあるようです。

 

 さすがに寒いですね!渋川市も朝方には雪で道路が白くなっている状況でした。このような状況となると『群リハは大雪かな』と思われる方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか?私は群馬リハビリテーション病院に勤務し17年目となりますが『このぐらいならばここ(渋川)と変わらないな』と予想して出勤して参りました。

 

 今朝の写真です。

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 まさか出勤時の渋川より雪が積もっていない・・・! 17年目の理学療法士の予測は外れるのでした。

 

 群リハは雪が心配との声を聞きますが、我々職員もスタッドレスタイヤなど一般的な装備で出勤しています。そして皆さんに言われるほど降雪地帯ではありません。

 

 この最強寒波は1月10日くらいまで居座るとの報道がありました。くれぐれも滑落や転倒、ヒートショック等に注意してください。

 

                            文責:PT安齋

二動作歩行と三動作歩行

 杖を一本持って歩く方法には2つのタイプがあります。3動作と2動作歩行です。

 

 歩き方は、以下の絵の通りです。

(スミマセン絵が入れ替わってしまったので修正しました)

 また、数字の順に動作しているので左から右にみてください(^_^;。

 

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         杖と右足を同時、次に左足という2動作

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            杖、右足、左足の順に3動作

 

 3動作の場合、絵では左足が右足よりも先行していますが、実際には左右の足が揃う程度までしか振り出さない場合が多いです。(そろい型と言います)

 こう考えると、2動作が3動作になるだけで、歩行速度は1.5倍遅くなり、さらに三動作そろい型歩行の場合、二歩の振り出しでも一歩分しか進みませんし、両脚で体重を支えて前方への推進が止まる時間帯もあります。

 従って、理論上は二動作歩行と三動作歩行を比較すると3倍程度歩行速度に差がつくはずです。

 

そこでどのくらいの差があるモノか比較するため、実際にある研究のデータを、グラフにしてみました。

 

これは、若年の障害者の歩行速度平均値を、歩行様式(二動作、三動作)により比較したモノです。

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二動作と三動作では、2.5倍程度の速度差がありました。

 

下は高齢歩行自立障害者の歩行速度平均を歩行様式により比較したモノです。

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 高齢者では歩行様式により、歩行速度に2倍程度の差が出ています。

 

 理論値の3倍までの開きはありませんが、1,2,3と歩くより、1,2で歩みを進めた方がスムーズに歩けると言えそうです。

 特に3動作では、左足を揃える際に、一度停止してからまた動作を開始しなくてはならないので、効率が悪くなっているといえるでしょう。

 さらに、実際の歩行では足の運びだけでなく、体幹や頭部などが微妙なバランスを取りながら動作する必要がありますので、理論値までには至らなかったと考えられます。

 

 歩行時の恐怖感が強く、安定性を高めたいなら3動作歩行、歩行速度を高めたいなら2動作歩行を目指しますが、歩行速度が高い方が自立度も高いとも言われています。

 

 安全でスムーズに速く歩けることを目指し、患者さんと共に歩行練習を行っていきたいと思います。

 

                     記事担当:理学療法士さかもと

 

「2年目発表(部署内)を行いました」

こんにちは!ST(言語聴覚士)の登丸です。

昨年入職し、今年で2年目になります。

1年目は、毎日必死でリハビリを行っていましたが、

2年目になり、他部署の方と連携しながら仕事をしたり、1人1人の患者さんについてより考えを深めたりといったことができる余裕が少し出てきたように思います。

 

先日、ST室内で症例発表を行いました。

当院では、2年目のリハビリスタッフは勉強のため、所属部署で症例発表を行うことになっています。

 

          ↓今年は少人数で…

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今回、症例をまとめるにあたって文献等を調べました。

学生の頃は、ただ知識として本を読んでいましたが、臨床を少し経験してから文献を読むと、自分の経験と知識が結びつき、より考えが深まりました。

知識と経験は、どちらもあってこそお互いが活かされることに気づき、良い勉強になりました。

まだ経験は浅いですが、日々患者さんから学ばせて頂きながら、今後も勉強を続けていきたいと思います。

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                          記事担当:ST登丸

PT室の取り組み

中国で新型コロナウイルスが確認されてから、1年以上が経ちました。

ワクチン接種や緊急事態宣言の話が話題になっていますが、

新しい生活様式にはだいぶ慣れてきたのではないでしょうか。

 

マスクの着用やソーシャルディスタンスなど

日常的になった事がある反面、

いまだに慣れない事もあるかと思います。

 

僕の場合は、職場での昼食に慣れることが出来ていません。

リハ部(病院の)感染対策の一環として、

昼食時に会話をしないようにしています。(話す時はマスクの着用厳守)

大体20人ほどいる部屋の中で

いままでは和気あいあいと、騒がしいくらいの状態でしたが

いまでは誰もしゃべらず、もくもくとご飯を食べています。

(約1年経った今でも、違和感しかありません。笑)

 

今年入職の新人さんにしてみれば

「この職場、めっちゃ仲悪いじゃん!」

と、思ったかもしれません。(あくまで想像です。)

 

そんな無言の食事時間を有効に使おうということで

PT室教育係が毎週このような物を作ってくれています!

 

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テーマは毎回様々で、空き時間の有効活用と知識の共有、自己研鑽のために活用しています!

毎週、凝った内容の物が出てくるので

退屈な昼食時間を有意義に使う事が出来、いつも感謝しています!!!

 

これは一例に過ぎませんが、

新しい生活様式の中でも、工夫を凝らし

順応していくことで、今までよりも何か良くなることがあるかもしれませんね!

 

                          記事担当:PT小竹

正月太り対策ですが、運動したほうが良いとは言いません

 本来は運動習慣を持つべきですが、今日はそういう話はしません。

 不健康な食習慣は肥満を招きやすいとよく言われますが、肥満リスクへの影響を調査したものをご紹介します。

 久山町研究のデータを、九州大学吉田氏らが解析し、学会誌に掲載されています。

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 結果を簡単にいうと、間食、早食い、就寝間近の食事という3つの習慣のうち、あてはまる数が多い人ほど肥満や腹部肥満の人が多いという報告です。

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 対象者は、40~74歳の福岡県久山町の地域住民2000人弱で、「間食をするか」、「他人よりも食べるのが速いか」、「就寝前2時間以内に食事をするか」という3つの食習慣を調査しました。

 その食習慣の有無や該当数と、肥満(BMI25以上)および腹部肥満(腹囲長が男性90cm以上、女性80cm以上)との関連を検討しています。

 

 3つの食習慣が該当する数と肥満・腹部肥満の関連を検討すると、該当する食習慣が1つもない場合に比べ、1つ該当する場合は肥満のオッズ比が1.53(95%信頼区間1.11~2.12)、2つでは2.62(1.89~3.63)、3つでは3.65(2.36~5.63)と、該当数が多いほど肥満を有するリスクが高まることがわかりました。腹部肥満でも1つでは1.53(1.16~2.01)、2つでは2.28(1.71~3.05)、3つでは2.87(1.89~4.36)でした。

 

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 結果から、不健康な食習慣の数と、肥満や腹部肥満のリスクと関係があることがわかりました。不健康な食習慣を修正し、これを逆に習慣化できれば、肥満・腹部肥満のリスクを減らせる可能性があります。

 

 フレイルやプレフレイルに陥っている方や、子供には該当しませんが、中年以降では代謝も低下しますので、こんな配慮も必要です。また、最近はよく噛んでゆっくり食べることで、食事誘発性熱産生を高めて食事によるエネルギー消費量を増やすといわれ、食事内容が高タンパクだとさらに熱産生が多くなるという報告もあります。

 

 最後にもう一度確認しますが、間食はしないこと、できるだけゆっくり食べること、寝る2時間以内には食事をしないようにすることに配慮するだけでも、肥満を減らし健康的な生活ができる可能性を増やせます。

 

 いかがでしょうか、試してみようと思いましたか?

 

                        記事担当:部長さかもと