群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。ロボットリハ稼働中。100名超のリハスタッフで365日リハビリ邁進中。一緒にリハビリがんばりましょう。

積雪情報?

 この冬は暖かい日が多く、雪不足に頭を悩ますスキー場の様子が多く報道されたりしていました。

 

 当院職員も、早い人は12月上旬には車をスタッドレスタイヤに履き替えて、雪に備えていましたが、ほぼ出番がない状態が続きました。

 

 それでも新年が明けて5日にはようやく積雪となる雪が降りました。

 

 写真は5日朝の沢渡温泉入口の様子です。

 

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写真1 5日の沢渡温泉入り口

 日々の臨床の中で、ここ沢渡地区は雪が深く、冬になるとなかなか車で来るには勇気が要る場所だと思われている方が多くいらっしゃるように思います。

 

 私なども家族から雪が降ると出勤できるのか?と心配されることが多くあります(苦笑)

 

 それだけ山間部で雪が多いところだと思われているようです。

 

 たしかに、市街地に比べれば雪は多いですが、何日も降り続くことはまずありません。
 

 市街地から病院までの道中は走りやすい道ですし、除雪車が出るほどの雪が降ることはそう多くありません。

 

 下の写真2は、翌日6日夕方の状態です。

 

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写真2 6日の沢渡温泉入り口

 雪がやんだあともほんの一部の日陰などでは、路面に雪が残り凍結するようなこともありますが、冬用タイヤさえ履いて安全運転を心掛けていれば、思われるほど大変な場所ではないと思っています。

 

 くどくどと書きましたが、山間部の病院ではありますが、冬の間、雪で閉ざされたような場所ではないので、患者さんのご家族や、例えば群リハへの就職を考えているけれど、冬は雪が心配だと思われている方々に向けて、そう心配することはありませんよ!とお伝えしたかっただけなのです。

 

                              PT 山本

ココロの憩いの場

 当院は、群馬県中之条町沢渡温泉の一角に位置し、温泉街を見下ろす高台にあります。


 患者さんは毎日リハビリ訓練に熱心に取り組んでくださっていますが、長期の入院や訓練で疲れがあるときなど、ほっと一息つきたい瞬間があります。


 そんなとき、私が訓練の中で患者さんをご案内する場所が、
 この眺めの良いスペースです。

 

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 この写真は、雪景色ではありませんが。

 つい先日の雪では、一面の銀世界を楽しむ事ができました。


 春は道路沿いの桜並木、夏は新緑に始まる緑、秋は大人しめの紅葉、
と四季を感じる事が出来ます。


 患者さんと景色と四季を感じながら、見当識(自分が今、置かれている時間や場所などを把握する事)の確認などを行っています。

 

 この場所は、心を休めたり、目に見える眺めから現在の四季を感じる事が出来る素敵な場所です。

 

                          記事担当:ST吉田

車椅子上での麻痺手の管理について

  私が担当させていただいた患者さんで、車椅子乗車時に麻痺手に痛みを訴える方がいらっしゃいました。

 

 脳卒中で上肢の麻痺が強い方は、車椅子に乗っている際に麻痺側上肢の管理が不十分になったり、ポジションが悪いと痛みが発生するケースがあります。

 

 そこで学生さんが一生懸命にクッションを作成してくれました(図1)。

 

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 今まではカットアウトボードというボードを使用し対応していましたが、手の形にフィットしにくい事や紐をつけてしまうと自分では付け外しがしにくいという問題があると感じていました。

 

 そこで今回はクッションにバンドをつけました(図2)。

 

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 そのため患者様自身で取り外しがしやすくなりました(図3)。

 

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 また、クッションをつけることで、より手の形にフィットしやすくなりました。

 

 患者さんもクッションに名前をつけて気に入ってくださり、嬉しかったです。

 

                          記事担当:OT粕川

手術や薬による治療とリハビリの違い 朝礼で話したこと➁

 手術や投薬といった医療行為は,患者さんは「受け身」でいれば治療を終えることができます。しかし、一方リハビリ患者には能動性※が求められます。

※ 他からのはたらきかけを待たずにみずから活動すること。受け身でない活動。

 筋力や持久力は当然、能動的活動で得ることができ、活動・行為という治療対象が能動性を前提にしています。

 

 古くから「できる・しているADL」という言葉が存在するように、しばしば訓練室での能力が, そのまま実生活で遂行されないという問題に直面します。

 実生活場面で課題を遂行するには、その行為そのものが実現できる能力の他に、 能動性を発揮する高い動機付けも必要となります。

 動機付けは状況依存性があるので、実生活場面では看護師に依存的になりやすい(これを患者役割といいますが)、一方訓練室場面を考えると、療法士と患者は、いわば教師と生徒のような関係にあり(これを学習者役割といいます)、療法士は動機付けに対する外的強化因子として作用するため、訓練場面での課題の実施は比較的容易です。

 このようにリハビリ患者は入院生活の中で患者役割と学習者役割の2 つの役割を無意識に使い分けているといえます。

 一方で相補的役割を担う医療者側も、「できることは自分でやってほしいし、廃用になるからできるだけ起きていてほしい」と思いながらも, 朝の検温や回診などではベッド待機を指示し、食事はベッド上で摂らせるなど、医療者側でも無意識的な役割の使い分けが生じています。

 この点を見逃すと、相補的役割間で役割期待が一致しなくなり、役割同士の衝突、すなわち役割葛藤が生じるそうです。

 患者さんの能動性を高めることは、単に自主トレーニングを推奨している訳ではありません。

 普段の生活でどう活用すべきか考え、安全性も考え、患者さんと意見交換しながら、リハの効果を生活の中で使っていただく事が重要でしょう。

 さて、皆さん。実行状況としてのADLを高めるために皆さんはどうしていくべきだとお考えでしょうか。

 

                        記事担当:部長さかもと

朝礼で話したこと

 先日、理学療法士が外線電話をしていました。

 あとで聞くと、退院先の維持期のリハで当院を退院した患者さんがうまくリハビリに乗ってこないとのこと。

 ケアマネジャーさんから、どうしたらいいでしょうかという相談があったようです。

 

 まず患者さん宅に電話してみたところ、維持期の理学療法士から当院で修得した移乗の方法について否定されてしまったとのこと。

 床に両足底をしっかり着くよう指導していたが、維持期のPTからはそれじゃダメだと指摘されたとのこと。

 当院の理学療法士との信頼関係がしっかりできていた事もあって、ご家族はこの理学療法士に不信感を持ったそうです。

 

 次いで、担当の維持期施設に電話。

 リハビリ担当の理学療法士以外のスタッフと15分ほど話をしましたが、担当に代わりますとの事で、その後また同じことを担当の理学療法士に話す羽目になりました。

 

 これだけでも心折れますが、まあこの理学療法士は丁寧に同じ事をお話しするわけです。

 

 でも、いかんせんこの相手先理学療法士、しっかり書いたはずの申し送りも全く読んでいない。

 

 さらに話す態度は悪く、タメ口(親しい人同志での話し方)。 

 訴えが強くなって何にもできません、お手上げとのこと。

 

 リハビリ何やってたの、と良く言えば親しい口調で聞くわけですこの方が。

 

 普通なら、この時点で答えたくなくなってしまいます。

 

 患者さんは長下肢装具を作成し、自宅退院しましたが、維持期の理学療法士は“装具は使いたくありません”とのこと。

 どうしてですかと聞くと“感覚入力を大事にしたいから・・”。装具使うと感覚なしで動けるのでしょうか。また装具は液体窒素による凍結と同じと考えているんでしょうか。

 

 しかも、平行棒内歩行練習しかしない。二木先生が1992年、脳卒中の早期リハビリテーションという本で語っていますが、平行棒内歩行は監視・介助歩行ですらないといっていいと思っているとのこと。

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 これは退院時に平行棒内歩行にとどまった患者さんでは、余程特殊な例でない限り退院した途端に歩けなくなるという研究結果から言っています。

 

 従ってリハビリは当然、平行棒内に止めてはいけません。

 長々と語ってしまいましたが、この理学療法士から学べることは、最低3つ。

 

 1.同職種で年齢差があったとしても、仕事の話をするには、敬語・もしくは丁寧語ですべきです。真摯に聞いていれば家族の不満についても話ができたかもしれません。

 

 2.折角作成いただいた申し送り等については、しっかり確認しておくことです。これをネタに話がつまれていく可能性があります。ベースの無い、砂上の楼閣ではそれ以上積めません。

 

 3.急性期や回復期のセラピストの思いを受け取るようにしましょう。例えその方法が間違っていたとしても、患者さんご家族がやっている方法を否定してしまっては本人達も混乱します。なぜその指導を受けることになったのでしょうか?と確認し、受け止めてから自分の思っている方向の提案を行ってはいかがでしょうか。

 

 まだ、言うとキリがありませんが、時々、この話を思いだして、反面教師としてご活用ください。

 

 という話をリハ部の朝礼でしました。

 

 この施設の悪口を言って言っているわけではありません。自分が対応に困ったとき、どんな問題があるのか良く考え、対応すべきと考えています。

 

 今年も楽しく元気に仲良くリハビリしたいと思います。

 どうぞ宜しくお願いします。

                            記事:さかもと

ロボットリハビリでの試行錯誤

 歩行アシストを比較的強めのモーター出力で実施した。左右の非対称性を改善できるように調整して数日実施しました。

 実施前後、歩行アシストの評価機能を使って測定すると、脚の運びは速くなりましたが、非対称性は開始前と変わりませんでした。

 片麻痺患者で股関節屈曲が非麻痺側の半分以下で変化がありません。

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 股関節のモーターアシストに、患者さんが完全に依存してしまった結果、特に麻痺側の股関節屈曲を自身で行うことを引き出すことができませんでした。

 

 ロボットリハビリの基本は、「必要に応じた支援(assist as needed)」です。

 過剰な支援は患者さんの能動性を奪うこともあります。

 

 人間の活動は、脳が動かそうと意図して筋収縮を起こさせ、動きを出しています。

 そこに患者さん個人が主体的で能動的に関わり、自ら動かそうとしないと活動が起こりません。

 患者さんが動かそうとする意思に対して必要最小限のアシストを加えるイメージです。

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 必要最小限より大きいアシストでは、患者さんが機器に依存してしまい自発的な活動が制限されます。

 これでは患者さんが良くなろうとすることに対し阻害因子を与えているようなものでしょう。

 

 HONDA歩行アシストは股関節屈曲伸展のみの軽微なアシストによって構成されています。

 股関節のアシストは不十分で、さらに膝や足首に対するアシストはありません。最近流行りの弱いロボットかもしれません。

 

 股関節を大きく動かすだけならそんなに強い力は必要ありません。しかし股関節を少し大きく動かすことにより、特に足関節底背屈に対して影響が大きくなります。

 患者さんはバランスが悪くなるので、あまり大きく股関節を振り出されるのを嫌がります。アシストに対し、股関節の動きを制御して通常よりも少し大きな動きにするが、足首周りの筋肉に対しての刺激や、体幹バランスに対する刺激は大きく、これに対し少し対応ができるようになると、股関節の動きを許すようになって歩幅が拡大していきます。

 このように緩徐で複合的な歩行介入となるので、特に立位の動的バランスが比較的悪い患者さんでは時間がかかりますが、徐々に歩幅や歩行速度が拡大していくという経験をしています。

 

 少し専門的な内容になってしまいましたが、細かいことは理学療法士が考えてくれます。

 

 良いお年をお迎えください。

 

                          記事:部長さかもと

【中之条まちなか5時間リレーマラソン】

 さかのぼること1ヶ月…

 

 令和元年12月1日(日)に中之条まちなか5時間リレーマラソンが行われました。

 

 この大会は、中之条町のまちなか1周3.5kmの国道を貸切った特設コースを1チーム3~10人でたすきを繋ぎながら5時間走り抜く大会です。今回で8回目を迎え総勢252チームの方々が参加され、応援の方々、ボランティアの方々と多くの方が集まり、とても盛り上がったようです。

 

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 当院関係者から選ばれし10人が参加してくれました。

 他部署の方々が一致団結し、たすきを繋ぎ、見事19位という優秀な成績を修めてくれました☆

 今回は、我らOTを代表し参加してくれた関OTに感想を伺いました!!

 

 「私自身は4回目の出場となるのですが県内外から200チーム以上が参加する大変規模の大きな大会です。ランナーの中にはコスプレをして参加するチームや学生時代に箱根路や都大路を走ったシリアスランナーの方々もいて、参加する人にとっても思い思いに楽しめる大会だったと感じています。

 今回、群リハチームは監督のMSW小屋君曰く「過去最強」との事でした。各選手が自分の持ち味やベストを十分に発揮し、参加250チーム中19位といった素晴らしい結果となりました。また、看護部や診療部の方々からも多くの応援やご支援を頂き心身共に充実した素晴らしい時間となりました。

 まちなか5時間リレーマラソンは他職種混合チームで参加しています。こういった活動はチーム医療を行う上でも非常に重要になるのではないかと思います。

 中之条町という交通などが不便な土地柄ですが、このような素晴らしい大会、素晴らしい人達がいることは大変誇りに思います。

これからも群馬リハビリテーション病院をよろしくお願いします!」

                          作業療法士 関仁紀

 

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好天候にも恵まれ、皆様素敵な笑顔です。

これからも活躍を楽しみにしています☆

                          記事担当:OT蜂巣

頚髄損傷患者の転帰(リハビリ結果➂)

 頚髄損傷シリーズ最終?です。

 

 過去の記事で、歩ける人、立てる人はいいけど、それ以外の人はどうなの?という疑問が生まれたかもしれません。

 

 今日はそれに少しだけお応えしたいと思います。

 

 回復期リハビリ病棟に入院したときに、立位・歩行ができなかった方がどうなったのかをお示ししたいと思います。

 

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 下肢が完全に麻痺した患者さんも入っていますので、一概に言うことは難しいのですが、立位で6割、歩行でも6割弱の患者さんが退院までにできるようになっています。

 

 麻痺の程度によりこのあたりの予後はかなり違いがありますが、患者さんの状態に合わせてリハビリが提供できる事が、当院の良い所だと思います。

 

 年末は31日まで、年始は1日から入院リハビリは行います。外来は明日より5日までお休みいただきますので宜しくお願い致します。

 

                          記事:部長さかもと

 

頚髄損傷者のリハビリ結果 その➁

前回は全体を示しましたので、見ていない方はこちらをどうぞ。

 gunmarehab.hatenablog.com

 今回は、もう少し踏み込んだ部分です。

 

 入院時に歩行ができた症例6例を調査しました。

 

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 退院時には歩行補助具を変更する方が、2/3を占めました。

 例えば歩行器からT杖に変更だったり、T杖から杖なし歩行であったりという具合です。

 

 急性期病院で、杖などを使って歩けるようになったら、さらにその上を目指してリハ病院の門を叩く、というのは良い選択でしょう。

 

 

 また、当院入院時に立っていられる患者さんは、退院時にどうなったかという調査です。

 

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 入院時には4割程度が歩けていましたが、退院時には100%の患者さんが歩行できるようになっています。

 脚の動いている不全麻痺であれば、結果は良好です。

 

 上の二つのグラフを合わせて考えると、入院時に立てる患者さんの86.6%が、杖を小さくしたり、歩行自立度が上がるなどして改善がみられると言うことがわかりました。

 残りの13.3%についても不明ですので、良くなっている可能性もあります。

 

 わずか35例の頚髄損傷の調査ではありますが、リハビリの結果どうなるかのイメージが少しでもできれば幸いです。

 

                           リハ部長さかもと