群馬リハビリテーション病院 リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。通常のリハビリに加え、早朝リハビリも施行。さらにHAL、歩行アシスト、足首アシスト、IVES、REOGO-J、Walkaideなどを中心とするロボットリハも駆使し、多くのリハスタッフで患者さんを担当させていただいております。

当院の頚髄損傷リハビリ結果を調べました

 3年ほど前の事になりますが、有名な政治家が趣味の自転車で転倒し、頸髄をいためてしまう事件がおきました。

 

脊髄をいためるとどうなるのでしょうか?

 

 人間は体を動かそうと思うと、脳からの指示は脊髄から神経により手足に伝わっていきます。また感触などは神経から脊髄によって脳に伝わります。

 

 この脊髄は人体で極めて重要な組織であり、繊細な組織です。

 哺乳類の中枢神経系は損傷すると再生しないことがヒポクラテスの時代から知られてきました。

 

 脊髄が断裂してしまうと頭でいくら指示を出しても、損傷された脊髄を越えて神経の伝達が伝わることはなくなります。これが脊髄損傷です。

 

 頸椎には7個の骨がありますが、中央に脊柱管があり、脊髄はその中を通っています。

 繊細な組織なので骨によって保護されています。

 

 外傷によって、頸椎で脊柱管が損傷され、脊髄に傷がつくことで発症します。

 軽傷であれば、手足のしびれが出現し次第に軽快していきますが、重度に頸髄が損傷してしまうと麻痺が残ってしまう可能性が高くなります。

 

 その場合には長期のリハビリが必要といえるでしょう。

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - -

 

 最近増えている高齢者の頚髄損傷。ちょっと気になったので、どのくらいの割合で自立度が変化したか調査しました。

 

 過去2年。35例のリハビリ結果です。

 不全損傷、完全損傷などの分類はカルテを調査しないと難しいため、今回は全員で割合を出しています。

 

     f:id:sawatarispa:20191223182237p:plain

 入院時の立位と歩行の自立割合を示しています。

 

 4割くらいの方が立つことができ、2割弱の方が歩く事ができています。

 

 立位は支えなしでできる割合を示していますが、歩行は歩行器等使ってもできる方の割合を示しています。

 

 では、退院時にどうなったのか。

 

 下に示します。

 

     f:id:sawatarispa:20191223182535p:plain

 立位で8割弱、歩行で74%が自立に至っています。

 

 完全損傷の患者さんは、動作の獲得は難しいですが、立ち上がりなどを行う事で、筋活動がみられるようになることもありますので、悲観して何もしないというのはお勧めできません。

 

 装具を利用したり、杖を工夫したり、歩行器を変えてみたりとあらゆる工夫をして少しでも使える歩行にしようと、患者さんと一緒に頑張った結果が現れていると思います。

 

 機会があれば詳細をご紹介します。

 

                        記事担当:部長さかもと