群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。ロボットリハ稼働中。100名超のリハスタッフで365日リハビリ邁進中。一緒にリハビリがんばりましょう。

浴槽につかる

 温泉がしみる季節になりましたので、

 

 今日は、以前にもお話しした、3万人の方々を20年間追跡した調査にもとづいた、浴槽入浴頻度と脳卒中や心血管疾患発症リスクとの関連のお話しをします。

 

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 入浴は、血行動態機能を改善することから心血管疾患予防効果があると言われますが、実際にはどうなのかという調査です。

 

 浴槽への入浴頻度で病気の発症リスクを比べると、「週2回以下」の方と比べ、「ほぼ毎日入る」方では、脳卒中の発症リスクは26%低く、病型別にみると脳出血で46%、脳梗塞で23%の低下がみられました。

 

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 浴槽入浴頻度が「週2回以下」のグループと比較して、「ほとんど毎日」のグループは、心血管疾患に罹るリスクも28%低下していました。

 

 うち虚血性心疾患(冠動脈疾患)リスクについては35%の低下を認めましたが、心筋梗塞や心臓突然死については、統計的に有意ではありませんでした。

 

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 浴槽入浴は、お湯につかることで、体温の上昇、心臓の収縮力や循環血液量の増加などを引き起こし、運動をするのと似た作用で循環器疾患の発症リスクを低下させた可能性があります。

 

 また、浴槽への入浴を毎日継続して行えるということは、生活習慣がキチンとしていることの表れでもあり、生活習慣が乱れていては、毎日入浴するという習慣を維持していくことが難しいのではないかということもあります。

 

シャワー浴 vs バスタブ浴 - 群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

 

 浴槽に毎日浸かるという日本人特有の習慣は、脳卒中や冠動脈疾患発症リスクを下げる効果も持っているようです。

 

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       「黙浴」

 

 風呂の温度はぬるめでもなく、熱めでもなく、適温での入浴が脳卒中、心血管疾患の発症率が低かったという結果も出ています。

 

 こういった話をすると、私はもうこの病気に罹ってしまったから、意味がないですねという方もいらっしゃいますが、再発を予防したり、別の疾患に罹りにくくしたり、悪化させたりしないようにするためにも、生活習慣や入浴は大事なことと言えます。

 

 病気になってしまったからこそ、薬や睡眠、食事、生活習慣は大事にする必要があるのではないでしょうか。

 


                  記事担当:部長さかもと

♪♪ 沢渡ビエンナーレ ♪♪

 少し時期は過ぎてしましたが、11月上旬頃まで、沢渡では紅葉が見頃でした。沢渡温泉街まで昇る坂道はもみじやイチョウが多く、この時期はとても綺麗です。

 

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 先日、中之条ビエンナーレは閉幕しましたが、病院内でもリハの一部として『さわたりビエンナーレ』を企画しました。院内の至る所の作品や景色を周り、スタンプを集めていくというものです。

 

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 リハ室に飾られた作品、また今回使用したスタンプも、リハの中で患者さんと一緒に作成したものです。

 初めの意図としては、認知機能の低下により活動性が低くなってしまっている患者さんに、少しでも楽しみを感じてもらえる機会を作る事でした。…が、実際に一緒に回ってみると、スタンプラリーって思ったより結構楽しい!!!宝探しのような、ドキドキワクワク感(^o^)患者様も必死にスタンプを探してくれたり、作品についてや病院の事、この辺りの地域の事等、その場その場で話が膨らみ、楽しい時間が過ごせました。

 ただ歩行練習するだけでなく、意味合いや楽しさを考え作る事で、こんなにも患者さんの表情や姿勢が変わっていくのだなと改めて感じました。沢渡という自然溢れる環境、山の中のリハ専門病院の良さを活かし、これからも患者さんに楽しみのあるリハビリを提供していきたいと思います♪

 

 最近ぐっと寒さを感じるようになってきました。皆様もお身体ご自愛くださいませ。

          

              記事担当:OT五十嵐

 

感染症について

 最近ますます、気温が下がり肌寒くなってきました。新型コロナウイルスの新規感染者はかなり減少してきましたが、まだまだ油断できない状態ではないかと思います。

 今後は新型コロナウイルスだけでなく様々なウイルスに注意が必要だと思いますので、今回はウイルスの流行とその予防についてご紹介させていただきます。

 

冬期にウイルスが流行する理由について

 冬期にウイルス感染症が流行するのは、ウイルスの種類にもよりますが、冬の気温や湿度がウイルスに至適な環境を作り出しているといわれています。15℃以下の低い気温と40%以下の低い湿度によって、ウイルスは表面の水分を失い、空中に浮遊し、飛散しやすくなります。またこのような環境下においてはウイルスの生存期間も長くなるため、感染も拡がりやすくなります。

 

予防策

・免疫力を高める

・手洗い・うがい・咳エチケット

・ 室温は22~26度、湿度は50~60%を目安にする。

・ 3密を避ける

・ 寒い日は、保温に努める。

(高齢者は特に体温調節が困難な方も多く、保温が必要でしょう。)

・ 水分摂取をこころがける。

(夏より冬場は水分摂取量が減っていることに注意したいですね)

・適度な換気

 

 周りにうつさないためにもまずは、自分の体調や予防をしていきたいと思います。

 

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参考資料:認定看護師便り

                  記事担当:ST西澤

こんなマーク見たことありませんか?

皆さんは、図のようなマークを見たことはありますか?

 

また、マークの意味をご存知ですか?

 

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これらは“障害者に関係するマーク”として内閣府から紹介されているマークです。

①障害者のための国際シンボルマーク

②盲人のための国際シンボルマーク

身体障害者マーク

聴覚障害者マーク

⑤ほじょ犬マーク

⑥耳マーク

⑦ハート・プラスマーク

オストメイト用設備

上記は一例ですが、これを見ただけでも沢山の種類があることが分かって頂けるかと思います。

とくに、①障害者のための国際シンボルマークは、スーパーやトイレなど見かけたことがある方も多いのではないでしょうか?

このマークは障害者が利用出来る建物・施設であることを明確に示すための世界共通マークです。

 

このように、たくさんあるマークのなかで私が皆さんに特に知って欲しいと感じた2つを紹介します。

 

まず、「ヘルプマーク」です!

 

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これは、援助や配慮を必要としている方々が、そのことを周囲の方に知らせることができるマークです。

ヘルプマークの対象者は、義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、妊娠初期の方など、援助や配慮を必要としていて、配布を希望する方々ですが、身体機能等に特に基準はないそうです。また、特に書類等の提示は必要もありません。

 

これは、カバン等につけられるよう、キーホルダー型になっていることが多いですが、

裏面には紙を入れる事ができ、詳しい状態や援助方法を自分で記入することが可能です。

最近では、ハンドメイドで分かり易く見た目にもこだわった紙を作っている方もいるようです。

 

もう一つはエスカレーターで活躍するマークです。

これは東京都理学療法士協会が推進しているマークで、「わけがあって立ち止まっています」と書かれています。

 

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これは、手足が麻痺やケガで不自由な方などが使用するマークです。

 

一般的に、関東圏ではエスカレーターの左に立ち、急いでいる人は右を通るということが多いですよね。

しかし、例えば左手足に麻痺がある場合、右側に立って右手で手すりを使う必要があります。

そんなときにこのマークを使用する事で、安心して右側に立つことが出来るのではないでしょうか。

最近は左右両側共に立ち止まって利用する事が推奨されているようですが、まだまだこういったものが必要かもしれません。

 

今回紹介したマークは一部ですが、自分の身の回りにはどんなマークがあるのか、どんな意味なのかを知って、活用して頂けたらと思います!

 

 

                記事担当:PT綿貫

「コタツに関する言い訳」

 近頃朝晩に急に冷え込んできていて、車や道路に霜が降り布団の中から出られなくなってきました。

 こんな時期に活躍するのがコタツですが、皆さんはコタツの中でどういった姿勢で入るでしょうか?

 

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 最近は有名になってきましたが、座っている時間が長いと健康に悪い、という話を聞いた事はないでしょうか。

 これは長時間座っている事で血流が阻害され鈍くなるという事が原因であり、特にコタツに入るような前かがみの姿勢は負担をかけやすいです。

 

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 また、コタツの中で長時間いると水分量が減ることも血栓などが出来やすくなる原因となりやすいです。さらにコタツから出る際に室温が低ければ、体が寒暖差の激しさで心臓に大きな負担が掛ってしまう「ヒートショック」の原因にもなりやすいです。

 

 そういったことを防ぐ為に、寝転んだ姿勢を取ったり、みかんを食べて水分を摂取したり、コタツから徐々に出てみるといった対策をしているんだ。

 

 という言い訳をコタツから出られないときに使ってみると面白いかもしれませんね。

(上記の症状自体は運動量が減り、暖房などで脱水症状をおこす、室温の差が出来やすい冬場に実際に起こる事なので、適度に立つ、水分を小まめに取る、あまり熱いお風呂には入らず、部屋の温度差が大きくならないように暖める、といった対策を取りましょう。)

 

                     記事担当:OT古川

認知機能を落とさないための

 睡眠時間は少な過ぎても多過ぎても認知機能低下と関連するという報告が「Brain」に掲載されました。

 

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 初期段階のアルツハイマー病患者でも、適切な睡眠時間を確保することで、加齢に伴う認知機能低下のリスクを下げられる可能性があるとのことです。


 アルツハイマー病は認知機能低下の主な原因で、認知症患者の7割を占めます。

 睡眠不足はアルツハイマー病でもよく現れる症状で、病気の進行を促してしまう要因にもなっています。

 この研究では、アルツハイマー病の試験に参加している人の中から100人を対象に、4年半追跡し、睡眠と認知機能の変化の関連を調べたそうです。

 対象者の多くは認知障害がありませんでしたが、11人に非常に軽度の認知障害、1人には軽度認知障害を認めました。

 

 睡眠時間と認知機能低下との間にはU字型の関係が認められ、自己申告による睡眠時間が5.5時間未満と7.5時間超の場合では、認知機能テストのスコアが低下していました。一方、睡眠時間が5.5時間以上7.5時間未満の時間だった人では、スコアの低下はなかったとのことです。

 

 睡眠時間が短い人だけでなく長い人でも認知機能が低下している。このことは、認知機能低下の鍵を握っているのが、総睡眠時間ではなく睡眠の質である可能性を示しています。

 また、「総睡眠時間には“スイートスポット”とでも呼ぶべき範囲があり、その範囲での睡眠を確保している人は、時間が経過しても認知機能が安定しています。

 逆に、この範囲を逸脱している人では、認知機能の低下が認められました。原因は、睡眠時間の不足か睡眠の質が影響していると考えられます。

 

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 睡眠時間を改善する介入によって、認知機能を改善できるか否かはわからないとしていますが、環境を整えたり治療を受けたりすることで、睡眠不足が自覚されないようにすることは、健康的な生活をする上でも有益だろうと思います。

 

 日本人の平均睡眠時間を見ると7時間40分程度で推移していますので、結構睡眠時間が長い人が多そうに感じますが、睡眠時間6時間未満の人の割合は、男性30~50歳代で4割、女性40~50歳代で半数程度です。(R1調査)

 コロナ禍でも変わらず、同じ生活習慣が続いているのではないでしょうか。

 

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 寝過ぎ、寝なさ過ぎに私も注意したいと思います。

 

 「過ぎたるは及ばざるがごとし」。こんな言葉を思い出しました。

 

 

                   記事担当:部長さかもと

 

引用文献

Lucey BP, et al. Brain. 2021;144:2852-2862.

 



 

 

中之条、東吾妻町在住の患者さん割合

 当院は吾妻郡中之条町に位置しており、多くの近隣に在住者の方に、利用していただいております。

 

 それでも、二次医療圏在住の患者さんは、全体の4割程度ですので、吾妻医療圏以外の患者さんにも、利用いただいているリハビリ病院なのではないかと思います(このデータは入院患者さんのみです)。

 

 これは、今年度に入り、4月~10月までに入院された患者さんの住所地で割合を推定したものです。

 

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 やはり中之条町の患者さんが多く、隣の東吾妻町と合わせると、3/4以上が東吾妻地域で占められています。

 

 東吾妻地域は比較的人口も多く、高齢化率も4割程度になっていますので、回復期リハビリ対象者が多いということだと思います。

 

 医療において同じ時期を担う病棟としては、地域包括ケア病棟がありますが、原町赤十字病院と西吾妻福祉病院にありますので、こちらとも役割の分担が必要だと思います。

 

 こんなものや(回復期リハ病棟対象疾患一覧)

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こんなサイト(選び方なども載ってます)

http://www.rehabili.jp/patient/index.html

を参考に、病棟を選んでいただけると良いと思います。

 

               記事担当:部長さかもと

今日は勤労感謝の日

今日も入院リハビリは行っていますが、ブログは休日モードにします。

 

先日ご紹介した中之条ビエンナーレですが、先週閉幕しました。

 

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初めての参加でしたが、楽しくてコンプリートしてしまいました。

 

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印象に残った展示を紹介していきます。

 

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将棋?

 

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この二つは別格の美しさでしたね

 

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 美術には普段あまり関心のない私ですが、意外に面白かったので、次のビエンナーレを迎える前に、来年は妻有トリエンナーレに行ってみようと密かな野望を持つのでした。

 

               記事担当:さかもと

退院後も患者さんは良くなっています

 退院後3ヶ月のアンケートは今年も続けています。

 

 今年も、アンケート結果をまとめる時期が来ました。

 

 その中から一つだけ結果をご紹介します。

 

 本来であれば、退院後にどういう動作がどの位良くなったのか聞いてみたいところですが、アンケートに答える方は、患者さんもしくはご家族なのであまり複雑な質問はしないようにしようということで、以下の質問をしています。

 

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 この質問は、入院中と比べて良くなりましたか?と聞いている訳ですが、全体の2/3の患者さんが、良くなった(行い易くなった)と答えています。

 

 最大6ヶ月のリハビリでできる限りADLを伸ばしているつもりですが、退院後2/3の患者さんはさらに動きやすくなっているとのことです。

 

 継続した運動や、役割を持つことなど、活動が広がる可能性がまだまだあります。

 

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      上の運動を推奨している訳ではありません

 

 自分の事は自分で行い、他人の面倒も少しみてあげられるようにすると良いでしょう。

 

 

              記事担当:部長さかもと

福祉の世界も日々進歩

 

~横Pのこんなこといいな、出来たらいいな~

 

肌寒さが身にしみる冬隣。公私ともに年末に向けて慌ただしい時期に入りましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

 

先日患者さんとお話させていただいた折に、なぜその話になったのかはわかりませんが(きっとドラえもん体型とかそんな自虐をしたのだと勝手に思ってますが)ドラえもん製造まで後100年を切ったという話題になり、後日調べたところ、設定上後91年後の2112年にはドラえもんが製造されているそうです。

 

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 あんなひみつどうぐが91年後には使えると考えたら夢が広がりますね。みなさんはどんなひみつどうぐを使いたいでしょうか?

 

 閑話休題。進歩目覚ましい昨今において日々技術に進歩が見られていますが、医療福祉の分野においてもその技術の恩恵を受けていることはみなさまご存知でしょうか? ちょうど先日、11月10日~12日にかけてその展示会である第48回国際福祉機器展が東京ビックサイトにて開催されました。

 

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 コロナも落ち着きが見られてきており、自分も現地参加をするか直前まで悩みましたが、結局今回は見送らせて頂き、webでの各企業の紹介をみるという形を取らせていただきました。

 

 例えば、車一つとっても助手席が回転し、乗り降りが楽にできる車や、電動昇降シートを最初から取り付けている車など、あるだけで家族の介助が楽になる福祉車両は様々な有名メーカーが出していたりします。リハビリ機器においても、歩行訓練車やリカンベントバイクなども様々な種類がありますし、本来ならリハビリ職がやるような足の拘縮予防を空気圧を用いて機械が行うなど、なかなか面白そうなものも紹介されていたりします。

 

 こんな道具達があると知っているだけで、患者さんだけで無く、介助する側の負担の軽減になることはあるなぁと経験することは多々あります。まだweb上では開催されているので見てみたいなあという思いと、来年こそは現地参加したいという抱負を胸にここら辺で筆を置かせて頂ければと思います。

 

 

記事担当:東京出身ですがビックサイトへの道のりに自信の無いPT横田