東京医科歯科大の谷友講師らのチームが、1人暮らしの高齢者は調理の技術が低いと、高い人より死亡リスクが倍以上も高まるとの分析結果をしめしました。
チームは、2016年に要介護認定を受けていない65歳以上の約1万600人を対象に、自己申告で回答してもらった調理技術の程度と3~4年後までに死亡した520人のデータから、調理技術のレベルと死亡リスクの関係を分析しました。
調理技術は
「野菜や果物の皮がむける」
「卵や野菜をゆでることができる」
「焼き魚をつくれる」
など基本的の7項目を低い方から1~6点の6段階で申告してもらい、平均点が4点以下を「技術が低い」、4点より高いと「技術が高い」と評価しました。
その結果、1人暮らしの場合、調理技術が高い人に比べて、低い人は3~4年後までに死亡するリスクが2.5倍高いということがわかりました。
同居の人がいる場合は、調理技術の高低ではリスクに差はなかったそうです。
リスクの要因を分析すると、自炊、野菜や果物の摂取頻度、外出、歩いたり立ったりする時間がリスク低減に関わっていることが分かりました。
自宅で自ら料理をすることで、栄養面のバランスだけでなく、献立を考えたり、食材を買いに出歩いたりすることで、健康や認知機能の維持に役立つようです。
チームは、高齢化社会で離婚や配偶者との死別などにより、1人暮らしのお年寄りが増えている現状では、調理技術を身につける重要性が高まっていると指摘しています。
認知機能にあわせ、運動機能も維持できていないと、調理は成立しませんので、長期で考えると、何らかの障害が出てくる可能性も考えられます。
一人暮らしになってから調理を何とかしようと考えるのではなく、同居している方が担当してくれていたとしても、一緒に調理をする心がけが必要なんだと思います。
記事担当:部長さかもと
引用:調理技術低いと死亡増 一人暮らしの高齢者 共同通信社