群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

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軽度認知障害の分類と認知症移行率

 漢字が多く難しい印象になってしまい、申し訳ありません。

 

 認知症ではないが軽度な認知機能の低下を有する状態は、軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)として知られています。

 

 認知症の危険因子あるいはハイリスク状態と考えられていますが、同時に認知症予防の重要な時期として注目されています。

 

 認知症予防のためには、MCI、特に多領域でのMCIの段階での認知機能低下予防および機能改善のための取り組みが重要であるとされています。

 

         2年間の追跡調査による認知症移行率の違い

 

 記憶障害がある場合は「健忘型MCI」、記憶障害が明らかではなく、言語障害遂行機能障害(段取り良く作業ができなくなる)など、記憶以外の障害が見られる場合は「非健忘型MCI」と呼びます。 いずれも、初期の段階は障害が一つだけの「単一領域」、症状が進んで、複数の障害が現れるようになると「多重領域」に細分化されます(下図)。

        基本編】軽度認知障害(MCI)と診断されたら治療は?治る?専門 ...

 

 国立長寿医療研究センターのグループではMCI高齢者を対象として、有酸素運動に加えて多重課題による脳(認知機能)賦活化プログラムを中心とした運動介入を行いました。

 これによって認知機能低下の抑制や脳萎縮の抑制を検討する目的で、ランダム化比較試験(RCT)を実施し、有効性が確認されました。

 65歳以上のMCIを有する高齢者100名を群に割り付け、介入群には「コグニサイズ」と称される多重課題を付与した運動介入を実施し、対照群には健康教育を実施しました。

 その結果、いくつかの認知機能の有意な改善や、脳萎縮の改善などが確認され、MCI高齢者における認知機能低下の抑制の可能性が示唆されています。

 

 これは認知機能低下の初期では、類型によって改善があるということを示しています。

 認知機能低下を抑える可能性と根拠の強さについて並べておきます。

 

 最後に、コグニサイズの概要についても示しておきます。

 

 頭とカラダを一緒に使うことで、これから来るであろう、認知機能の低下をできるだけ遅くしていきたいと思います。

 

                           記事担当:部長さかもと