群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。ロボットリハ稼働中。100名超のリハスタッフで365日リハビリ邁進中。一緒にリハビリがんばりましょう。

成功体験

 こんにちは。

 最近の悩みは、「お嬢ちゃん」とか「高校生?」と言われ、お子様に見られてしまうこと。

 なので、服の系統や髪型、髪色をかえて自分磨きをしている田沼です。

 

 前回、意欲とモチベーションについてお話しさせていただきましたが、今回は成功体験についてです。私がリハビリで意識している事の1つなので紹介させていただきます。

 

 人間は失敗体験から多くを学ぶことが出来ると言いますが、リハビリテーションの場面では、失敗体験はそれ以後の行動を抑制させてしまう可能性もあり、成功体験を積ませることの方が大切だという意見があります。

 成功体験を重ねると、「側坐核」という、報酬に強く関連する脳部位が働きます。

 側坐核はやる気スイッチの部位とも言われており、成功体験が、次の新しいチャレンジや行動を促進することが考えられます。

 

 そこで、「またリハビリがしたい」と思えるような成功体験を導くコツをいくつか紹介します。

 

・介入方法

介入の方法

具体的な内容

口頭指示

動作の手順などを口頭で説明する

文字での指示

文字で動作の手順などを示す

ハンドリング

PT・OTが動作に必要な重心移動などを手伝う

視覚的な補助

テープや線を利用して動作の目印を示す

鏡の利用

鏡を見てもらいながら動作の範囲を確認してもらう

ブザー

適切な動作の範囲がくるとブザーを鳴らす

 

 以上のように、さまざまな介入方法の工夫があります。
 口頭指示にくらべて、文字での指示は理解をしやすかったり、何度も自分で確認できるため成功を導きやすい刺激となります。
 また、PT・OTの適切なハンドリングは、正しい動作を体験するには、とても良い刺激になります。口頭指示で失敗する場合は、文字で示すなどの工夫をして、失敗をしないようにすることで、「できる」という体験を促すことが意欲を引き出すコツです。

 出来ない部分を成功させる介入を続けていくとしても、自分でできるようになるためには、徐々にプログラムの難易度を変える必要があります。
 一気に難易度を高めるのではなく、段階的に難易度を上げていくことが大切です。

・プラス面に注目してしっかり褒める

 PT・OTはリハビリで「できない部分」に注目して注意や指示をしがちです。
 しかし、あくまでフィードバックは「できる部分」にしっかり注目して、「ほめる」ことで強化刺激になり、またリハビリをしたいという気持ちを引き出せます。

・細かく分けた課題を点数化して具体的にフィードバック

 介入の例として細かく課題を分ける方法を紹介しましたが、その課題を点数化することで、FIMなどのADL評価表とくらべて、より具体的なフィードバックができます。
 その際、「ハンドリングによる介助は1点、口頭指示は2点、指示なしは3点」というように、介助量でも点数に差をつけると、点数の変化がでやすく、「改善した」という結果が現れやすくなります。

 

・ほめ方のバリエーションを持とう

点数化による具体的なフィードバックのほかにも、いろいろなほめ方のバリエーションがあります。
患者さんに合ったフィードバック方法を試してみましょう。

 

フィードバックの方法

具体的な内容

言葉で伝える

「上手です」など言葉でほめる

ジェスチャー

表情、拍手、うなずきなどジェスチャーでほめる

点数で示す

点数化して結果を示す

報酬を与える

好きなもの、賞状、休憩など

 

誰でも成功したときは嬉しさを感じると思います。その成功体験が長いリハビリ生活のなかで1つのモチベーションの維持に繋がればいいなと思っています。

 

                               記事担当:PT田沼