一口に脳卒中患者さんと言っても状態はさまざまで、車椅子に乗ることも難しい方から、歩いて入院される方までいらっしゃいます。
入院時の状態が良ければ、退院時にもできる事が多くなるのは当然かもしれませんが、入院時の状態で退院時の歩行自立割合がどの位差が出るものか、グラフにしましたので、ご紹介します。
昨年脳卒中で入院された脳卒中患者さん124例のデータを利用して数値化しています。
縦軸は入院時のFIM運動項目の値を示し、横軸は退院時の歩行介助量の割合を表しています。
FIM運動項目とはADL自立度を数値化したもので、13点が全介助、91点が自立を表します。完全自立の91点では、装具、杖、手すりを使わず(階段の手すりも不要)日常生活が送れる状態を表しています。
青が自立、エンジが見守り、緑が介助が必要な割合です。
自立は患者さん一人で歩ける状態、見守りは介助者がつきそうが手や口を出さなくても歩ける状態、介助は支えないと歩けない、もしくは支えても歩けない状態を示しています。
入院時にFIM運動項目が40点程度だとほとんどの方が歩けるようになっています。30点台でも7割、20点台では6割弱でした。
20点台くらいが歩けるかそうでないかを分けているようです。
ROC曲線も確認したところ、cutoffはFIMMで24.5、FIMtotalで39.5でした。
重症コースに分類されなければ、歩行自立を目指すくらいの気持ちでリハビリに励んでいただくと良いですが、その際は入院期間が足りないかもしれません。
歩行にこだわる意味は多くありますが、なかなかお話しすることはありませんでした。今後はそのあたりにも少しずつ触れていきたいと思います。
記事担当:さかもと