群馬リハビリテーション病院 リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。通常のリハビリに加え、早朝リハビリも施行。さらにHAL、歩行アシスト、足首アシスト、IVES、REOGO-J、Walkaideなどを中心とするロボットリハも駆使し、多くのリハスタッフで患者さんを担当させていただいております。

COVID-19により変形性股関節症の手術を待っている方へ

 COVID-19によるダメージは病院にも及んでいます。感染力の強いこの感染症に対応すべく、病院機能を一部低下させざるを得ない状況であり、他の病気の治療や手術も軒並み減少しています。

 

 しかし、このような病院の機能低下に一番苦しんでいるのは、痛みを抱えたままでいる患者さんであることは言うまでもありません。壮絶な痛み抱えて生活していく事への不安は計り知れません。

 

 知り合いの方では「人工関節の手術を予定していたが、痛みは強いけど、この騒ぎで手術を延期することにした」とおしゃっていました。

 この方ように病院の機能低下ではなく、自ら感染症を懸念して手術を断念された方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか?

 

 そこで、PT視点で手術までの期間の過ごし方をシリーズでお伝えしていきたいと思います。

 

 表題の関節症の手術以外の治療方法は運動療法と炎症を抑える投薬治療が基本となります。

 

ポイントは

  • 痛みは増悪させない
  • 筋力の保持
  • 関節が動く範囲の保持

 

 この3つのポイントを踏まえて行います。壮絶な痛みを抱えている方や手術適応の症例を想定してお伝えします。

 

 今回は『痛みの少ない』歩き方についてお伝えしたいと思います。

 

痛みの原因は炎症

 痛みの強い方のほとんどには炎症所見があり、炎症箇所に強い外力が加わることにより痛みが増悪します。関節症が軽症のうちは歩き始めだけに痛みが生じますが、徐々に荷重時の痛みは長引き、更に悪化すると非荷重でも痛みが引けなくなります。

 

外力を抑制して移動する方法

 炎症を少しでも抑えるためには外力を減らすことが必要です。普通に歩行すれば外力(荷重)は加わります。生活上、歩くことは必要ですし、関節以外の健康維持のためにも歩行(運動)は必要です。臨床で患者さんとお話して気がつくのですが、一番痛みの強いであろう手術前の歩行補助具は十分な選定がされず、T字杖を使用されている方が多い印象です。歩行補助具はT字杖などに代表されますが、形態は様々であり、物によっては足に掛かる体重を分散・軽減させる機能を持ちます。痛みの強さや両側・片側罹患によっても異なりますが適応した歩行補助具選定が重要です。

痛みが強く、足を着くこともままならない方には固定型歩行器をおすすめします。両側の罹患で反対側の手術に挑む患者さんからは『もっと前にここに来て、この歩行器と歩き方を聞ければ良かった』などと仰って頂けます。固定型歩行器は制度上の貸出ハードルが高いため、ロフストランドクラッチ(両側使用)で代替することもあります。両側使用の場合は下記の歩き方も同様で結構です。

固定式歩行器は以下の写真のような形態です。

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平行棒で歩く程度に荷重を受けることができるため外力の除去には有効です。

 

固定型歩行器を使用した歩き方

(写真は右足が罹患側である場合の歩き方)

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 歩き方は歩行器を持ち上げて前に出す。痛みの強い足を先に出します。このとき、足を出しすぎると後方へバランスを崩しやすくなりますので後方の支持脚を踏む程度に足を出すと良いです。続いて痛みの少ない足を揃える程度に出すと痛みの強い足に掛かる荷重を歩行器に移譲しやすいです。尚、杖の持ち手の高さは腰骨より数㎝~10㎝程度低い位置に設定します。

 

◎歩行補助具の選定ひとつで、痛みがずいぶん変わったと言う方もいらっしゃいますが、炎症の状況によっては変化がない方もおられます。個体差がありますが、外力を抑制することは有効な方法のひとつであります。しかし、デメリットとして荷重量が減ることによる筋力低下や歩幅低下による関節可動域の低下が考えられます。これらは別に運動療法を実施することで補填していきます。そちらは、またの機会にお話したいと思います。

 

 現在、手術待ちの方は大変な時期をお過ごしかと思います。固定型歩行器は介護保険でのレンタルも可能です。申請されていない方でも社会福祉協議会など貸出してくれる市町村もあります。まずは相談してみてはいかがでしょうか?そして手術後は、是非当院にリハビリに来て頂ければ幸いです。                                

                          記事担当:PT安齋