“人工股関節全置換術を予定する方へ、リハビリの視点から”シリーズ第三弾”
いよいよ、手術が終わり、麻酔から目覚めたところです。
術後早期の傷周囲には、切った傷に由来する痛み反応が生じます。同時に強い炎症症状が出現します。
炎症というには、悪いことに思いがちですが、正確には、身体の修繕作業に入っている証です。
血液を集めて修復作業に入るのですが、ここで動かれても困るから痛みという非常事態宣言で動きを自粛させる狙いです。
だから痛いというのは正常な反応なわけです。
術後の急性炎症というのは、およそ1週間程で、安静時痛は軽減してくると言われています。一番つらいのは最初の1週間ということです。
リハビリが始まると、手術で侵襲を受けた筋肉や傷に、動きの中で刺激が加わることで、痛みの強い時、弱い時といった具合に、日内差(1日の中での差)も日間差(日毎の差)が生じます。
やはりリハビリ開始後1週間もするとだいぶ痛みは軽減し、スタスタと歩けるようになっていきます。人によってはもう杖の練習です。
歩き始めたころに感じる痛みの場所に多いのが、お尻の外側です。
複雑に筋肉が重なり合ってますが、手術方法により、必要な切開箇所が出てきます。
当院で多く目にする手術方法は、後方アプローチという最も一般的な方法です。この方法では、傷が少し後ろ寄りにできます。
ここを通る筋肉が切開される場合があり、ここに術後の痛みが出やすいのです。
これも最初の頃に強い痛みは、術後の炎症が原因として大きく、そこに、歩行時に筋肉が収縮することでさらに刺激となり痛みを感じます。
これも日を追うごとに軽減していきます。
少なくとも、術後1週~10日あたりでは、歩行器があえばおよその方が歩いて生活しています。
そして、2週間ほどで、リハビリ病院へ転院するかどうかを迫られるわけです。
たくさんの患者さんを見てきた結果、人工股関節置換術後は、事情が許すなら、リハビリを行うことを勧めたい思いです。
痛みに関する話しは簡単ではありません。炎症性の痛み以外こそが悩ましく、セラピストの腕の見せ所だからです。
次回は、シリーズ第四弾は、リハビリ病院でのリハビリ開始後の痛みの出方と痛みの経過についてお話いたします。
記事担当:PT山﨑