前回、変形性股関節症により、今後人工股関節術をしなければならない可能性が場合に、手術に関してどのように調べていけば良いかを書きました。
今回は、人工股関節術って実際にどんな手術なのかについて書いていきます。
まず、よく間違いやすい手術があります。
“人工骨頭が入っている”という表現。
一般的に股関節の手術を表す言葉に人工骨頭というものが良く聞かれます。
間違ってはいないのですが、変形性股関節症の場合、ほとんどの場合、人工関節置換術という手術を行います。
“人工の関節に入れ替える”という手術です。
骨頭という球側と、その受け皿となるソケットの両方を挿入することが人工の“関節”を入れ替える手術に当たります。
では、人工骨頭置換術とはどのような手術なのか。
“人工の骨頭に入れ替える”ということになります。
違いは、関節を入れ替えるのでなく、球側を人工のものに入れ替え、受け皿側は自分の骨のままとする点です。
これら手術は、どちらにメリットが多いかという比較はできず、患者さんの股関節状態で決定されるものになります。
変形性股関節症の患者さんの股関節は、球側も受け皿側も傷つき、変形しているため、人工股関節術が選択されることがほとんどです。
イラストを見ての通り、簡単な手術でなく、身体に異物が入ること、入れるために様々な過程を経ることになるのですが、当然、手術による身体への侵襲が伴います。
この侵襲による痛みや、機能低下はリハビリテーションの治療対象なのですが、実際は、股関節を病んでからの期間に生じてきた姿勢の崩れや、関節の拘縮(関節が固まること)、痛みから逃げる歩行を続けてきたことによる歩き方の乱れといった、術前の状態がリハビリの進行に影響するため、人工股関節置換術後のリハビリテーションは、簡単に術後のリハビリテーションと言えない難しさを持っています。
“痛みが治まったら終了”ではなく、
むしろ始まりであり、股関節を病んでから我慢してきたことを再開できるようリハビリに励む時です。
人工股関節後のリハビリは簡単ではありません。ノウハウを持ったリハビリの展開が重要です。決して、手術して自然回復できる部分だけでなく、リハビリによる頑張りが、更にその上へと導いてくれます。
最後に
近年、傷を小さく作り、身体への侵襲が少ない人工股関節置換術で、早期の退院が可能である手術方法も存在し、手術後早期に退院できる時代になってきました。
家庭や社会的事情でなるべく入院を短くした方には助け船ですが、早すぎる退院には疑問の声も上がっています。
人工股関節置換術はリハビリとセットで考えて良い手術だとも言われ、そのくらいリハビリの位置づけが大きい手術です。
“急がば回れ”
是非、しっかりとリハビリも予定してください。
記事担当:PT山﨑