比較的古い研究ですが、脳卒中片麻痺下肢(健側)と健常者の下肢筋力を比較したものです。
左側が膝を固定して計測したもので、右は膝を伸ばしながら計測した最大値です。(黒い方が片麻痺の健側、白い方が健常者)
双方共に、だいたい健常者比で7割くらいの数値を示しています。
片麻痺とは言いますが、皮質脊髄路はその8割前後が延髄で交叉し、反対側に下りていきます。
単純に言うと、右の脳卒中では左手足脚に麻痺が起きます。ただ、見た目には良い方の手足は「健常」にうつり、麻痺があるようには思えません。
しかし、上のグラフで示すように健常者と比較して7割前後に筋力が落ちたと言えるでしょう。
だから最初は立つのが大変だったり、バランスが悪かったりします。
従って、脳卒中の際には、麻痺が起きた手足だけを動くようにするためリハビリを行うのではなく、非麻痺側、麻痺側、体幹、健側下肢、麻痺側下肢などの四肢、体幹を鍛えなおす必要があるでしょう。
握力にも差が出ているかもしれません。健常なときと比較してみると良いでしょう。
出展:大川弥生ら:脳卒中片麻痺患者の廃用性筋萎縮に関する研究 ー「健側」の筋力低下についてー リハ医学25:143-147,1988
文責:部長さかもと