群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。HAL、歩行アシスト、足首アシスト、IVES、REOGO-J、Walkaideなど、ロボットリハも稼働中。100名超のリハスタッフで365日途切れなく活動中。年200回を目標にブログ更新しています。

ペダリング運動

 群馬県医師会報2019-05群馬リハ病院リハビリレポートより抜粋

 

 脳卒中治療ガイドライン2015によると、下肢機能や日常生活動作に関しては、課題を繰り返す課題反復運動が勧められる(グレードB)とされています。

 この中ではペダリング運動が下肢麻痺筋の再教育に有効(レベル3)という報告も紹介されています。

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 当院でも30年以上前から自転車エルゴメーターを取り入れ、脳卒中の患者さんから整形疾患の患者さんまで、多くの患者さんに活用していたようです。当時の利用目的は持久性の改善を図ることを主としており、麻痺を改善することまでは考えられていなかったように思います(慢性期で入院期間も長かった事もあるでしょう)。

 

 自転車エルゴメーターはサドルと手支持のみで姿勢を保つ必要があるので、この小さい椅子上で脚を動かしながら座っていられるバランスが要求されます。従ってかなり安定して座っていられない方は使うことができませんでした。

 

 最近ではリカンベント型エルゴメーターなるものが登場しましたので、バランスの比較的悪い方はこれを利用するのもよいと思います。

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 リカンベントとは、もたれかかるという意味の言葉であり、背面にもたれかかり操作することから名前が付いています。

 

 当院でも数年間にこれを採用しましたが、もう一つ移動や治療の手段としてとして利用する事を考え、以前から利用している機器があります。それが、足漕ぎ車椅子です。

 

 車椅子でありながらペダリング動作によって推進が可能で、方向転換、ブレーキ等の操作についても片手で行う事ができることから、脳卒中などの片麻痺患者さんにも利用いただいています。

 

 下図はNHKworldから取材を受けた時のものですが、この車椅子は片麻痺の比較的重い患者さんであってもペダル操作ができるよう設計されています。

 

 この方は左片麻痺の患者さんですが、一人で操作して車椅子で移動することができています。

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 足漕ぎ車椅子を200m駆動した結果と、背臥位で理学療法士相手に行ったキック動作20回で膝の伸び方を比較しました。

 

 この動作を行う前後で、ベンチに腰掛けていただき、膝伸展角を計測し比較しました。すると、理学療法士の個別リハで行ったキック20回よりも、車椅子200mが膝伸展角度を増加したという結果になりました。足漕ぎ車椅子駆動200mはキック400回程度に相当すると考えられます。

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 膝の伸び方は、足漕ぎ車椅子を使ったあとの方が、10度ほど伸びています。

 

 回数が明らかに異なるので、当然かもしれませんが、ここにリハビリのヒントがあります。セラピストにキックする400回は楽しくありませんし、セラピストも疲れます。

 こうしてみると、楽しく多くの回数ができるリハビリを模索することも大事かもしれませんね。

                            記事担当:部長さかもと