群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

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ストレッチングと血圧

 筋肉は力を入れると普通、縮むだけですが、ストレッチングは逆に筋肉を伸ばす運動です。体の柔軟性を高め血行を促進する効果があり、準備運動や整理運動としても使われています。キレイな姿勢を保ったり、リラクゼーションの効果もあることがわかってきました。

 

 柔軟性は体の柔らかさを表しています。これは一般に関節可動域や長座位体前屈などで評価されます。柔軟性は、全ての世代で男性よりも女性の方が優れているという特徴を持ちます。

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 ストレッチングにより柔軟性が増す理由は、筋の伸張反射の感受性が低下することと筋や靱帯の弾性要素が組織科学的変化を起こすことが要因です。また、ストレッチングは2~3メッツの運動強度があり、筋温や体温を高める効果も持ちます。これらが柔軟性の向上やウォーミングアップ効果と関連しているようです。

 

 最近ではこれらに加えてリラクゼーションの効果が明らかとなってきました。30分程度にわたり全身の筋を順番に伸ばしていくようなストレッチングの前後で脳波や自律神経活動を調べてみると、前頭葉でのアルファ波を増やし、心拍変動を大きくさせ、心拍数を低下させること、すなわち副交感神経の活動を大きくすることが明らかになってきました。

 

             


 生活習慣病メタボリックシンドロームの予防にはエビデンスが十分あるとは言えませんが、習慣的なヨガの実施は血圧を低下させること、あるいは座位体前屈で評価される柔軟性が高い人では動脈硬化度が低いことが報告されています。これらはストレッチングのリラクゼーション効果が関与しているのかもしれません。血管を物理的にストレッチング(伸ばす)させる事によって、血管の柔軟性が増えるというのは、まさに目から鱗が落ちる思いがしました。そういえば血管も平滑筋であり、筋肉でした。

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 「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」では、有酸素性運動や筋トレなどのように推奨されていません。これはストレッチングに生活習慣病予防の効果がないということではなく、エビデンスが十分とはいえないためのようです。走ったり筋トレしたりは辛くていやだけど、ストレッチングなら多少は楽しいからやってみたいという方も多いかもしれませんので、活用方法を検討してみることも必要だと思います。ストレッチングは長期的にみて、血圧を下げるのに有効ですので、痛気持ちいい位の強さで、実施してみてはいかがでしょうか?

 

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                             記事担当:さかもと