群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。ロボットリハ稼働中。100名超のリハスタッフで365日リハビリ邁進中。一緒にリハビリがんばりましょう。

ダブルバインドって?

 こんにちは。この文章を作成しているのは、偶然にも「10月28日」です。群馬県民の方でしたら、ピンと来るかと思います。そうです、「群馬県民の日」なんですね。昔は学校が休みになって、東京といわれる千葉のほうに県民割引のチケット買って遊びに行ったり・・・(なんか、最近聞くような言葉ですが)などして楽しんだ覚えがあります。なんか、話を聞いて懐かしいなーと思いました。

 そんな日にこのブログを作成しているのですが、久しぶりに書くので、なぜだか若干緊張しています。

 

 さて、本題に入りたいと思います。今回は「ダブルバインド」について、少し書きたいと思います。

 「ダブルバインド」とは、日本語で言うと、「二重拘束」という意味になります。日本語にすると、少し怖い印象ですよね。この言葉の意味ですが、「2つの矛盾したメッセージを出すことで、相手を混乱させる可能性のあるコミュニケーション」のことをいうそうです。1つのメッセージと、もう1つのメッセージに矛盾が起きていて、どちらに従ったとしても相手を満足させられない状態を作ります。親子関係・職場・教育等の場で知らず知らずのうちにダブルバインド状態を起こしているかもしれません。

 

 例に職場でのダブルマインドとなりそうなコミュニケーションを上げてみます。

 上司:「どうしてそんなミスが起きたのか、怒らないから理由を説明して」

 部下:「○○が理由で・・・」

 上司:「言い訳をするな!!」

 部下:「(理由を説明して、と言ったから伝えたのに・・・)」

 

 例がずいぶん短絡的な上司になってしまいましたが、上司は、部下に対して話すことを促しているにもかかわらず、部下の話を聞いた途端、否定的な言葉を投げかけています。また、「怒らないから話して」と言いながら、明らかに怒った態度と表情をしている・・・というのも、非言語で行われるダブルバインドといえるようです。この状態は、部下に大きなストレスを与えます。

      

 このようなコミュニケーションについて「もしかしたら、自分がしていたかも・・・」または「こういう風に言われたことがあるかも・・・」という経験があるかもしれません。私は、もしかしたら臨床場面や業務で、患者様やスタッフに声をかけられたときに、自分の忙しさや、メンタル状態でそのような態度(非言語的な)をとっているかもしれないかと、自分の日常の態度を多く反省しました。

                                    出典:のぶ@talk_Nobu


 このダブルバインドのコミュニケーションを繰り返すと、相手に対してネガティブな影響を与えて、ひどくなると精神疾患に至ることもあると言われます。

 では、このダブルバインドの言葉や声かけをどのように変えていけば良いのでしょう・・・

 

 まず、大前提は「相手を受け入れて尊重する」事だそうです。特に忙しいほど、ついダブルバインドを使ってしまいがちになるそうです。職場などでのダブルバインドは、無意識で行っているケースがほとんどとのことです。何気なく会話を聞いていると、日常会話の一部にしか聞こえないようですが、良く聞くとコミュニケーション内容に矛盾が生じています。そのため、当事者が自分自身の言動に矛盾がないか意識することが必要です。そして、気づいた時には周囲の人に指摘してもらうのも方法の1つだそうです。

 

 「ダブルバインド」は、相手を追い詰めてしまう、マイナス的なコミュニケーションのみと捉えてしまうと思います。しかし、肯定的な使い方をすることで、ビジネスなどの交渉の場で、効果的に活用することが出来るそうです。これは、心理学者のミルトン・H・エリクソンが催眠治療に応用した方法で「エリクソニアン・ダブルバインド」と呼ばれる手法だそうです。良い前提をもとに、2つの選択肢を与える事で、どちらを選んでもその前提にたどり着く方法だそうです。下に具体例を挙げます。

 

 上司:「この仕事、明日までにできそう?それとも今週いっぱいかかる?」

    →いずれにしても、この仕事をすることが前提になっています。

 

営業マン:「この商品、仕事用に使いますか?それともプライベート用ですか?」

   →いずれにしても、商品を使うことが前提になっています。

 

 このように聞かれた相手は、自分に選択肢を与えられているように感じるため、返事をしやすくなると思います。この方法をうまく使うことで、ビジネスやプライベートの人間関係においても、相手のYesを引き出せる確率が上がるそうです。

 

 最後に、「ダブルバインド」って、様々なシーンで意識的・無意識的に使われる心理テクニックだそうです。これは、使い方によってプラスの方向にコミュニケーションを導き出せる会話手法の1つになりそうです。自分がこれから患者様・スタッフなどとの臨床場面だけでなく、色々なコミュニケーションの場で、マイナスに使うことを少なくし、出来るだけプラスの方向に活用出来るように使っていきたいと思います。

 

                                                                                                              文責:OT唐澤