群馬リハビリテーション病院リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。伝統的なリハビリに加え、早朝リハビリも施行。さらにHAL、歩行アシスト、足首アシスト、IVES、REOGO-J、Walkaideなどを中心とするロボットリハも駆使して、患者さんが良くなるために奮闘中。

起き上がり

平らな床からの起き上がりは大変な作業です。


腹筋を強くすればできそう・・・ですが、事はそんなに単純なものではありません。


股関節周りを支点として首や体幹を曲げずに起き上がろうとしてみてください。まず起き上がれません。


これで起き上がりをするためには、下肢を振り下ろすなどの工夫が必要です。


これは殿部を支点に起き上がろうとした場合、体幹の重量が両下肢に比べ大きくなるため、体が上がらないのです。


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 表1に肢節毎の重さ割合を示していますが、頭、体幹、上肢を合わせると、実に65%を超え、臀部を軸に起き上がろうとしても、下肢だけが上がってしまいます。


この絵では膝が曲がっていますので、より体を起こすことが難しい状態にあります。

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 表1に肢節毎の重さ割合を示していますが、頭、体幹、上肢を合わせると、実に65%を超え、体より上が重いです。従って、臀部を軸にすると、下肢だけが持ち上がります。


 ではなぜ人は起き上がることができるのでしょうか。それは、人の起き上がりが臀部を支点にだけ行っているのではなく、支点をずらしながら行われているからです。
 
 さらに重さを軽減する動きも伴っており、重心が支点に近づく工夫もしているのです。


 人は起き上がりの際、まずは頭の挙上から始めます。


 このときの支点は股関節ではありません。


 下の図にあるように胸の下あたりに位置します。


 支点がここに位置することで、頭部を持ち上げることができます。
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 頭を持ち上げた後は、少しずつ体を起こしていきます。頚椎、胸椎、腰椎の順に屈曲させる事によって、腰のあたりまで起こしていくことができます。


 首と体幹を屈曲させる事で、頭と体幹の重心位置を支点に近づけることができ、臀部よりも下は動かさないことによって、重心位置は変わらないようにします。


 このように首や体幹の屈曲に伴って体幹の重心位置を下方向へ移動させていくことで、下肢が持ち上がらずに体を起こすことができます。

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下肢は体幹の重さに対抗するための固定として利用するので、腸腰筋大腿四頭筋を働かせて起き上がります。この筋が働くことで下肢の重心をさらに足の方へ下げることができます。
よって、下肢に力が入らない方は、この方法での起き上がりは難しくなります。

 複雑な起き上がり動作を、少しの絵と拙い文で表現してみました。大事なことは体幹や下肢の筋力だけではなく、脊柱の柔軟性や患側の関節可動域も必要であることをわかっていただけたでしょうか。

 起き上がりなどを含む動作をスムースにするためには、筋力強化だけでなく、柔軟性の向上も必要です。

記事担当:部長さかもと