群馬リハビリテーション病院リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。伝統的なリハビリに加え、早朝リハビリも施行。さらにHAL、歩行アシスト、足首アシスト、IVES、REOGO-J、Walkaideなどを中心とするロボットリハも駆使して、患者さんが良くなるために奮闘中。

被災する前に知っておきたいこと

西日本豪雨によりお亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げます。


被災地の感染やリハビリの視点から知っておきたいことを紹介します。


1)安全な水を飲用してください


 浸水していない地域でも、井戸水は汚染の可能性があります。水質検査で確認されるまでは飲用しないようにしましょう。

 水源の汚染がわからないときは、煮沸消毒で水を利用する事ができますが、できるだけ飲用せず、ペットボトルのお茶や飲料水を活用ください。

 安全な水を十分に確保できないときは、行政や支援団体などに強く要請します。被災下における節水は大切な心掛けです。たとえば、食器の洗浄を避けるため、使い捨ての紙皿なども検討ください。

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2)適切な数のトイレが必要です


 避難所のトイレが不足して待ち時間が長くなると、高齢者(特に女性)は水分摂取を控えるようになります。トイレまでに段差があったり、屋外に設置されていたりすると、身体機能が低下している高齢者の中には、オムツの着用を受け入れざるを得ない方もいます。

 これらは、いずれも尿路感染症のリスクを高めます。

 誰もが利用しやすいトイレの整備は、被災地の感染対策において最も大切です。また、日ごろ、オムツや尿とりパッドを使用している方は、すぐに手に入るよう工夫が大事です。

 日本人はトイレを清潔にすることにこだわりますが、限られた人員と資源でトイレの清潔を保つことは困難です。むしろ、トイレのあとに手洗いをしっかりするとか、トイレと居住空間の履物を別にするといったことで、「トイレは不潔」という考えを持つことが感染拡大を防ぐことに繋がります。

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3感染症の症状があるときは、すぐ医師に相談してください


 災害時は、皆が大変な思いをしているので、自分のことを後回しにしてしまう傾向があります。特に日本の高齢者はそうです。

 しかし、感染症については、早期に診断して、早期に治療することが有効です。発熱、咳、嘔吐や下痢といった症状があるときは、我慢しないでください。

 必要なときには、マスクを着用するなど感染対策が必要です。特に避難所で生活されている方は、周囲を守るためにも、自分自身の健康に気を遣ってください。

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4)高齢者の視点で避難生活を考える


 被災者の命を奪う重大な感染症は、高齢者が食事量を減らして体力を落としたり、脱水になったり、トイレを我慢したりすることによる、誤嚥性肺炎や尿路感染症、褥瘡感染ということがあります。

 従って、被災生活の環境整備が大切です。例えば、高齢者が避難所の床面に直に座ったり、または座位保持が困難な方が寝転がったりして、食事をすることがないようにします。できれば避難所の中にテーブルと椅子を用意して、共用の食事スペースを設けます。


正しい姿勢で食事をすることは誤嚥予防になるばかりでなく、一緒に食事をすることで心のケアにも活かされます。

 また、避難所生活では、支援によって物資が配布されるため、災害前に行っていた日常の家事や近隣への買い物などの機会が失われます。


特に、ボランティアが支援物資を枕元まで届けていると、高齢者がほとんど横たわった状態で一日を過ごすようになりかねません。

 そこで、できるだけ避難所の外で生活必需品を配布し、歩ける方には歩いて取りに行っていただくなど、できるだけ通常の生活に近い形で体を動かし、基本的動作能力を維持できるよう工夫してください。


これによって、体の動きが悪くなってきている高齢者に、早く気づくこともできるという利点もあります。

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5)傷口からの感染に注意


 日本でも、大規模災害の後に破傷風を発症する方がおられます。


 これは土の中に生息する破傷風菌が、傷口から体内に侵入することで感染するものです。被災後に手足が傷がついたまま、復旧作業に取り組まれる方がいらっしゃいますが、洪水の後には、土壌の環境がかき回され、破傷風菌に曝露しやすい状態になっています。特に手足に傷があるときには、傷を覆ってください。

 破傷風には曝露後でも発症を予防する方法があります。傷口を土壌に汚染させてしまったようなときは、救護所の医師に相談してください。

 また、被災地で活動しようとしている方は、ワクチンの接種を受けることも有効です。


 最後に、被災地でボランティアに入ろうとしている方々は、被災地に病原体を持ち込まないようにしてください。避難所の中でインフルエンザは自然発生しません。必ず誰かが持ち込んでいます。


 特にボランティアの方が不必要に避難所内に立ち入らないようにしてください。物資の受け渡しなどは、できるだけ入口で済ませ、避難所の専属スタッフが搬入するようにしましょう。避難所の各エリアを個人の家と同じような感覚であつかい、その隔離性を維持することは、プライバシーに配慮することのみならず、感染対策上も意味があるようです。
 また、発熱や咳、下痢などの症状があるときは活動を控えてください。困難に耐える被災者を前にして、多少の体調不良であっても支援活動を継続しようとするのは、倫理観の誤った表現方法です。自分が感染症の媒介者にならないことを優先してください。


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引用:日経メディカル、緊急寄稿◎西日本豪雨被災者への医療対応(感染症編)を改変