昨年夏より退院患者さんにアンケートを実施しています。
理学療法士の今井千晶さんは、この中間報告をまとめ、退院3ヶ月以内に転倒を経験する患者さんが、2割弱いらっしゃるという結果を出しています。
子供の転倒は、身体機能発達の過程として転ぶ経験をすることも大切ですが、
高齢者の転倒は予防が大切です。
子供と違い高齢者は、
骨が脆くなっており、頭をぶつけても良いことはありません。
高齢者の転倒はその1割が骨折するともいわれ、
転倒により起きる可能性の高い疾患としては、
①大腿骨頸部骨折
②前腕骨骨折
③慢性硬膜下血腫
④頚髄不全損傷
などがあり、どれもが入院加療が必要なものです。
また、一度受傷すると複数回繰り返すことも多くなります。
従って、転倒しないようにすることが大切です。
以前、ロコモティブシンドロームなどで転倒予防のための運動については解説をしていますので、今回は環境についてお話ししたいと思います。
先ほどの退院後患者アンケート中間報告では、
自宅退院後、転倒の多い場所として、
居室が挙がっています。
当院でも住宅改修指導を積極的に行っていますが、
生活を如何に行い易くするかという点で指導を行っていますので、
転倒を完全に防ぐには至っていないということがわかりました。
今後、指導方法についても検討したいと思います。
猪飼らは、転倒危険因子の外的要因として、
暗い照明
絨毯のたわみ、まくれ
敷居
固定していない家具
コード
こたつ布団
を挙げています(一部追加改変)。
猪飼哲夫:高齢者における転倒の要因と対策 福祉のまちづくり研究6巻1号2004
これを踏まえ、居室の環境改善について絵にしてみました。
絨毯やラグ、こたつの敷布などは薄く引っかかりにくいものを床に両面テープ等で固定して使うと良いでしょう。
こたつから伸びるコードなども延長コードなどを利用して、通路から一番遠い場所を這わせるようにすると良いでしょう。
また、部屋は明るく、夜間の移動も考えると常夜灯などの設置も考えると良いでしょう。
また、つっかけ、サンダル、スリッパは転倒要因の3大履物です。
一般的に高齢者は環境変化に弱いと言われます。
自分は絶対大丈夫などと思わずに、動けるうちに身の回りの環境を整え、転びにくい部屋にしておきましょう。