大腿骨頸部骨折は、回復期リハ病棟ではかなりメジャーな疾患です。
上の図の部分(ふとももの付け根)が骨折したことの総称です。
治療はまず手術。
以下のような手術を行います(当院ではできません)。
術後、リハビリをするわけですが、まずは手術や安静で弱った筋肉に目覚めていただきます。
以下のような、運動療法を行っていきます。
リハビリというと、運動することだけが注目され、激しい運動をすれば良いかのような誤解を受けることもありますが、それだけではありません。
過去2年ほどの大腿骨頸部骨折の患者さんの平均年齢を調査したところ、80.8歳でした。年齢と共に骨粗鬆症が進行していった結果、骨折しやすくなったことも一つの原因として挙げられると思います。
男女比も調査したところ、74%が女性でありやはり骨が脆くなっていることも原因の一つと考えられました。(女性の方がホルモンバランスで骨が弱くなりやすい)
従って、リハビリでは運動指導を行うだけでなく、転ばないようにするにはどうすべきかという指導も合わせておこないます。
折角歩けるようになっても、転んでしまって再骨折、という事例も少なくないからです。先ほども述べたように、年齢とともに骨が脆くなっていきますので、外力を受ければ何度でも骨折します。
できるだけ再入院しないように、通常のリハビリに加えて、転倒予防に関する指導、さらには環境をどのように整えるかについてもリハビリの中でお話ししていきます。
そのためのリハビリ期間、当院の平均で69日。患者さんに同行しての住宅改修実地指導も行っていますし、退院の際のケアマネとの調整も行うと、多くの時間を要します。
最近は、急性期病院で基礎疾患などのため、手術できないけどリハビリをお願いしますというオーダーも増えました。また、認知症を合併することも珍しくなくなりました。
こういった症例も含め、過去2年間の病棟内歩行自立割合は60%超でした。
病院で歩けるように練習して、自宅復帰にあたっては、転ばない、骨折しないようにする配慮をセラピストと一緒に検討させていただきたいと思います。
記事担当:リハ部長