さまざまな店舗や施設の入り口に多く見かけるようになったアルコール消毒剤。感染症の感染予防対策として、アルコール消毒剤を利用している方は多いと思います。最近は5類への移行で、撤去する施設も増えているようですが、医療機関ではほとんどの施設で手指消毒剤が活躍していることと思います。
一般的なアルコール消毒は細菌に対して効果が高く、秒単位での除菌が可能です。
しかし、一部の芽胞を形成する細菌(食中毒となるウェルッシュ菌・ボツリヌス菌)などに対しては、芽胞の状態でのアルコール消毒は効果がないそうです。
ウイルスに対するアルコール消毒の効果は細菌と同様、ウイルスの構造によって違いが出てきます。ウイルスには、エンベロープと呼ばれる脂質性の膜を持つものと持たないものが存在し、エンベロープを持つウイルスは、その膜によって守られています。
エンベロープはアルコールによって破壊され、ウイルスは感染力を失います。つまり、アルコール消毒はエンベロープを持つウイルスに効果を発揮するのです。このタイプのウイルスには、インフルエンザウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、そして新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)などがあります。
一方、エンベロープを持たないノロウイルス・A型肝炎ウイルス・ロタウイルスなどは、アルコールが効きにくいと言われていますが完全には無効ではないという見方もあります。このようなウイルスには、次亜塩素酸ナトリウムが有効とされています。
患者さんにも感染対策として消毒を行っていただけるようにしました。リハビリ室の入り口に手をかざすだけで出る消毒液を設置し、片麻痺がある方などでも消毒が行いやすくなるように環境調整を行っています。さらに折り紙で作ったお花や模造紙などを貼りつけて患者の目につきやすいよう工夫しました。消毒回数を増やす工夫は、良い飾り付けだと思います。今後、杖歩行の患者さんも消毒を使いやすくなるように杖置きの検討もしたいと考えております。
記事担当:OTみうら