カナダ・トロント大学(University of Toronto)のスパイク・W・S・リー氏らは、体をきれいにすることでストレスや不安が軽減されると報告しました。
2022年7月にSocial Psychological and Personality Scienceでの報告
実験には、1000人超の成人が参加しました。
彼らに、不安・緊張・恐怖を植え付けることでよく知られる「バンジージャンプ台の先端に立って怯える女性」の動画を見てもらいました。
続いて彼らを3つのグループに分け、
「手の正しい洗い方」
「円の描き方」
「卵の殻のむき方」
の動画を視聴してもらいました。
その結果、手洗いの動画を見たグループは、他の2つの動画を見たグループに比べて、不安やストレスレベルが低い傾向にあると判明しました。
また、
参加者に不安を煽る動画を見せたあと
- 顔、首、髪を水で十分に洗い流しているところをイメージする
- 腕、顔、首、髪を触って、その触感を十分に感じているところをイメージする
- 何もイメージしない
の3グループに分かれました。
その結果、体を洗うことをイメージしたグループは、他の2つのグループに比べて、不安レベルが低くなることが分かりました。
この2つの結果から、「体を洗うこと」自体に不安軽減効果があり、「体に触れること」とは関係がないことが分かりました。
さらに、「険しい表情をした審査員の前でスピーチする」という別の実験でも、除菌シートで手を拭くことで不安が軽減される、という結果が得られています。
これら一連の研究結果から、チームは「体を洗うことは、ストレスや不安の軽減に役立つ」と結論付けました。
人前で話をするなど不安が高まりそうな時、また、何らかの理由で不安が強くなったとき、手を洗ったり、シートで顔を拭いたり、さらに環境がなければ、体を洗うイメージをする事でも、不安が軽減されるようです。
記事担当:部長さかもと