スポーツ選手がパフォーマンスを上げようとして、よく「イメージトレーニング」に取り組んでいるという話を聞きます。
バーバード大学の研究でも下の図のような結果を出しています。
これはピアノの練習に関する事ですが、実際に指を動かして弾くのがAグループ、イメージだけでトレーニングするのがBグループ、何もしないのがCグループとすると、Cグループに効果はないものの、イメージトレーニングをするBグループでも指を動かす技術が向上したという結果になりました。
これが、一般に言われるイメージトレーニングの力です。
リハビリではどうでしょうか?
「歩行に特化した運動イメージトレーニングは,脳卒中片麻痺患者の歩行能力を向上させる」とこんな論文が出ています。
Hwang S, Jeon HS, Kwon OY, Cho SH, You SH:Locomotor imagery training improves gait performance in people with chronic hemiparetic stroke: a controlled clinical trial , Clinical Rehabilitation. 2010; 24: 514-522.
この論文では、運動イメージのために2種類の歩行に関する動画を使っています。1本目は,健常成人男性が歩いている様子を前、横、上から撮影したもの。動画の前半はゆっくりとした歩行速度で,後半は通常の歩行速度で歩いている様子を流した。2本目の動画は,それぞれの患者さんが快適歩行速度で歩いている様子を同じく3方向から撮影したものであった。
これを見て自分が歩く事をイメージするのが運動イメージトレーニングということになります。
「歩行の時空間パラメーターについて,歩行速度,ストライド長は,運動イメージ群で有意な増加を認めた。その他に有意差は認めなかったとのこと。
また、歩行の運動学的パラメーターについて,麻痺側の股関節の屈曲-伸展,膝関節の伸展-屈曲の角度変化量は,運動イメージ群で有意な増加を認めた。非麻痺側の股関節の屈曲-伸展の角度変化量は,運動イメージ群で有意な減少を認めました。」
ここは細かいので、良くなったと思っていただければよいと思います。
実際の運動と、イメージトレーニングの合わせ技が一番効果が高いと考えられています。
人のフリは数多く見ることが大事なようですね。
記事担当:部長さかもと