群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。ロボットリハ稼働中。100名超のリハスタッフで365日リハビリ邁進中。一緒にリハビリがんばりましょう。

理学療法士への道~臨床実習編~

           

こんにちは!

理学療法室ブログ係の伊東です。

 

今回は理学療法士になるための大きな山場の1つである「臨床実習」についてお話ししていきたいと思います。

 

臨床実習は学校で学んできた知識や技術を臨床の場で実際に見学したり、指導者の指導の下実施するとても重要な機会です。

 

当院でも理学療法室だけで毎年約20名~25名の学生が実習に来ています。

 

このブログを読んでいる人の中には、入院中に学生の見学等でご協力頂いた方もいらっしゃるかも知れません。

 

この臨床実習がここ数年で大きく変化してきました。

 

私の学生だった10年以上前の臨床実習では、自分の担当患者様を受け持たせて頂き、指導者の下、評価や治療を実施してきました。その為、レポート課題や症例発表などがありました。

 

現在は「診療参加型臨床実習」といわれるものとなり、学生は診療チームに参加し、その一員として理学療法士の臨床実践を学ぶものとなっています。

従来に比べレポート等の量は大きく減り、臨床現場での実践が重視されるようになりました。

また、臨床実習指導者の条件も変わり、従来は一定の経験年数があれば指導できました。

現在は経験年数に加えて、2日間の講習会の修了が必要となりました。

私も講習会に参加させて頂き無事終了する事ができました。

 

            

 

当院でも新しい実習形態の為に、積極的に講習会に参加し、現在20名近くのスタッフが講習を修了しています。

また、当院独自のチェックリスト等も作成し充実した実習になるように準備しています。

 

臨床実習は患者様のご協力の上に成り立っています。貴重なリハビリの時間を割いて頂き申し訳ございませんが、将来の有能な理学療法士の育成の為、ご理解ご協力よろしくお願いします。

 

                           記事担当部署:理学療法

 

「服装と認知機能の関係」

OTになってから2年目になりました。柴田です。

 

社会人になると学生の頃と比べて金銭面に余裕がでるせいか趣味に使うお金が増えますよね。

 

最近は季節の変わり目と言うこともあり、秋服や靴をたくさん買ってしまいました。

まだまだ物欲は収まりませんが、お財布と相談してほどほどにしたいと思います。

 

       

 

 

 さて、そのファッションという点ですが、病院にいると患者さんは病衣を着ていることが多く、私服であったとしても決まった服装になってしまうことが多いですよね。

 レンタルが出来るという点においては、洗濯をしなくても済むので楽にはなりますが、ずーっと部屋着を着ているような感覚です。

 私たちは仕事に向かう為に洋服に着替え、職場に着いてからはケーシーに着替えます。

 特に最近は、朝目が覚めた時に肌寒いなぁと感じた事もあり上着を持って行こうと思う事もありました。

 しかし、院内では気温が管理されている為、外に出る機会がないとそういった寒さなどから季節感を感じにくい状況ではあります。

 

        

 このような環境は医学的管理という点では大事ですが、季節感や服装によるOn-Offがなくなることで、生活のリズムが乱れ、これが長期に渡れば認知機能に影響を及ぼす事もあるようです。

 

 身だしなみを整えることは、清潔感もあり、気分転換にもなりますし、何より認知的に問題を抱えると、服装に乱れが生じてきます。

 

 歳を重ねていくにつれて、あまり気にしなくなってしまいがちになる「身だしなみ」ですが、出来る限り洋服に着替えるという機会を増やしていき、認知機能低下の予防や生活習慣を活性化させる為にも、今一度ここに着目しながら取り組んで行きたいと思います。

 

                             記事担当:作業療法

 

 

 

○○の秋

 秋と言えば、「スポーツの秋」「読書の秋」「芸術の秋」「食欲の秋」など“○○の秋”という言葉が多くみられます。なぜ秋なのか、それぞれにどんな由来があるのか調べてみました。

 

スポーツの秋 

スポーツの秋といわれるようになったきっかけは東京オリンピックにあるようです。1964年に開催された東京オリンピックの開会式は10月10日に行われています。また秋は気温と天気から身体を動かすには最適な時期です

 

読書の秋 

 秋分の日を過ぎるとあっという間に暗くなるのがはやくなります。“秋の夜長に読書を楽しもう” なぜこういわれるようになったのかというと、中国の韓愈(かんゆ)という文人が残した漢詩の一説に「燈火稍く親しむ可く」という言葉が広まったとされています。これは「秋の夜は涼しさが気持ち良いので、灯りに照らして読書をするにはいいものだ」という意味です。日本では夏目漱石の小説「三四郎」で詩を引用したことがきっかけで広まりました。本屋さんや図書館でお気に入りの一冊を見つけてみるのはいかがですか?

 

芸術の秋 

 1918年に発行された『新潮』という雑誌で“美術の秋”と使われたのが基。秋は大きな美術展が開催される事が多く、芸術に触れる機会も多くなります。また、草木が紅葉したり綺麗な景色を楽しめるのも芸術の秋といわれる理由です

 

食欲の秋 

 秋になると山の動物たちが人間の住む村や町に出てくることがあります。それは冬眠に備えてたくさん食べて脂肪分を蓄えるためです。これは本能で行動していますが、この本能が人間にもあるようです!そのために秋になると本能で自然と食欲が増してくるみたいです。秋には美味しい食べ物が多くあることもさらに食欲が増す原因になっているとか…^^

 

 ○○の秋について見てきました。スポーツ、読書、芸術、食欲とこうして並べてみると、すべて認知症予防や要介護予防に大事な因子ばかりのようです。秋を楽しめる人は認知症や要介護状態を寄せつけないのかもしれませんし、こういうことは退院後の生活のヒントにもなることでしょう。。

 

             

                               記事担当:ST横山

心のバリア①

みなさんこんにちは!

理学療法士の池田(み)です。

 

法律にも理学療法士とは

「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」

と定義されています。

 

じゃあ、心やメンタル面のケアは理学療法士の仕事に関係ないのね

かというと、そんなことはないと思います。

                            

実際に当院に入院されている患者さんは、リハビリに対して様々な心持ちで取り組んでくださっています。

「三度のご飯よりリハビリが楽しみ! たくさん運動したい!」

という方もいらっしゃれば

「あまり運動はしたくないし、すぐ帰りたいけどこのままじゃ帰れないから…」

という方もいらっしゃいます。

 

そしてその中にも、リハビリが順調に進んでいる方、目標までまだ到達出来ていない方など様々な状況の方がいらっしゃいます。

 

心持ちも状況も十人十色。

 

どんな患者さんにもできるだけ前向きに、楽しんでリハビリをしていただきたい。

そのためにもメンタルケアにつながる声かけやリハビリができることも、

理学療法士として大切なことだと、私は思います。

 

ということで前置きが大変長くなりましたが、今回のテーマは心についてです。

 

みなさんはこんな経験ありませんか?

「やらなきゃいけないことがあるのに、全然違うことで時間を使ってしまった」

「こんなことしている場合じゃないのにー!」

 

私は何度もあります。

学生の頃(主に中学から大学)、テスト前日や課題提出期限の前日になると

なぜか部屋の掃除や片付けを始めてしまうんです。(暇なときはやらないくせに)

                              

そのときの気持ちとしては、

「部屋や机まわりがきれいな方が、勉強しやすいし必要な参考書も見つけやすいし」

確かにその通りなのですが…

 

気付けば真夜中、目の前には終わっていない課題の山

 

そのときは、なんでいつも適当な理由つけて怠けてしまうんだろう…と思っていました。

 

でもこれ、実はただの怠けだけではなく「心の防衛機制」が働いていた可能性もあるんです!

 

防衛機制…聞き慣れない言葉かもしれませんが、

心も無意識のうちに自分を守ろうとしてくれているんです!

 

次回は、心の防衛機制についてお話していこうと思います。

 

                                PT 池田(み)

 

マッサージも使います

こんにちは、初めまして!

今年4月より入職しました、理学療法士の 川原圭太 と申します。

 

よろしくお願いします!

 

さて、今回は「マッサージ」について紹介しようと思います。

我々理学療法士は、リハビリの一部で患者さんにマッサージをすることもあります。

そこでマッサージにはどんな種類があり、それぞれどんな特徴があるのかを

ご紹介します。

 

マッサージの効果について

まず、マッサージをするとどんな効果が得られるのでしょうか?

①ストレッチ効果

筋肉をマッサージすることで硬くなった筋肉がほぐれます。

 

②血流・リンパの流れ改善効果

足先など身体の先端の方には血やリンパが溜まりやすくなります。

それらを心臓に戻すように中心に向かってマッサージをすることで循環が促され

疲れの回復などが期待できます。

 

心理的効果 

マッサージをすることで自律神経がととのい、リラクゼーション効果を得ることができます。

 

マッサージの種類について

一言にマッサージと言ってもその方法には様々なものがあるようです。

一般的に想像できるものは筋肉を揉んだり擦ったりというところでしょうか、それでは

見ていきましょう!

 

①揉む(揉捏法)

 セラピストの指や手のひらで圧を加えながら輪状や線状に動かして揉みます。

②擦る(軽擦法)

 セラピストの手を患者さんの身体に密着させさすります。

 リハビリの中では最初や最後にすることが多いです。

③動かす

 膝や足首などの関節を動かしながら筋肉を伸ばします。

④圧迫する

セラピストの手を患者さんの皮膚に密着させ圧を加えながらゆっくり押します。

⑤叩く(叩打法)

セラピストの手や指で患者さんの身体を叩きます。

⑥振動させる

患者さんに力を抜いてもらい手や足を持って振動させます。

 

大きく分類して6種類もあります。

患者さんを叩くのには少し抵抗がありますが、これもれっきとしたマッサージです!

また、傷があったり関節がゆるいとき、骨粗鬆症の方などにはマッサージする際には注意が必要です。状態が悪くなりそうな場合は行いません!

他にも道具を用いるものなど様々なものがあります。

 

マッサージだけで効果を出すことは難しいといわれますが、

他の療法と組み合わせ、適時効果を出せるようにしていきたいと思います。

 

                              記事担当:PT川原

中年の体重増減

中年期の体重の増減が心血管疾患におよぼす影響

 

肥満や過体重は脳卒中など心血管疾患のリスク要因と言われている。

 

中国の中高年者において、4年間の体重変化が脳卒中のリスクに与える影響を調査した(平均58歳)。

 

体重変化が2kg以下の安定群とくらべたときの、

脳卒中のリスクは、体重増加5kg以上の群では1.40倍、

体重減少5kg以上の群では1.65倍だった。

 
体重の増減と脳卒中リスクとの間にU字型の関連がみられた。
 
  
      
日本の研究では、5kg以上減った場合は、男性で1.17倍だったのに対し、女性では5kg以上減った場合は1.33倍、5kg以上増えた場合は1.61倍だったという報告があり、オッズ比は安定しない。
 
体重の変化と脳卒中の図

 

中年期の5kgを超える体重の増減は、いずれにしても脳卒中リスク上昇と関連しており、やはり体に良くないといえそうだ。
 
急激な意図しない体重増減にはご注意ください。

体重が増減を繰り返す要因と“本当の体重”の測り方を、専門家が解説

Weight change over 4 years and risk of cardiovascular diseases in Chinese: The China Health and Retirement Longitudinal Study

 

                                記事:さかもと

THA術後の歩行リハビリ

変形性股関節症、膝関節症に罹り、長い期間を経て、人工関節の手術を行った患者さんも、急性期を脱すれば、当院のリハビリの対象になります。

 

人工関節に入れ替えて暫くは、手術による侵害刺激と、長年関節を動かさないように生活してきたことで、痛みがなくなったのに、関節の動かし方がよくわからないという経験をします。

 

長年、体重を掛けたり、筋肉を使ったりすることを避けながら痛みに耐えていたので、筋肉が衰えています。また、関節を動かすと激痛が走るので、できる限りその痛みのある関節は動かさないようにしています。

 

こういう状況で長年の生活を送られているので、「さあ痛みはなくなった。どんどん動いてイイですよ。」と言われても、そんなに簡単にいくわけないじゃないですかというのが、この病気を患った方の言い分なのではないでしょうか。

 

昨今は、医療費削減の名の下、できる限り入院期間を短縮して、手術した病院を退院した後は、そのまま自宅で生活するというのがトレンドになっているようです。

 

でも、本当にそれでいいのでしょうか。現在でも、変形性関節症の術後は、回復期リハ病棟でのリハビリが認められています。

 

当院では、変形性股関節症術後の患者さんに、歩行アシストを使ってリハビリをする際、股関節がどの位動いているのかを計測しています。さらに数回使った後にもどう変化したのかも計測しています。

 

一例を示すと、この方は左の人工関節置換術後の患者さんです。入院されてからある程度の期間、通常のリハビリを行ったあと、股関節の動きがまだ悪いとの事で、10回程度歩行アシストによる歩行リハビリを行いました。

 

右足は良い方の脚なので、関節の動きに前後で差はあまりありませんが、

 

 

大きく差が出るのは、手術した側の股関節の動きです。

本来伸展もプラス~度で表現しますが、一本のグラフで表現するため、マイナスで表現しています。体幹から下りる垂線よりも後ろに動いた場合をマイナスとしています。

 

 

術側では、初回と比べ、10回終わった後(終回)では、屈曲伸展合計6.3°関節が大きく動かせるようになりました。

 

関節角度6°と言われ、なんだそれだけか、と思われるかもしれませんが、これが意外に効果が大きかったようです。

 

歩行速度は1.02m/sec → 1.14m/secと伸び、

平均歩幅は0.476m → 0.588mと 10cm以上伸びています。

僅か10cmかもしれませんが、一歩で10cmですからね。

 

歩行時の動画をキャプチャーしたのが、下の写真です。

常歩行をしていただいていますが、脚の開き具合に違いがあるのがおわかりいただけると思います。右下が終回後ですが、一歩がカメラの画角からはみ出してしまっています。

 

このように、股関節を動かす練習をしてから、自宅復帰を考えられてはいかがでしょう。

 

     

最近は当院でも人工関節の患者さんは、短期集中のリハビリとなっていますので、1ヶ月程度で中身の濃いリハビリをしたいと思います。

宜しくお願いします。

 

                          記事担当:リハ部長さかもと

 

実習生担当になりました

この度、実習生指導を初めて担当することになりました。

将来同じ職業を目標にされている学生さんのお手伝いが出来ることに、
喜びを感じています。


実習期間を前にして、

私自身が実習生の時は、どんな気持ちで実習に臨んでいただろうかと、
十数年前を思い返しました。

 

 すぐに思い出すのは、実習期間は、緊張の連続だったなあということです。
 学校で学んでいるとはいえ、まだまだ未熟な知識に不安を感じながら、
初めて実際の患者さんに接する機会を得て、貴重な毎日を送らせて頂きました。

それから、実習で担当させて頂いた患者さんの事、指導してくださった先生のことは

今もよく憶えています。

 

リハビリの療法士(セラピスト)を目指している学生さんにとって、
実際の現場で学べる実習というのは、大きな経験の場であり、

セラピストになるために通る試練の場でもあると思います。

私の経験を踏まえつつ、
少しでも緊張を和らげることができるよう環境を整え、
安心して沢山の事を学んで頂きたいと思っています。

 

また、私が学生の頃と大きく違うのは、現在はコロナ感染対策下の現場を

体験するということです。

 

 

当院で実習予定の皆さん、ぜひ安心して実習に臨んでください。
そして実習を通して貴重な経験を積んで頂きたいと思います。
近い将来、同じセラピストとして活躍されることを期待しています。

 

                              記事担当:ST吉田



日の光と幸せホルモン

 こんにちは!はじめまして。OT2年目の牧です。

 色々な方々に支えられつつ、作業療法士として早くも1年半の月日が経ちました。

 これからも感謝の気持ちを忘れずに頑張りたいと思います!

 

 さて、最近は夏の暑さも和らいで日も短く感じられるようになりました。

 町の風景も秋を思わせる装飾が増え、季節の変わり目なんだなぁとしみじみと思います。

 皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

 

 今朝もまさに台風の通過で、大雨でしたが、実は気象庁によると今年の9月は、全国的に平年より晴れる日が少なく、ぐずついた天気の日が多いそうです。つまり日照時間が全国的に少ないということです。

 

 突然ですが、皆さんは秋から冬にかけて、なんとなくだるい、やる気が出ないと感じたことはありませんか?もしかしたらそれは「なんとなく」ではないかもしれません。

 季節性うつ病をご存知でしょうか?

 

 季節性うつ病とは秋から冬にかけてうつ症状が現れ、春先になるとよくなるというパターンを繰り返します。気分の落ち込みや無気力感などの抑うつ症状に加えて、過食や過眠等の症状も見られます。原因は日照時間の不足と考えられています。

 

 では、なぜ日の光が原因で季節性うつ病になるのでしょうか?

 それは幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが大きく関係しています。

 セロトニンとは脳からの電気信号を神経細胞に届ける物質の一つで以下の作用があります。

・脳を覚醒させる

・身体の活動性を高める

・食欲をコントロールする

 日の光を浴びるとセロトニン神経が活性化されセロトニンを沢山作ってくれるのです。

 

 季節性うつ病の治療として光照射療法(2500ルクスを朝2~3時間浴びる)というものがあります。日の光は曇りの日でも10000ルクスあるのだそうです。太陽のパワーが如何にすごいのか分かりますね!

                                                                                             

 予防としては起床後、30分程度(秋・冬の場合)日光浴をすることが効果的です。

 日光浴以外では食事や運動でもセロトニンを増やすことが出来ます。食事では乳製品、大豆製品、バナナなど、セロトニンの原料であるトリプトファンを多く含む食品や一定のリズムで行う運動がセロトニンの分泌を高めてくれます。朝、しっかり朝食を食べて日の光を浴びながらウォーキングすれば身も心も元気に一日を始められそうですね!

 

            

 これからの季節、どんどん寒くなり日も短くなりますが、日の光を浴びることと、健康的な食事、定期的な運動を心掛け元気に冬を乗り切りましょう!!

 

                               記事担当:OT牧

脳卒中後の疲労

 脳卒中後の「疲労」はよくある合併症ですが、年単位で持続する可能性があります。

 

 このような症状はリハビリの際、回復を阻害する要因になります。

 

 脳卒中後の疲労に関しての原因は不明ですが、視覚、体性感覚、前庭感覚などの中枢性感覚の統合障害が非効率的な姿勢制御を引き起こしている可能性があります。

 

 これら感覚統合をうながす方法として「前庭リハビリテーション」があります。

 

 脳卒中疲労に対する前庭リハビリは、以下の論文で検討されていますのでご紹介します。

 

A Ghaffari B Asadi:The Effects of Vestibular Rehabilitation on Poststroke Fatigue: A Randomized Controlled Trial Study. Stroke Research and Treatment 2022

 

 男性脳卒中患者32人を、前庭リハビリ群と対照群にわけています。

 

 前庭リハビリテーションの練習は、トランポリン、固い地面、スポンジ、バランスボードの上で目を開いたり閉じたりしながら行う運動、頭を横、上、下に動かす運動、重心を変えながらボールを投げたりキャッチする運動、頭を動かしながら歩く運動、手に持ったボールを左右に動かす運動から構成されている。眼球運動は1セッションあたり10分程度行いました。

   

 

             


 疲労度やうつ度、日常生活動作のBADLとIADLにおいて、前庭リハビリ群は対照群とくらべて有意な改善を認めました。

        

     図2  

 リハビリの際にすぐに疲労を訴え、練習を嫌がる患者さんは結構いらっしゃいます。治療可能性のヒントを与えていただきましたので有効に活用できると良いでしょう。まずは、目の動き、首の動き、とこれらの協調性を高めるところから援助していくと身体的負担を訴える方にも応用できると思います。

 

                           記事担当:部長さかもと