高次脳機能障害者と自動車運転についてまとめました
高次脳機能障害者の自動車運転に見られる特徴
合図の左右間違い
アクセル・ブレーキを間違える
ブレーキ操作の遅れ
意味のない加減速
交通の流れに乗れない
ハンドルを切る時期の遅れ、戻し遅れ
ハンドルの操作量がいい加減
一時停止後の確認忘れ
前・横の安全間隔が保てない
速度が保てない
二つ以上のことを同時進行中にできない
判断までできたとしても、その遅れの補償として急ハンドル、急ブレーキが現れる
直線走行でのふらつき
信号見落とし
見た目には何ともなくても、自動車運転をするにはこのような危険があるようです。
脳卒中を含む、脳損傷患者さんが運転再開する際に医療側が行う検査としては以下が挙げられ、運転再開に関わる高次脳機能検査適否条件もあわせて載せました
WAIS-RとKohs立法体テスト
IQ80~90点以上あること
Behavioral Inattention Test(BIT)行動性無視検査の通常及び行動検査
各下位項目でカットオフ値を下回らない
Functional Independence Measure(FIM)機能的自立度評価法
認知5項目がすべて6点以上(修正自立、自立)
仮名拾いテスト
85%以上(ヒット数/ヒット数+ミス数)
PartA 47秒以内、PartB 133秒以内
符号評価点で11点以上
言語性対連合Ⅰ粗点で17点以上
Behavioral Assessment of the DysexecutiveSyndrome(BADS)
動物園地図得点で2.3点以上
年齢補正標準化得点で99点以上が必要としている
多くの報告はDriving Simulatorや教習所と協力し実車運転も併せて評価しており、医療者としては机上評価のみで運転の可否を判断するのは困難であるとしている
引用 山嵜朱音他:脳損傷者の自動車運転-身体及び高次脳機能評価と支援.総合リハ38:755-759,2010
当院では今夏、リハビリテーション向け運転能力評価サポートソフトを導入致しました。これはリハビリ加療中の方が、自動車運転復帰に向けて評価・訓練をするためのDriving Simulatorです。運転環境を模擬的に再現することで、運転中の視覚情報の範囲や認知・判断に対する適応性、アクセルやブレーキ操作時の反応時間等を計測し、数値データを健常者の運転データと比較することもできます。ディスプレイを3面にすることで、側方からの車の進入等の情報に対応できるかという評価も可能です。加速や減速時の重力加速度がかからないので少し違和感がありますが、実際のスタイルに近い形でシミュレーションが体験できるようになりました。