高い枕が脳卒中の一因である「突発性椎骨動脈乖離」の発症リスクになっていると、国立循環器病研究センターの研究チームが発表しました。首への負担がリスクと考えられ、論文が国際学術誌に掲載されました。
突発性椎骨動脈乖離は首の後ろの椎骨動脈が裂けてしまう病気の、原因不明のタイプです。15~45歳の若い世代では脳卒中の8~10%の原因とされています。
研究チームはこの病気の患者で極端に高い枕を使っているケースが目立つことに着目したようです。
この病気と診断された53人(26~79歳)と、年齢と性別が同じ比較対照について枕の高さや硬さを調査しました。枕の高さは頭を乗せない状態で12㎝以上を「高い」、15㎝以上を「極端に高い」と定義しています。
その結果は、
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高い枕 |
非常に高い枕 |
突発性椎骨動脈乖離患者 |
34%(18人) |
17%(9人) |
対照患者 |
15%(8人) |
2%(1人) |
枕が高いほど発症割合が高く、枕が硬いほど発症との関連が強くなる傾向もあったようです。
この表、わかりにくいのですが、椎骨動脈乖離の患者さんで高い枕を使っていた方が34%。このうち、非常に高い枕を使っていた方がそのうち半数だったという読み方をするようです。
日本では17~19世紀に殿様枕と呼ばれる高く硬い枕が市民の間で広く使われていました。江戸時代の複数の随筆には、「寿命三寸楽四寸(12㎝程度の高い枕は髪型が崩れず楽だが、9㎝程度が早死にしなくて済む)」と記載があり、当時の人々は高い枕と脳卒中の隠れた関連性を認識していたのかもしれません。
ちなみにこの“殿様枕症候群”ですが、国際学術誌に掲載された時の英訳は「Shogun pillow syndrome」だったそうです。
枕の高さ・硬さの好みは人それぞれですが、リスクを考え適切な高さの枕を選ぶ意識を持ちたいと思いました。
記事担当部署:ST室