市町村の間で認知症リスク(なりやすさ)に最大で4.2倍の差があります。
そこで、認知症になりやすい町となりにくい町を比較すれば、認知症になりにくい生活習慣を知ることに繋がるのではないでしょうか。
また、まちづくりというほど壮大なものではなくても、自分が心がけるだけで変えられる未来があるのではないでしょうか。
こんな事を考え、参考にすることで、健康寿命を伸ばし、健康的に、認知症になりにくい生活ができる可能性があると思ったので、論文などを探りたいと思います。
まずは重なる部分もありますが、認知症になりにくい町の特徴を上げていきます。
1.町を歩く人が多い
2.歩道が整備されている
3.公園が整備されている
4.生鮮食料品店が徒歩圏内にある
5.社会参加している人が多い
6.地域の通いの場、スポーツや趣味の会に参加する高齢者が多い
7.人と繋がりやすい環境がある
ということでした。
歩道が整備され、歩きやすく、適度に公園があって休憩でき、新鮮な食料品を手にすることができる環境がまずは、大事なようです。これに関しては解説する必要もないと思います。
では、社会参加とはどういう事でしょうか。高齢者に絞って記載しますが、まずは、就労です。就労も一つの社会参加です。
内閣府が公表する「高齢社会白書」によると、2017年、60歳以上の人が就労している割合は、男性の場合60~64歳の79.1%、65~69歳の54.8%となっており、60歳を過ぎても多くの人が就労しています。女性も、60~64歳で53.6%、65~69歳で34.4%が就労しております。女性は男性と比べ、少ないのですが、それでも60~64歳は2人に1人が、65~69歳は3人に1人が就労しています。就労している高齢者は以前と比べてもかなり多くなってきているようですね。
就労以外の社会参加では、60歳以上の男女のうち、およそ30%の人が何らかの形で社会的活動(貢献活動)に参加しています。もっとも参加している人が多いのは「自治会、町内会などの自治組織の活動」で、これに「趣味やスポーツを通じたボランティア・社会奉仕などの活動」が続いています。
自治会などの組織活動は関わりたくないというのが若い人の本音かもしれません。しかし、情けは人の為ならずとは良く言ったもので、こういった活動への参加が、健康寿命を伸ばすことにつながると言われるようになりました。
高齢でも社会参加をすることは、高齢者自身にどのような影響があるのでしょうか。こういった疑問には前述の白書が答えてくれています。
前出の白書によると、「社会的な活動をしていてよかったこと」には、「新しい友人を得ることができた」「地域に安心して生活するためのつながりができた」と回答した人が、50%を超えています(下図)。
社会参加は様々な効果を持ちますが、つながりを持てることや、地域貢献、身だしなみに留意するなど、人は人との間にいきていると言えるアンケート結果になったようです。
人は家庭や地域社会、職場や学校など何らかの集合に参加し、様々なつながりのなかで生きています。
病気などをきっかけに要介護状態となると、外出が減り、結果として周囲とのつながりが薄れて家に閉じこもってしまうこともあります。
病気にともなう障害は、手や足が動かないという身体機能面だけでなく、周囲とのつながりや家族との円満な生活ができなくなることへと本質が変化して行くと考えられます。
当院は脳卒中や骨折の方などの後遺症をお持ちの方の社会復帰支援をしています。
退院支援の際にもこういう視点を多くの職種で持てるよう努力していきます。
入院前に何らかの団体などで活躍されていた方であれば、どうすればそこへ行きやすくすくなるか、活動がしやすい状態になるのか。これも想定しながら、支援を行っていきたいと思います。
参考資料:暮らしているだけで健康になるまちづくり ゼロ次予防の社会実装 千葉大学予防医学センター 井手一茂 氏
記事担当:部長さかもと