群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

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引退すると身体不活動リスクが減る?

 京都大学の今年5月の報告です。

 

 多くの研究では、高齢者が就労継続することは、健康に良いとしています。

 しかし、既存研究は、健康な人ほど就労を継続しやすいという問題が考慮されていない可能性があります。

 

 京都大学医学研究科 佐藤助教らの研究グループは、日本を含む35か国の50~70歳の10万人あまりを約7年程追跡し、引退と心疾患リスクの関連を調べました。バイアスを取り除いた結果、引退した人は、働き続けている人よりも心疾患リスクが2.2%ポイント低いことが明らかになりました。

 また、引退した人は、身体不活動のリスクが3.0%ポイント低いことも示されています。

 

 現在、各国で年金の支給開始年齢の引上げや高齢者の就労継続支援が行われていますが、この研究の結果は、引退の遅れは必ずしも健康には良くないことを示唆しています。

 働く高齢者が増える中で、働いているだけでなく、運動などの健康づくりがますます重要になるといえるのかもしれません。

 

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佐藤先生のコメント

 これまで高齢者の就労継続は健康に良いものと信じられてきました。しかし、今回の研究によって、引退した人の方が、働き続けている人に比べて心疾患リスクが低いことが初めて明らかになりました。この結果は、引退によって仕事のストレスから解放されることや、運動する時間が増えることと整合的です。ただ、私たちは、意欲のある高齢者が働き続けることを否定するつもりはありません。高齢化が進展する中で、高齢者が働き続けられる環境を整備することは重要ですが、同時に運動などの健康づくりも大切になってくるでしょう。

 

 強制的に65歳以降も仕事を継続するのではなく、やりたい人は続けられる、やりたくない人まで無理をしない済む環境を作っていくべきかもしれませんね。

 

 引用:引退すると心疾患リスクが2.2%ポイント減-35か国約10万人の追跡調査-

 

                              記事担当:さかもと