群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

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座りすぎはよくない

 普段から座りすぎている人は、座りすぎていない人と比較して寿命が短く、肥満、糖尿病、心疾患の割合が高いことがわかっています。以前、日本人を対象に日中の座位時間と死亡リスクとの研究の結果が報告されました。

 

 

 これによれば、仕事および余暇の時間を含む全ての日中の座位時間が長いほど、死亡リスクが高まり、特に1日9時間以上座っている人は、将来の死亡リスクが高くなるとされています。高血圧、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病を多く抱えるほどリスクが高くなりますが、生活習慣病がない人でも同じ傾向があります。

 

 普段座りっぱなしでも、週末に運動すればよい、と考える人もいるかもしれませんが、残念ながら、たとえ運動習慣があっても、座りすぎによる死亡リスクは変わらないことが示されました。

 上図は総運動量と余暇の座位時間が死亡率に与える影響を米国人で検証した研究結果です。運動量が最も少なくかつ余暇の座位時間が6時間以上の群(最も右側の棒)で死亡率が跳ね上がっていることがわかります。それだけでなく、同じ活動レベルの群の中でも、座位時間が増えるほど死亡リスクが高くなっていきます。

 

 身体活動量を増やしても、座位時間が長いままではダメだということです。運動不足と座りすぎは別の問題のようです。もちろん運動習慣はつけるべきですが、それ以上に、座位時間を短くすることが死亡リスクを下げるためには重要です。

 

 

 長時間座りっぱなしが、なぜ死亡リスクにつながるのか?

 ふくらはぎは第2の心臓、と言われ、下肢の筋肉の収縮で血流のポンプ機能が働き、循環動態を助けます。長時間座り続けていると、全身の筋肉の70%を占める下半身の筋肉が動かず、血流や血中の脂質代謝が低下し、血液中の中性脂肪の増加、善玉コレステロールの減少、血中インスリン感受性の低下などを引き起こし、動脈硬化などの悪影響につながるとされています。

 その結果、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、肥満、骨粗鬆症などのリスクが高まります。

 さらに高齢者では、活動性の低下による認知機能やメンタルヘルスへの影響も指摘されています。

 

 座り続けないことを意識することが大事で、長時間の座りすぎをできるだけ減らし、少なくとも1時間に5分は、立ち上がって体を動かすことが大事でしょう。

 

                            記事担当:部長さかもと