1日当たりの歩数を3,000歩増やすことで、高齢の高血圧患者の血圧が低下する研究結果が報告された。米コネチカット大学により、「Journal of Cardiovascular Development and Disease」に7月報告されました。
アメリカでは、高齢者の約8割が高血圧患者だそうだ。高血圧を抑えれば、様々な疾患の発症予防につながります。今回の研究では、20週間にわたって高齢の高血圧患者の運動量を適度に増やすと効果があるか検討しました。
対象は、座位で過ごすことの多い肥満または過体重の高齢高血圧患者21人(女性13人、男性8人)で、適度な運動量の増加として1日当たり3,000歩増やす事をお願いしました。高血圧は、収縮期血圧130〜159mmHgか拡張期血圧89〜99mmHg、またはその両方を満たすか、降圧薬を服用中の場合としました。
1日当たりの追加歩数を3,000歩とした理由は、この追加により、米国スポーツ医学会が健康維持のために推奨している1日7,000歩を達成できる可能性が見込めたためです。
対象者の1日当たりの平均歩数は、開始時の3,899±2,198歩から、その10週間後には6,512±2,633歩、20週間後には5,567±2,587歩へと有意に増加していた。また、開始から20週間後には、収縮期血圧の平均値が137±10mmHgから130±11mmHgへ、拡張期血圧の平均値が81±6mmHgから77±6mmHgへ、それぞれ有意に低下しました。
他の研究結果に基づけば、このくらいの血圧低下は、あらゆる原因による早期死亡リスクを11%、心臓関連の問題を原因とする死亡リスクを16%、心血管疾患の発症リスクを18%、脳卒中の発症リスクを36%低下させます。
筆者は、「生活習慣に対する簡単な介入が、計画的な運動や薬物療法と同じように有効であることが明らかになり、心が躍る」と話し、「歩数の増加で得られた効果は、高血圧の薬物療法に匹敵する」としています。
運動と薬物療法を併用すると、運動が降圧薬の効果を増強するとのこと。
医師に処方してもらった降圧剤と、一日3000歩の運動追加でより大きな効果が狙えそうですね。
記事担当:部長さかもと