先日、出張で「日本高次脳機能障害学会」のオンデマンド配信を視聴させていただきました。
今回の高次脳機能障害学会は、「感じる高次脳機能」というテーマで開催されました。高次脳機能障害とは脳の損傷により、視覚・聴覚・自己受容感覚・記憶など様々な感覚を「感じられない、感じてしまう、違って感じる」障害であるといえるそうです。
このような捉え方は、私にとっては今回初めて勉強するもので、大変難しかったですが、様々なセミナーやシンポジウムを視聴し、脳の不思議さ・奥深さに少しだけ触れることができました。
例えば視覚においては、空間の左半分が「感じられない」と、左側の人や物にぶつかる、料理の左半分を食べ残すなどの「半側空間無視」という症状が出ます。
さらに、実際にないものをあるかのように「感じてしまう」と、実際にいない人やものが見える「幻視」という症状が出ます。
また、実際とは「違って感じる」と、ものが異様に早く動いて見えるなどの「錯視」が出ることがあります。
また記憶については、すでに亡くなっている家族の面倒を見ようとするNurturing(ナーシング)症候群、他患者さんを家族・知り合いだと言ってしまう「人物誤認」等のメカニズムの説明がされており、興味深かったです。
当事者である患者さんにとっては、脳の中で本当にその人がいるように「感じてしまう」メカニズムがあるのであって、周囲が違いますよと言っても到底納得できるはずはないのだと、改めて感じました。
今回の出張で得られた知識を、患者さんへの接し方・リハビリに生かしていきたいと思います。
ST登丸