嚥下障害(飲み込みに障害がある)という方に対して、とろみは必要不可欠なものです。嚥下障害により水分でムセてしまう方には、お茶やスープにとろみを付けて飲んでいただいています。
リハビリでは、とろみの量を減らすことや、とろみをなくしても安全に飲み込みが行うことができるように、口の中に刺激を与えたり、食べたり飲んだりする練習を行っています。
また、炭酸には「嚥下反射(ごっくんと飲み込むこと)を起こしやすくする」「舌の筋力が上がる」「咽頭(喉)の感覚が敏感になる」といった、嚥下障害を改善させる効果があります。そのため、当院でも炭酸を使用した嚥下リハビリを実施しています。
以前から、炭酸にとろみを付けて飲む方法はありましたが、従来の方法では炭酸が抜けてしまうという難点がありました。
2021年日本摂食嚥下リハビリテーション学会で発表された、とろみ炭酸の作り方は、炭酸を保ったままとろみを付けることができるようになったため、紹介させていただきたいと思います。国立長寿医療研究センター 前田圭介先生、東京医科歯科大学 戸原玄先生により考案された方法です。
必要物品
・500mlのペットボトルに入った炭酸飲料
・とろみ剤
方法
①ペットボトルに規定量のとろみ剤を入れる
②蓋を閉めて1分間振り続ける
③冷蔵庫で24時間 ボトルを倒して保管する
この方法は、炭酸ジュースのみならず、ペットボトルに移し替えるだけで、ビールなどのアルコールにも炭酸を付けることができるため、自宅復帰後も今までの楽しみを持ち続けていただけるのではないかと思います!
残念ながら、病院ではアルコールを摂取することは出来ませんが、炭酸を使用することで少しでも患者さんが楽しみながらリハビリを行うことができれば良いなと思っています。
記事担当:ST三木