群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

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髀肉の嘆と炎症反応

 緊急事態宣言後、外出機会や運動機会が減り、「髀肉の嘆」という故事成語を思いだした「さかもと」です。

 横山光輝三国志はよく読んでいましたので、ふとしたときにこんなことを思い出すのでしょう。皆さん、劉備玄徳はご存じでしょうか?

 

古代中国の三国時代

 

 劉備劉表の下に身を寄せて5年になった頃、劉表の招きで、襄陽の城に招かれて宴会を行います。

 

 そこで良い気分で酔っていた、劉備はトイレに立ちます。

 そこで、服をまくり上げて、自分の下半身を見ると、太ももに、しっかり贅肉が付いていました。

 

「ああ、、なんという事だ、戦乱から離れている間に、

あんなに筋肉質だった太ももに贅肉がついている。

戦陣で馬上にいる頃は、このような事は一度もなかったのに、、」

 

 戦乱に明け暮れ、常に馬上にあった時はぜい肉などついていなかった。まだ何も成し遂げられていないのに、このまま老いてしまうのかと考え、劉備は嘆き、涙した。

 

 この故事に由来する『髀肉の嘆』という言葉は、実力を発揮する機会を得られず、いたずらに時が過ぎていくことへの悲しみをいいます。

 

 新型コロナウイルスの感染への警戒から、学会、コンサートなどのイベントや会合の中止・延期が相次いでいます。リモートワークで人と会う機会が減ったビジネスマンや、予約が減少した飲食店など、活躍の場を奪われ、結果として活動量が減少し、外出や旅行に制限を受けることが長期化して、イライラしてしまう人も増えていることでしょう。

 

 しかし、三国志の描く劉備は『髀肉の嘆』のエピソードの後、諸葛亮孔明を『三顧の礼』を以て遇し、軍師に迎えることに成功し、蜀の国を興すことができました。

 嘆きを愚痴で終わらせず、チャンスをものにしたところが英雄たるゆえんです。

 先人に習い、私たちも混迷の中に未来を見いだしたいと思います。

 

 

 この髀肉の嘆に由来する肥満や運動不足。

 これは両方とも炎症反応が過剰になることを示します。

 血液中に炎症性の物質が増すと、動脈硬化や糖尿病、がん等さまざまな生活習慣病のリスクが高まります。

 内臓脂肪が過剰に蓄積しサイトカインと呼ばれる炎症性の物質が血液中に放出されますが、近年、運動不足によって衰えた筋肉からも数種類の炎症性のサイトカインが放出されるということが分かってきました。

 内臓脂肪やさらに不活動な筋肉からも炎症性サイトカインが放出されれば、それらの炎症性物質の血中濃度はさらに上昇します。

 

 血液中のいくつかの炎症性物質(CRP、IL-6)は、日常の身体活動の増加により改善することが報告されています。

 運動中は上がって行きますが、トレーニングを繰り返す毎に下がっていきます。

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 運動不足や肥満は、癌、心血管疾患、2型糖尿病、うつ、認知症、癌など、多くの病気を引き起こします(下図)。

 

 これを防ぐために体の中の炎症はできる限り小さくしておきます。

 

 そのためには、「運動トレーニング」と「カロリー制限」を一緒に行う事が単独で行うよりもよいそうです。

 

 コロナ禍で髀肉でなく、腹の肉が気になるようになりましたが、定期的な運動と、少しのカロリー制限が体を正常化するのに大事だと改めて認識できたように思います。

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                       記事担当:部長さかもと

 

 

    引用文献:木村弘ら 身体活動性と全身性炎症、日呼吸誌4(1) 2015