これまで使用していたティルトテーブル(傾斜台)が使用開始から20年を越えたため、新調しました。
このティルトテーブルなる物は、脳卒中の患者さんの入院リハビリを行う病院にはほとんどといっていいほど導入されていると思います。
この機器がどのように用いられるかを簡単に紹介します。
私たちは日々の生活の中で様々な身体活動を行っています。中でも体位変換は日常何気なく行われる活動の一つです。健常者では何事もなく行われる体位変換動作(起きたり・立ったり)が、脳血管障害患者さんや頸髄損傷患者さんにおいては、起立性低血圧などの心血管調節異常を引き起こす原因となってしまいます。
起立性低血圧という症状は、坐位や起立位をとると、重力により下肢および体幹へ血液が貯留して脳虚血状態となり、眩暈、耳鳴り、失神などの症状が発現します。その改善のためには、できるだけ早期からの体位変換、ギャッジベッドでの座位訓練、またティルトテーブルを用いての起立訓練(ヘッドアップティルト)などを行います。
ヘッドアップティルトによる起立訓練では、起立性低血圧症状のある患者さんに血圧や脈拍を測定しながらティルトテーブルの角度を徐々に上げて起立姿勢に慣らしていきます。そうすることで交感神経を刺激し、心血管機能の正常な活動を促す効果が期待されています。(自律神経は立位70度位より交感神経優位になるとの報告があり、本来であれば交感神経興奮による血圧、脈拍の調節が行われます。)
リハビリの他にも自律神経の検査としてヘットアップティルト試験という手法があり、この際にもティルトテーブルを用いて行う事が一般的です。
今回、新調したティルトテーブルが、患者さんの症状の改善および治療を助けてくれることを祈念しております。
記事担当:PT安齋