群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

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夏こそ風呂に入る

 入浴や運動の効果は「一汗かく」「リフレッシュする」だけではありません。

 入浴や運動に共通した作用は体温を上げるということです。

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沢渡温泉共同浴場


 正確には体温を上げることは脳の温度(脳温)を上げることです。

 体を芯から温めるといいますが、この芯は睡眠医学的に「脳」を示します。

 脳温は、昼夜で上下します。脳温は腋の下で測る温度よりも高めです。

 最も脳温が低くなるのは明け方で、日中に徐々に上昇して、夕方過ぎに最も高くなります。

 その後、普段その人が寝つく時刻の2時間くらい前から再び急激に低下し始めます。

 従って、よい睡眠をとる秘訣は「脳温」を下げることです。正しい入浴を効果的に使いましょう。

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 しかし、今の時期、冷房にあたりすぎることなどで、正常な脳温の上下動が十分にみられない人が増えているようです。

 

 本来、このような脳温の日内リズムは、体内時計の指令で調整されます。

 脳温と睡眠には密接な関係があり、脳温の下降カーブの途中で自然と眠気が急速に強まって、私たちは就寝し眠りに入るのです。

 しかも、脳温の下降速度が速いと眠りやすく、また入眠後の深い睡眠が増えることが分かっています。

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入浴で脳温を上げると、下降もスムーズ


 普段、寝る1~2時間前に40~42度のお風呂に15~20分程度入ると、脳温は短時間で上昇します。入浴は、非常に楽な脳の加温方法でしょう。温泉だとさらに脳温の上昇がラクにできるでしょう。

 

 さて、就寝時刻前にこのような脳温の上昇が生じると、生体は、元々の適正な脳温に戻すために手足の末梢血管を拡張して血流を増やそうとします。

 皮膚から熱を逃がして血液を冷やし、脳に戻すためです。

 冷えた血液によって脳や内臓が冷却され、脳温低下の傾斜が急になり、睡眠の質が向上します。

 冷房にあたる夏こそ脳温の変化に気をつかうべきでしょう。

 一日の終わりに疲れをとる風呂にはこんな意味もあったようです。

 

                        記事担当:部長さかもと