脳卒中で、早期からの装具を用いた歩行リハビリテーションは、脳卒中ガイドライン2015でグレードAとして強く推奨されています。
ゲイトイノベーションは早期装具療法が行えるよう、調節のハードルを下げ、入院早期の歩行リハビリテーションができる備品用長下肢装具です。

ゲイトイノベーションの特徴
●センターフィックスシステム
従来の備品長下肢装具では、大腿カフの周径が大きい場合には、周径調整のためにカフと大腿部の間にタオルを詰めていました。タオルでは十分な固定力がなく、装具の中で脚が遊ぶ状態でした。
そこで、ゲイトイノベーションではセンターフィックスシステムを導入し、大腿カフのノブをまわすことで、周径調整が可能です。ベルトの締め込み(前後方向の固定力)に加えて、左右方向に締め込む事で、装具内での脚の遊びを少なくします。

●ハイトアジャストシステム
従来は、6本のねじを付け外しして、高さを調整しており、調整に時間がかかりました。
ゲイトイノベーションでは、簡便に高さ調整をするため、ハイトアジャストシステムを採用しています。支柱とカフがスライドし、簡単なレバー操作でロックと解除が可能です。下腿カフ、膝関節軸、大腿カフの高さを調節することができます。また、長さの調節もレバー操作とスライドで簡単に行うことができます。

●足部のホールド
足首のベルトを締め込むことで踵をホールドする機構を採用しました。それにより安定して歩行できます。
●衛生面
複数の方が共有する備品用長下肢装具において、衛生面で問題がありました。
従来品は、皮革や布が使用されており、手入れが困難でした。
ゲイトイノベーションでは、カフや足部に水拭きや除菌剤の使用が可能な素材を採用し、掃除が簡単にできるようになっています。
全くパシフィックサプライのホームページの受け売りですが、良い物が提供されたとしても、実際に使うのは患者さんと理学療法士です。
何を使ったかではなく、どれだけ立位、歩行ができたかによって、リハビリの効果は変わってきますので、できるだけ多くご活用いただきたいと思います。
脳卒中を例にとって装具を着けてまでなぜ歩行訓練をするのかをお話したいと思います。
脳卒中患者にとって厄介なことは、麻痺側の上下肢を使わないことで随意性の低下や筋力の低下が起きるだけでなく、上下肢の運動機能を司っていた脳の神経ネットワークの領野が減少し、残存している周辺の機能にその領野を乗っ取られてしまうことです。
運動障害によって上下肢の運動機能が失われるだけでなく、脳の神経ネットワークの領野も失われてしまうことも問題です。
これによってさらに麻痺側の上下肢を使わなくなり、手足の機能障害を増悪させ、それがさらに機能を司っている脳の領野を減少させ、という負のサイクルが生じます。これが脳卒中患者にみられる「使わなければ、機能は失う」といわれる「不使用の学習」です。
これを起こさないためにも脳卒中後2-3週間後には、上記のような装具を利用して立位、歩行訓練を開始しなければなりません。
また、回復期でも継続して行わなければなりません。急性期病院ではリハビリ時間も少なく、歩行訓練も難しいと思いますので、早期に当院をご指名いただきたいと思います