装具療法
当院では最初の理学療法士が就職した頃から、積極的に装具を活用してきました。
これは当院のものではありませんが、以前のブログでもお示ししたものです。
短下肢装具をリハビリで使用した場合としなかった場合で、退院時の日常生活活動評価(FIM)を比較しました。
グラフは、青が装具使用者の退院時FIM、赤が装具非使用者の退院時FIMです。
左側二つの棒グラフが入院時FIMの高かった方で、右側が入院時FIMの低かった方です。入院時のFIMや重症度については、できる限りそろえて比較しました。
どちらも短下肢装具使用者の方が退院時のFIMが高いという傾向にありますが、入院時にFIMが低い患者群の方がより効果が高いようです。
装具の使用有無でADLに差が出ることは、当院では感覚的に理解していました。従って”できるだけ早期に装具を作成しなさい”とよく先輩からは指導受けていました。
義肢装具士も外注ではありますが、週に3回ほどいらっしゃいますので、比較的早期に対応することが可能です。
最近では新たな装具を活用することも増えました。
ゲイトソリューションは片麻痺者の歩行分析の結果に基づき、足関節の動きを油圧により制御する機構を持ちます。
足関節を油圧により制御することで、ロッカーファンクションを正常化していきます。
この機構を長下肢装具に利用して、長さや太さを調整できるようにしたものがGait innovationです。
この装具は歩行中の下肢の動きをコントロールして、より自然に歩くことを目的にした装具です。
足関節の動きを固定した足関節継手では、歩行時の滑らかさを持たせることが難しいですが、油圧制御機構を利用する事で(1)踵接地時に底屈の動きを油圧により制動することにより滑らかな体重移動を可能にし、(2)なめらかな体重移動により自然な歩容を得ると同時に左右の対称性、バランスのとれた歩容を実現して、バランスのとれた歩容を実現することによりきれいに歩け、疲れにくく、歩行速度の増加などの効果を得ることができ、(3)遊脚相には足尖のクリアランスを確保することができる等の特徴を持っています。
脳卒中においては、早期からの装具を用いた歩行リハビリテーションは、脳卒中ガイドライン2015でグレードAとして強く推奨されています。
長下肢装具によって、随意性が不十分な大腿四頭筋も筋活動を起こすことができるのは、大きな利点であり、実際にやらなければ意味がありません。
一緒に汗をかいてくれる理学療法士は、大事な存在ですね。
記事担当:さかもと