先日、若手向けに歩行リハビリについての講義をしました。
過去の学会報告などで、いろいろな場所で話してきたと思っていましたが、意外に知られていなかったという事実に直面しました。
理学療法士は装具療法の意義などについて、もっと関心をよせるべきだと思います。
先日発表された、脳卒中ガイドライン2021(改訂2023)でも、装具に関して以下のような記載がなされました。
さて、今日伝えたいことの本題です。脳卒中で当院回復期リハ病棟に入院された患者さんの調査を行いました。
入院時に下肢の麻痺が重く、歩行時には装具が必要な患者さんを選びました。
その方々の退院時歩行自立度を調査し、入院時の立位、歩行評価時に装具を利用していたか否かを調査しました。
記載なしというのが、使用装具の記載がないということで、入院時の立位歩行評価で、装具を使わずに評価を行った方々です。退院時、最終的に歩行自立したのは、僅か1割に留まりました。
また、記載ありについては、使用装具の記載があったということで、初回評価時から装具を使っていた症例です。こちらは退院までに7割くらいの方々が、歩行自立や見守れば歩けるという状態にまで至っています。
この二つの群間を統計的に比較すると、意味のある違いがあったということです。
装具を使わなかった方々には、本当に重度で意識障害などがあり、装具装着に困難を極めたという症例も入っているので、一概に装具練習をしただけで歩けるようになるというのは早計ですが、それにしてもこの二つには大きな差があるのではないでしょうか。
装具は長下肢装具に限らず、短下肢装具も含むものですが、特に長下肢装具については、まずは病院の備品を利用し、長期的な必要性があれば、治療用装具として医師の処方を受けていただきたいと思います。
装具完成までは10日~2週間程度かかりますし、オーダーメイドなので、お金もかかりますので、まずは回復期リハ病院の備品で対応してもらうようにしましょう。
特に装具が必要な、比較的重い麻痺をお持ちの方はこうしたことに対応出来る病院を選んでいただきたいと思います。一般の方にはちょっと難しいかもしれませんが、よくなるためには大事なことだと思います。
記事担当:部長さかもと