群馬リハビリテーション病院(旧沢渡温泉病院)リハビリテーション部です

回復期リハ病棟156床。ロボットリハ稼働中。100名超のリハスタッフで365日リハビリ邁進中。一緒にリハビリがんばりましょう。

自律的な学習者を育てる場所

 これは当院の主任向けに夕礼でお話ししたものです。用語が多少難解なところがありますが、GOOGLEをご活用いただければ、理解も深まると思います。

 

 先日、バタフライエフェクトから始まる答辞を、内容には触れずに紹介しました。その生徒が在籍する高校の校長は、そこに居れば子供が勝手に育つような場所をキチンと用意しなさいと訴えておられました。

 自律的な学習者を作ることで、スタッフだけでなく、患者さんも自身の体や心を良くすることについて、自律的な治療を促す事になるでしょう。患者さんには、よく言いますよね、私はお手伝いをさせていただくだけです。直すのは患者さん本人ですから。

 

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 でも、実際の私達の言動は、この発言に沿って居るでしょうか。ああした方が良いですよ、こうすべきです、それじゃダメですよ、危ないですね、言ったじゃないですか?結構、自律的な活動を促すにはほど遠いものがあります。

 

 以前、ガイダンス仮説というのを紹介したと思います。これによれば、学習にはフィードバックは与えすぎないほうが良いそうです。

 ガイダンス仮説について再度説明すると、 フィードバックは学習者を正しい運動に導くガイドになりますが、フィードバックを頻繁に与えすぎた場合は、それに過度に依存してしまい、内在的フィードバックの処理を無視するようになり、悪影響があるという考えです。

 

 自転車の補助輪が補助輪なしで載るためには、障害になるといわれるようになりましたが、リハビリの際の言語的フィードバックも依存を生むということに繋がります。

 

 一方、視覚的なフィードバックは「多いほど良い」ということが示されています。こと運動学習では、聞くことは少なく、見ることを多くするのが良いとのことです。

 

 言語化されないで行う視覚のみのフィードバックは、過剰依存をつくらず、運動学習に正の効果をもたらすとのことです。もちろんここに解説など加えてはいけません。

だから、リハ中の指示は、どんどん間引いていただきたいと思います。

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 うちの子も良く言っていっていて驚きましたが、子供にありがちなのが、「言ってくれないとわからない」という逆切れ発言。

 

 こういう発言が聞かれるときは、たぶん言い過ぎ、指示の出し過ぎです。

 目では見ていて考える分には良いんですよ、内在的フィードバックなんで。でも余計な口は出さないでほしいと思います。

 ここで黙って居られるのが、抑制の効いた良いセラピストであり、よい上司なんだろうと思います。