高血圧と診断する血圧値を140/90mmHgから130/80mmHgに引き下げるなど多くの変更が加わった米国の新しい高血圧診療ガイドラインが、米国心臓協会学術集会で発表されました。
新しいガイドラインは、米国心臓協会などを中心とした11の学術団体の連名。21人のメンバーが4年越しの議論でまとめたそうです。
かなり基準が厳しくなっていますが・・・
ある報告では、120/80mmHg未満との比較で、
心血管死亡のハザード比は
120~129/80~84mmHgでは1.24(95%信頼区間:1.10-1.39)、
130~139/85~89mmHgでは1.56(95%信頼区間:1.36-1.76)、
脳卒中死亡のハザード比は
120~129/80~84mmHgでは1.35(95%信頼区間:1.10-1.66)、
130~139/85~89mmHgは1.95(95%信頼区間:1.69-2.24)、
心筋梗塞死亡のハザード比は
120~129/80~84mmHgでは1.43(95%信頼区間:1.10-1.86)、
130~139/85~89mmHgでは1.99(95%信頼区間:1.59-2.50)と、
130/85mmHg以上で2倍前後の有意なリスク上昇が観察されました。
(Curr Hypertens Rep. 2013;15:703-16.)
この疾患発症のリスク上昇が、高血圧の基準引き下げにつながったようです。
この考え方は日本でも同じ流れがあるので、
血圧は130/85を下回る値が標準となると思います。
この基準を上回っている方は、運動習慣などを見直すと良いと思います。
ある研究では、重篤な心合併症のない高血圧症の患者さんに週2-3回の運動療法で、2~4週間で降圧効果が得られるとしています。
運動療法後、同じ運動でも血圧の上昇が押さえられています。
機序は交感神経活性低下、副交感神経活性の増加などの自律神経バランスが正常化することと、血管拡張物質の増加や、循環血液量の減少、インスリン感受性改善などが指摘されています。